神よ

私たちを創造したのが神様だというなら。


ねえ神様。

どうして私たちには苦痛があるのですか。

空腹や病気や感情があるのですか。

空気を吸うだけで生きられるように、なぜ創ってくれないのですか。


どうして命があるのですか。

どうして宇宙は生まれ、命が生まれたのですか。

なんの意味があるのですか。

私たちのほしがひとつ爆発してなくなれば、

私たちすべて誰も残らないのに。


全てが、全てが一つだったことに、何の不満が、なんの不都合が?

恋人が惹かれあい距離をゼロにすることは、

一つに戻りたいからじゃないか?

けど、結果としてはまた別の命がわかれてしまう、一つになるどころか。

そうやっていつまで続き、そこに何の意味があるのか。


永遠の安息はどこ?

少なくとも生まれる前、私がただよっていたはずの場所には、

意識も苦痛も悦びも何もなかった。

寒くもなく暑くもなく、愉快もなく不愉快もない。

何もない故に、穏やかで―――


命を終えたらかえれますか?

そうして眠りについたならば、

もう二度と起こさないでください。


あなたの遊びにつきあわされるのはうんざりです、神よ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る