第6話 ふざけんな、自虐野郎

 その後夏休みも終わったある日。朝から顔つきが異様に爽快な時出俊平の姿。それが気になり、思わず声をかけた。すると驚きの言葉。


「あぁ、お前も早く済ませろ?エッチって本当に良い!体も心も一体になれる」

「……それって……お前……」


 こっこいつはもう大人の階段を上がりやがった。俺はキスもまだな子供のままだ。畜生!この雲泥の差は何なんだよ!卑怯だ。そう思ったが、来週の文化祭に俺は桃華さんを誘ったが、仕事だと断られた。


 そんな悲しい週末のある日。バレーの練習が早く終わったので、夜体が鈍ると思い、ランニングをしていた。夜の公園。暗がりの中前から女性悲鳴。慌てて前方へと駆け出した。人影が二つ。女性らしき人物と男らしき人物。俺は男らしき人物に突進した。


「グオッ!」


 男の悲鳴。そして、女性の悲鳴ももう一度。見るとそこには桃華さんと知らない男性がうずくまる。


「ちょっと、何してくれんのよ!良いところだったのに!」


 突然桃華さんが俺に声を荒げた。聞けば二人ベンチに座りお茶を飲んでいたコップを落としかけたと言う。


「顔と顔を近づけてお茶お飲むということはありえないでしょ!」

「そこら辺は、高校生にもなったら察しなさいよ!あんた私の何!?」


 その言葉を言われてしまった俺は、男に殴り飛ばされた。力無くして地面に叩きつけられた。桃華さんもそれを見ても助けようともせずに、「2度と私の前に現れんな!自虐野郎!」男と二人消えて行った。俺の高校生活で夢見ていた青春は終わりを告げた。


 一応にバレーは続け、卒業した。青春の一ページと呼べるものは、1年の夏以降部活の汗だけだった。「畜生!モテてぇ!」巻き髪の時出は、かずみちゃんとエンジョイ。俺は卒業まで一人。


 もう女など信用するものかと自分に誓った。生身の人肌が恋しくなる油も乗った18歳から20歳の思春期。俺は大学に進学しても、飲み会、コンパなどにも目もくれず、部活とバイトに勤しんだ。バレーのお陰で、中学時代より18cmも背が伸びて、183cmの長身なっていた。それがまさか夢の叶え方になるとはその時は思ってもみなかった。


 20歳になる頃、実家に帰ると小中学校の合同同窓会のハガキが届いていた。懐かしさで思わず参加に丸をつけた。

冬になる前のパーティ会場で俺は、懐かしい人物たちと再会した。

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