モテない男子の自虐的日記
北条むつき
第1話 モテない男子の妄想
俺、
それ以降、小中高とモテた記憶は全くない。小学生の頃は、背が小さく女子と変わらない背丈か、むしろ女子にも負けていた。そんな俺にも好きな女子が出来た。学級委員長の女子、
中学に入っても、背は低く、全くモテない。
小学生の頃の告白に懲りて、もう好きになるものかと思った。だが、そんな中でも、普通に話してくれる女子もいた。それに家にも遊びに行ったりする仲。部活も一緒のバレー部、
俺は背が小さくてレギュラーになれなかったが、彼女は背も高く、すらりと伸びた足と長い腕でレギュラーだ。そんな彼女に憧れていた。
昼の休憩時間に、突然、
「ねぇ、増山君ってさ?好きな女の子いるの?」
「はぁ? 何突然?」
「ねぇ? 増山君はこのクラスの女子でキスしたい子いる?」
頭の中で、思わず妄想している自分がいた。
金田とキス! キス!? キスキスキスキス! そんな思いに狩られると、赤ら顔になってしまった俺。
固まってしまったが、頭の中は
「顔真っ赤よ? もしかしてわたしかなぁ? かわいい! キャハハハハアハハ! する? してもいいわよぉ?」
うおおおおお!
心の叫びが漏れそうに思わず口を抑えた。
その口を抑えた態度が、吐きそうだと見えたのか、金田朋美はいきなり俺に言い放つ。
「な訳ねぇーだろ、バーカ!」
金田は一瞬悪い顔をして、俺に舌を出して友達と笑い合い教室から出て行った。
自業自得とは言え、女なんてみんなこんな感じだ。人の心をかきむしる。思わせるだけ思わせておいて、結局は馬鹿にする。所詮今回もそうなんだって思った。
極め付けは、クラスの図書委員をしていた時。クラスの女子図書委員、
だが、階段の下へと落ちていく俺たち。飯村が危ないと思い、俺は飯村の体を抱えて、下敷きになって助けた。するとその場で、飯村は恥ずかしそうに頭を下げて、「助けてくれてありがとう。嬉しい」と言っていた。
俺も照れながら返事を返す。初めて触れた女の子の体に思わず鼓動が高鳴っていた。
意識をしてしまった俺だったが、誰にも言わずにおいた。だが、その日のうちに飯村が好きだと言う情報が何故か広まった。翌朝学校に言ってみると、俺のあだ名、「カナブン大好き!」と言う言葉が、教室の黒板全面にいっぱい書き込まれていた。
そして教室には女子しかおらず、ニヤニヤとして、突然女子全員で俺に向かって叫んだ。
「カナブーン! 大好きだよ!」
またもや、俺は硬直してしまい、動悸が高鳴った。だが、その次の言葉でまたもやどん底に落とされた。
「アハハハッハ! 可愛い! 固まってやんの。馬鹿だね、カナブン!」
期待した俺が馬鹿だった。やはり馬鹿にされた。俺はその時思った。女に馬鹿にされて生きていくのが嫌になった。だから高校は男子校に進むことにした。
でも、思春期の俺は、またもやどん底に落とされることになるとは、思っても見なかった。
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