ペンギンは誰にも見つけられない

最中 空

はじめに

君にこの話を捧ぐ。

プレゼントにしては、随分と出来の悪い御伽噺。


見つけられないはずのアレが誰かの目に間接的に触れるとするのならばこんなに面白い事があるだろうか。


君がこの世に存在し、腕時計の電池が切れなかったことに感謝を込めて。


繋がっていた、希薄で濃密な。

可笑しく自然な。

鬼気迫り、また、ただ流れるだけの時間を留める術を私は持っているのである。

得意げに、歌うようにカラカラと笑おう。

つまらない、退屈な、楽しい話をしよう。

これからもずっと永遠に。


秘密の色は何色であろう。

嘘は?

誠は?

私は?

君は?

暗闇の中のあの柔らかさは?

手のひらに伝わる感触は?

流れていた空気は?

目に映る自然光は?

今日までの日々は?

また、それでも繋がる明日は?

神に祈った初めての我儘は?


その全てが混ざり合う時に、世界中どこを探したって見たことの無い美しい物が生まれる事を切に望まずには居られない。


2019/11/14

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