桜の記憶
「今度は屁理屈か?」
嫌味を込めて告げる。
「はぁ……。どうしてもきみは僕を敵対視するんだね。こっちはそんなつもり全然ないのにさ」
困ったように息をつき、片桐は首を振る。
「お前が桜を殺そうとするからだ。それに、ここで見過ごしたら町が大変なことになる」
そろそろ、予定の十分が過ぎた頃だ。
しかし、まだ桜の戻る気配はない。
こちらへ引き返している最中か、ガーディアンを警戒して行動が慎重になってしまっているのか。
確かめる術もないが、もう暫くは片桐を見張る必要がありそうだ。
「お前の訳のわからん遊びのために、俺たちが暮らしてきた町を滅茶苦茶にされなきゃいけないってのは納得いかねーんだよ」
「楽しくないかな? 僕の創り出したドラゴンたちが警察や自衛隊と戦うシーンとかさ。想像してみなよ、ワクワクしない?」
「するか馬鹿」
まさに吐き捨てて、俺は真っ直ぐに片桐を指差す。
「お前の考えは狂ってる。つーか、何だろうな? ガキか? リアルと妄想のコラボだかなんだか知らねーけど、そんなに観たけりゃヒーローショーでも観に行きやがれ」
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