桜の記憶
「その先だよ」
相手の言葉を遮り、言う。
「うん?」
意味が伝わらなかったらしく、片桐は怪訝そうに眉をしかめる。
「リアルに自分の考え反映させて、自己満足したいんだろ? それをした後に、今度はどうするつもりでいるんだ?」
「……さぁ。まだそこまでははっきり考えてないよ。でも、この能力があればいずれ何でもできるようになる。焦って考える必要がないでしょ?」
あっけらかんとしたその答えに理解できる部分を見いだせなかったが、それでも無理矢理言葉を捻り出す。
「そのイカれた能力で自分に都合よく周りを巻き込んでいくつもりか? 何様って感じだな」
「仕方ないよ。たまたま僕には他の人にはない力があった。突き詰めればそれだけの差さ。きみだって、自由に使える便利な道具が目の前にあれば、それを使うだろう?」
「ものによるだろ。それで他人を不幸にするなら、普通は使えねぇよ」
罪の意識を感じることもなく人を殺せるような物なら、尚更に。
「ふぅん。……新薬を作るのに、人は無害なネズミを利用する。きみはそういうことにも文句が言えるのかい?」
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