桜の記憶
(素人考えなのかもしれねぇけど……)
どこか都合よく身を隠せるような場所はないかと辺りを窺いながら、皮肉気に胸中で呻く。
距離をどれだけ詰めておくのがベストなのか、本当にこれが最善の選択肢であったのか、そんなことすら曖昧な、無謀としか言えない迷走。
本当に、どうすれば良いのか。
「雄治……!」
何メートル歩いただろうか。
突然、桜が強張ったように身体を縮こまらせた。
「どうした?」
怪訝に思いつつ声をかけると、桜はそっと前方を指差した。
そちらに顔を向け、同時に俺も身体を硬直させる。
暗闇の中でもよくわかった。
俺たちが凝視する先に、二体のガーディアン。
まだこちらに気づいていない様子ではあるが、安心できる距離でもない。
周囲を見渡し、まるで幽霊のように音無く移動する敵を茂みに屈み込み観察する。
おそらく、足音がないのはほんの僅か空中に浮遊しているためだろう。
そして、草木が群生している場所にもかかわらず、奴らはまったく枝葉に触れている気配がない。
でかい図体でここまで無駄なく敵を追い詰めようとするその追跡能力に、胸がざわめく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます