桜の記憶

「そんときゃ応援くらいには行ってやるよ」


 安請け合いするように告げ、俺はコーラを口に運ぶ。


「相変わらず、雄くんと響介くんってゲームの話ばっかりだね」


 根崎の隣で桜と喋っていた有紀が、会話が途切れるのを待っていたかのように話しかけてきた。


「え? そんなことないと思うけど……。違う話だって普通にするよ」


 心外だと言わんばかりに、根崎は口元を歪ませる。


「そう? いつも一緒にゲームしてるイメージしかないからなんかピンとこないけど……」


「雄治の部屋、ゲーム沢山あるもんね。下手くそなのに」


 まだ唯一食事を続けている桜も、ピザを頬張りながら会話に混ざる。


 因みに、ここの支払いはボーリング対決で負けた俺たち男性陣の役割になっている。


 それ故なのか、ピザにサラダ、フライドポテトと海鮮リゾット。


 挙句にデザートにアイスと、桜は遠慮のかけらもない注文をしてくれていた。


 そのせいもあって、俺は思いきり隣の大食らいを睨みつける。


「下手くそは余計だろうが」

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