桜の記憶
そして、激突した桜もまたそのままズルリと滑り落ちるように落下すると、力なく地面に倒れ込んだ。
うつ伏せになった彼女の顔は、ここからでは確認できない。
普通の人間なら、最初の一撃で首の骨が折れているだろうし、その後の二発で内臓など原型を留めていないくらいに破壊されてしまっているだろう。
悪魔と言えど、耐えられるとは思えない。
「…………嘘だろ、おい」
ピクリとすら動く気配を見せない桜を見つめ、俺は震える声を吐き出す。
ガクガクと膝が痙攣し、よろけそうになる。
一瞬にして、戦況が変わってしまった。
(どうすんだよこれ……。最悪の展開じゃねぇか)
真っ白になった頭で、なんとかこのピンチを打開する方法を模索しようとするが、そんなもの都合良く浮かぶはずもない。
「あぁ……」
その間にも、狼男は桜の元へと悠然とした足取りで近づいていく。
「何なんだよ、もうやめてやれよ……」
もはや完全に再起不能となった少女を、獣人はまだいたぶるつもりらしい。
ゴリッと音を立てながら、桜の頭を踏みつける。
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