桜の記憶
悔しそうに口を尖らせる桜を、俺は半眼で睨む。
「平気じゃねぇだろ」
まさか、自分に近づく人間全てを隔離でもする気でいたのだろうか。
実際、その気になればできてしまいそうなところがなんとも恐ろしい。
「ちょっと待っててね」
突然、桜が飛び上がった。
まるで簡単なストレッチでもするかのような、そんな軽い動作であっさりと店の屋根まで跳躍してしまう。
いつもこんなノリで俺の部屋にも入り込んで来てるのか。
そんな感想を抱きつつ、唖然と悪魔少女を見上げる。
屋根のどこかから侵入しようとでも企んでいるのか、きょろきょろと周囲を眺めるとそのまま視界から消えてしまった。
仕方なく、俺は近くの街路樹に背中を預け桜が戻るのを待つことにした。
少し離れた場所に、昨日桜の百二十円を奪い取った自販機が設置されている。
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