桜の記憶
「大金……かどうかは微妙だけど、俺らにしてみれば四千だって安い金額じゃないのは確かだな」
バイトでもしている奴からすれば守備範囲かもしれないが、月五千円くらいの小遣いで生活をしているような学生からすれば、四千円の出費はかなり痛い。
そんな浪費をしたら最後、その後は缶ジュース一本買うことにすら頭を悩ませる羽目になってしまいかねない。
「ふぅん、学生って大変なんだ」
他人事のように呟いて、桜は開けた袋を元に戻す。
「大人は十万円以上するような機械を平気で買ったりするのに、何だか不公平な感じがする」
「そこは仕方ないだろ。大人になれば仕事で金手に入るし、自由に使ったりできるから。俺も早く自分用のパソコンとか買いたいんだよな」
「パソコン? ……ああ、あの四角い機械か。あれ凄いよね、色んな情報調べたり離れた相手と会話したりできるんでしょ?」
「スカイプのことか? 俺はまだやったことないから詳しくないけど、興味はあるな」
「やらないの? 雄治、家にパソコンあるよね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます