桜の記憶
スパンッと机を叩いて怒鳴ってみるが、大した効果も得られない。
桜は怖じ気づく様子など微塵もなく、ふてくされた態度を続ける。
「あーあ、記憶無くして困ってる人より買い物優先かぁ」
「人じゃねーだろお前は」
呻くように呟く俺の声に重なるように、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「ほれ、授業始まるぞ。席に戻っとけ」
「……うるさい馬鹿雄治。バーカ」
追い払うように手を振りながら言うと、桜は小学生の捨て台詞並みの言葉を残し自分の机に歩いていく。
「……どっちが馬鹿だよ」
長い髪を揺らしながら歩き去るその背中へ俺は呆れ返った視線をぶつけ、睡眠不足によるあくびを噛み殺した。
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