現実についての考察
時雨逅太郎
考察
この世に神がいたとして。
全知全能の神は理由あって僕らを助けない。
もしかしたら死というのは祝福なのかもしれない。死が最悪であると思い込んでいる僕らだけれどもそんな懸念は必要ないのかもしれない。
この世に神がいなかったとして。
それが何になるのだろう。
僕らは常に不都合の中に生きているけれども、実際のところ都合が良いなんてものは夢物語に過ぎない。それなのに僕らは都合のよさをいつも求めている。
ここでは君が謝るべきだ。
ここではあなたがエスコートすべきだ。
すべてに気づくべきだ。
なんて。
不都合と不条理がこの世の中の正体である。泣いてもわめいても文句垂れてもその現実は変わらない。思い通りになるとしたらそれはもう現実じゃなくてあなたが作りだした虚構でしかない。
それは生きていると言わないんじゃないか。
生きていたとして、きっとあなたは満足をしないんだと思う。次をまた求める。
いくら得たところで満たされない、っていうのは僕らの間では耳にタコができるほど聞いたお説教だけどもそれは決して人間が欲深いからとかそういう意味じゃないと思っている。
人間は所詮動物だ。僕らは獣でしかなく、その獣たちが生きるのは現実でしかない。そして、現実でしか生きていない。夢の中で何を得たって結局のところは虚しいだけなんだ。
すべてを得てしまうというのはどうしても現実に反する。現実の正体は不都合と不条理だ。満たされてしまう現実など、現実ではない。
現実についての考察 時雨逅太郎 @sigurejikusi
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