21話〜ブラット倒れる
ここはシャインスプラウト城の謁見の間。ガルドはオルフェにここに来た本当の目的を聞かれ話し出した。
「オルフェ。クレアロゼにある城の事なんだが、あの城をお前がブラットの為に建ててくれたとレオルドに聞き挨拶とお礼を言いにきた」
「なるほど。だが、お前がその事だけを言いにここに来たとは思えないのだが、違うか?」
「ああ、確かにそれだけじゃねぇ。ここに来たもう一つの目的は、ここの錬金施設を借りにきた」
「錬金施設か。ガルド、施設を貸すのは一向に構わない。だが、施設を必要とする理由を聞きたいのだが」
「そうだな。理由をちゃんと話さねぇとな。オルフェある程度の事は知っているかもしれねぇが、シェイナルズの近隣の森に歪みの洞窟が出現した。いや、人為的に封印が解かれた!」
「ガルド、それはどういう事だ!その事について耳に入って来てはいない。しかし何故、今になってあの歪みの洞窟の封印が解かれた……。だが待て、あれはお前が封印石に封印し仲間と何処かにその封印石を封印したと聞いている」
「ああ、そうなんだがな。………」
そう言うとガルドは、シェイナルズで何が起き誰が歪みの洞窟の封印を解いたのかを話した。
「そういう事か。だが、あのマグドが神ダライアスに操られていたとはな。……なるほどその為か、歴代王が即位すると豹変するという噂を耳にしてはいたが」
「それでだが、オルフェ。今すぐにって話じゃねぇが、ブラットをエクスダールに行かせ、封印石を取って来させようと思っている」
「……ガルド!?お前、本気でそれを言っているのか?私は反対だ!!何故ブラットがエクスダールに行く必要がある!?」
「オルフェ。何をそんなにムキになっていやがる。ブラットは俺の子供だ!まさかとは思うが、ブラットを自分の養子にしようなんて思ってねぇよな?」
そう言いながらガルドはオルフェを睨み付けた。
「ガルド。……フッ、なるほどそういう事か。私の考えが分かり、自分の子供を2人連れて来て揺さぶりを掛けようとしていたという事か」
「さあどうだろうな。だが、そうだとしても、さっきブラットが、どっちかバレたしな。それより、オルフェ。やっぱり、そう思ってたんだな?」
「どうかな。まぁその話は後にし……」
オルフェが何か言おうとした時、遮るようにブラットが話し出した。
「さっきから見てて不思議に思ったんだけど。親父とオルフェ様ってどういう関係なんですか?それに、俺がこの国の養子になるって……。意味が全然分からない!」
ブラットは不思議そうにガルドとオルフェをみた。
「確かに変だ!ブラットがいう様に何を隠してるんだ?それにやけに2人とも親しい関係みたいだしな」
そう言うとハングはオルフェとガルドをみた。
「ブラットにハング。この事については後で話す。今、ここで話さねぇ方がいい。いや、まだ話す時期じゃねぇと俺は思っている」
「なるほど。ガルド、お前は2人に何も話さずここに来たという事か。まぁいい、だが、私は諦めるつもりはない。今直ぐでなくてもゆくゆくはブラットをと考えているからな」
「宣戦布告と言う訳か。だが、俺は反対だ!確かにお前には子供がいねぇ。しかし、ルシファの子供が、確かいたはずだよな」
ブラットはその2人の話を聞いていて頭が混乱して来ていた。
「いるが。あれにこの城を任せるつもりはない!ガルド、お前もその意味は分かっているはずだ」
「ああ、分かってはいるが……」
そして、ブラットはだんだん分からなくなりイライラし始めた。
するとブラットの頭の中でプツンと何かが切れる音がした。
そして、頭を抱えながらガルドとオルフェをみると、ブラットは急に話し出した。
「あぁ〜いい加減にしろ!?何なんださっきから!俺の取り合いしてるみたいだけど。その意味を聞いても教えてくれないし。それに話だって勝手に進んで、何を言っているのかも分からない!」
「確かにそうだな。ブラットの言う通りだ。ガルド、この際だここで話してしまった方がいいのではないのか?」
「オルフェ。そうかもしれねぇが。ただ、俺自体がまだ踏ん切りが付いてねぇ」
「なるほど。まだ、あの事にこだわっているわけか」
そう言うとオルフェは下を向き考え込んだ。
ガルドはブラットにそう言われ頭を抱え考え込んだ。
フェリアはガルドとオルフェが、何を考えていたのか分かっていた為、複雑な気持ちになっていた。
レオルドはブラットの発言に対し驚いていた。その後、レオルドはオルフェとガルドの気持ちを察しどうフォローするかを考えていた。
(……ブラット、どうしたんだ!気のせいか?急に雰囲気と様子が変わった様に見えるんだが)
ハングはそう考えながらブラットの様子が気になり見ていた。
(ブラット様は、またガルド様とオルフェ様の言い合いをお止めになられた。ですが、その後のブラット様の様子と顔色が、少しおかしい様に見えるのは気のせいでしょうか?)
クラウドがそう思っていると、ブラットは何かを言おうとした。
「おや……」
と、言いかけ頭を抱えたままその場にスッと倒れ込んだ。
それを見たガルド達4人とオルフェとクラウドは即座にブラットの側に駆け寄った。
そして、クラウドはブラットの様子を見るなり、
「……これは、顔色が悪い様ですね。即、医務室の方にお連れした方が良いかと」
そう言うとガルドはブラットを抱えクラウドと共に医務室の方に向かった。
フェリアとレオルドはブラットに何が起きたのか心配になり後を追った。
ハングはブラットの様子がおかしい事に気付いていたのに、声を掛ける事が出来ずにいた自分に腹を立てていた。
そしてそう思いながらハングはフェリア達の後を追った。
オルフェはブラットが倒れ何も出来ず、ただ見ている事しか出来ないでいる自分が歯がゆく、少しの間その場に佇んでいた。
そしてオルフェは我に返り医務室の方に向かった。
(あそこで、考え込んでいても埒が明かない。それに今私がここでブラットを手に入れる事が出来なければ、次の王の座には間違いなくルシファがなるだろう。それだけは避けねばならない。だが、何故ブラットは倒れたのだ?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます