4話〜適任者と恐れ
ここは名も無き城の中。レオルドは寝室で寝ていた。
レオルドはマリアンヌ達と先に城に到着していた。
マリアンヌは到着するなり、レオルドを寝室に無理矢理寝かせると、城の中を見て歩く為、部屋を出ていった。
レオルドは色々と考えていた。
(ふぅ、何とかここまで来たが、私は本当にあのブラットを王へと導く事が出来るのだろうか?)
するとブルーノアが話し掛けてきた。
レオルドはそれに気づき目を閉じた。
“レオルド。貴方は本来の自分を捨て、ここまで良くやってくれました。これからやるべきことは、ブラットと貴方の関係を縮める事です。ですが、現段階ではかなり厳しいかも知れません。”
(はい、確かに厳しいかと。しかし、やらなければならないのですよね?)
“ええ、そうですね。今のブラットに必要な知恵などを授ける事ができるのは、貴方しかいないのですから。それに貴方は魔法の知識に長けています。ですので、ブラットに正しい魔法知識を教えてあげて欲しいのです。”
(分かりました。ただ、私に何処まで出来るのか自信はないのですが出来る限りの事はやって行きたいと思っています。)
“レオルド、お願いしますね。”
ブルーノアはそう言うと姿を消した。
レオルドはそれを確認すると目を開けた。
(そろそろ到着してもいい頃だとは思うのですが。)
レオルドがそう思っていると部屋に2人の男女……いや、ジェシカとレフィカルが入ってきた。
ジェシカは赤色の派手なドレスを来ていた。
レフィカルは青色でポケットに花の飾りが付いているスーツと白いシャツを着ていた。
「レオルド!何で私がこんな派手なドレスなんて着なくちゃ行けないのよ!?」
「おい!話が違うんじゃないのか?昨日の話じゃ……。」
そうジェシカとレフィカルがブラットを拐い、シェイナルズ城の地下にある秘密の部屋まで連れて行くが、そこでレオルドに催眠の魔法で眠らされ、いつの間にかこの城に連れてこられていた。
レオルドは皇帝マグドに、ブラットの事を告げると城の別棟にある建物にブラットを連れて行った。
その後、城の者の目を盗み、ブルーノアの手を借り、ジェシカとレフィカルをこの城に連れて来ていた。
そして、レオルドは2人に、しばらくの間この城の管理をして欲しいと頭を下げた。
ジェシカ達は、何故自分達がこの城の管理をしなければいけないのかと聞いた。
するとレオルドは話せる事だけを話した。
『信用してこの城を任せる事が出来る者は他にいないと思いましたので。それに、ガルド様の元お仲間ならと思い。』
『レオルド。言っている事が理解出来ないんだけど?』
『ああ、お前が言ってる事とやってる事が余りにも矛盾し過ぎだ!』
『確かにそうかもしれません。ですが、時期が来たら事実を話したいと思います。今は動かずここにいて頂きたいのです。』
『私達に、目の前をウロウロされちゃ不味いという事なのかしら?』
『申し訳ありませんが。今は、私の計画を邪魔されたくはないのです。』
『なるほどな。まぁ話次第じゃ、ここにいてやっても構わないが。どうする?』
『話次第とは?』
ジェシカとレフィカルはレオルドから少し離れどうするか話し合うと、
『そうね。ただでこの城の管理をするには広すぎるし。1日いくらで雇ってもらわないと割りに合わないと思うのよね。』
『なるほど。そういう事でいいのでしたら、そのように致します。前金として、これくらいではいかがでしょう?』
レオルドはジェシカ達にお金を渡すとその金額に驚いた。
『ちょ、ちょっと!前金でこんなに!?』
『マジか?本当にこんなに貰っていいのか?』
『ええ、その代わりこの城をお願いします。』
ジェシカとレフィカルは目を輝かせながら頷いた。
そしてレオルドは、ジェシカとレフィカルにこの城の管理を任せたのだった。
「これは、どうしたのですか?それにその服装はまるで……。」
「レオルド!何故マリアンヌがここにいるのよ!?それに、この服はアイツが着せたんだ!!」
「それに、今日こんなに人が集まるなんて聞いてないぞ!」
「申し訳ありません。余りにも、急でしたので……ですが、確かジェシカさんとレフィカルさんの事を、私はお金で雇っているのでしたよね?」
「そ、それはそうだけど……ねぇ、マリアンヌの話だとまだ他にも来るみたいだけど、誰が来るの?」
「そうですね。現在誰がお見えになられているのですか?」
「ん?ああ、レオルド達の後に来たのは、サアヤとフリックとコトネとヴィオレとフェリアとブラットだ。だが、何があったか分からんが、ブラットはサアヤに無理矢理引きずられて城に入って来た。グッタリしてたんで、ソファに寝かせたがな。」
「まぁ。恐らくブラットは大丈夫でしょう。そうなるとまだガルド様達はお見えではないのですか?」
「ガルド達って?ガルドがここに来るって事?それって……。」
「ジェシカ、流石にアイツ怒ってるよな?」
ジェシカとレフィカルは顔を見合わせると一瞬で顔が青ざめ震えた。
そう本気で怒った時のガルドの恐ろしさを2人は知っていたからだ。
「レオルド、頼む!このままじゃ……何処かに隠れる場所はないの?」
「じゃなければ、このままだと……あ〜早く何処かに隠れなければぁぁ〜、ガルドに殺されるぅ〜!」
ジェシカとレフィカルはお互い抱き合い震えていた。
「……隠れる場所ですか?ですが、今更隠れても仕方がないのでは?」
「それは、そうだけど……あ〜どうするのよ!」
「元はと言えば、ブラットを拐いマグドの所に連れて行くって言ったのはジェシカだからな!?」
「レフィカル!確かに私が言ったかもしれないけど。あの時はこうなる事なんて想定して無かったんだから仕方ないでしょ!」
「そうですね。この件には私も関わっていましたので一緒に謝りましょう。ただ、許してくれる保証は無いかもしれませんが……。」
レオルドは意地悪気味な口調で言うと、目を細めジェシカとレフィカルを見て微笑した。
そして、3人はしばらくどうしたら良いか話し合っていたのだった…。
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