第33話 灼熱の魔神① ~バトルパート~
彩斗とスララはその日、最後の特訓をしていた。スララのリコリスが躍り、彩斗の意のままに動かす。
――最後の連携を終えた途端、彩斗が喝采を放った。
「うん、そう、これだよ!」
明るい声で、彩斗は手を打ち鳴らす。
スララがぺたんと床に座った。表情には安堵の色で、その瞳には満足の色がある。とっさの思いつきとはいえ、新しく得た技に、花のような笑みがこぼれる。
「彩斗、やったね。これでアルシエルに、何とか勝てるかもしれない」
「そうだね。でも、油断はできないよ。相手はあのアルシエルだ。どんな方法を思いついても、万全とは言えない。戦力は上がったけど、気を引き締めていこう」
「うん。それでもわたし、嬉しいよ。一人だけなら、思いつかなかった。彩斗のおかげだよ。ありがとう~」
いつでもそうしてきたように、スララは向日葵のような笑顔を浮かべる。
もっと、彼女が心から笑える瞬間を作りたいと彩斗は思った。
魔神ベリアルによって、歪められてしまった姉のアルシエル。姉妹として、スララが心ゆきなく甘えられる光景が作れれば、どんなにいいことだろう。
ここへ来てから、彩斗は何度もスララに助けられた。
だから今度は、自分が彼女のために恩返しをする。スララの笑顔を見て、彩斗は改めて決意した。
「そういえば、気が早いかもしれないけど、元の世界に帰ったら、彩斗はどうするの?」
しばらく呼吸を整えていると、何気ない口調でスララが問いかけてきた。
「え?」
「だから、帰ったらの話。……だって、次の闘技でアルシエルに勝ったら、アルシエル・ゲームは終わるんだよ? そうしたら彩斗、元の世界に帰れるから。その後、彩斗は何をするのかなって。そう思ったの」
「帰ったら、か……」
確かに、次の闘技で勝てば、全てが終わる。
この世界に集められた全てのペアは元の世界に戻り、以前の生活に戻る。もっともな疑問だった。少し気が早いかもしれないが、言ってる事は間違っていない。
けれど、彩斗は目の前の闘技の準備で、正直その後のことなどすっかり忘れていた。
「特に考えてなかったよ。……そうだね、何も変わらないと思う。学校へ行って、授業を受けて……また学校に行く。その繰り返しだと思う。――あ、でも」
思い浮かべた光景に、彩斗は少し言い淀んだ。
「どうしたの?」
「いや、その学校に行く毎日にさ、スララがいたら楽しいだろうなって。少し思ったんだ」
照れ隠しに少し彩斗は目を逸らした。
「ここに来てからずっと一緒だったからさ。スララがいないと何だか、不自然と言うか、寂しいなって……」
言ってて恥ずかしくなってきた。これはちょっとした公開処刑みたいだなと思う。
「えへへ……」
スララは嬉しそうに微笑む。
「な、なに……?」
「わたしも同じだよ」
はにかみながらスララは身を寄せる。
「わたしは、このゲームが終わったら、お姉ちゃんと一緒に集落に住むと思う。でも、わたしも彩斗と同じ気持ち。わたしも、彩斗の世界に行ってみたいな」
「スララ……」
それは。
彩斗には光栄な話で、でも簡単には返事が出来なくて。
彩斗はつい、目を逸らしてしまう。
「だって、彩斗の世界、美味しそうな食べ物がたくさんあるでしょ? ちょっと興味ある」
「……え、あ、そっちなんだ」
「ソフトクリームとか、クレープとか、聞いてるだけでとっても美味しそう。考えるだけですっごく楽しみだよ~。行ってみたいな、行ってみたいな、彩斗の世界。きっと、ソフトクリームで作った家もあるよね?」
「いやー、それは……どうだろうね」
「もちろん、その隣には彩斗が一緒でね」
「……」
デートかよ。
いやデートでいいか。デートでいいよな。
彩斗は思った。可愛い笑みで、可憐なスララが隣にいると思うと――それだけで体が熱くなってくる。
脳裏に浮かんだ、平和な未来。スララが彩斗にクレープをねだる光景。映画を観て、遊園地へ行って、あるいはデパートに行って。最後はホテル――いやいやいや。
あるいは――そこにアルシエルがいてもいいかもしれない。平和な街の片隅で、妹にせがまれて、困った顔になりつつもなんとか奮闘するアルシエル。
笑うスララ。そんな姉妹を、傍らで眺める自分。
――そんな、幸せな光景に、なれればいい。彩斗はそう思わずにはいられない。
「……そうだね。ボクもスララと一緒にいたい。そしてアルシエルも。ボクは、君たちにはボクの世界も来てほしい。あちこちの、街とか店に回って」
「うん。それでわたし、たくさん買い物するの。美味しい物や、綺麗な物、両手に抱えないほど買って……その横には彩斗と、お姉ちゃん。そんな光景があればいい」
「スララ……」
その言葉に嬉しくなる。その夢に胸が暖かくなる。
だって、それはずっとこれからも一緒にいたいという心の現れだから。
だから、彩斗は何より嬉しく思ってしまう。
「……そうだね。その夢を、実現させよう。だからスララ……そのためにも、次の闘技、絶対に勝とう。ボクたちの手で――それを実現させよう!」
「うん。お姉ちゃんは、わたしたちが助ける。そのために――」
全力を込める。
全てを、終わらせるために。
そして、新しい未来を作り上げるために。
死闘への決意を胸に――、彩斗はスララと視線を交わす。
――その直後だった。
「あ、腕輪が……っ」
紅く血塗られたかのような光が、二人の腕輪から放たれる。
牢屋中を埋め尽くすかのような激しい光。彩斗は、スララは、最後の闘技の到来を感じ、深く頷き合う。
「ついに、来たね」
「うん」
濁った宝石のような眼をして、ガーゴイルが牢屋の前までやってくる。
鍵が空けられる。冷たい石の手が、二人の手を掴み、決戦の舞台へと誘っていく。
闘技の時間だ。最後の戦いとなる決闘の時。
――ここまで来たら、あとはもう全力を出し切るしかない。
迷いも、恐れも断ち切って。彩斗は隣のスララの横顔を見つめ、深く呼吸を整える。
強張りながらも決然とした顔をして、彩斗はパートナーの少女と共に、コロシアムへ向かった。
† †
そこは、まさに最後の決戦に相応しい場所だった。
砂と岩で覆われたコロシアムが、異様な静寂で覆われている。
無数の岩の柱。高い天井。毒々しい魔法の炎の篝火。
いつも、どこかしらで観衆席からささやかれていた声はない。決戦の舞台の周囲をぐるりと囲う観衆席から、息を呑むような空気が伝わる。
針を落としたなら、そのまま聞こえそうな静寂だった。自分の心臓の音すら聞こえるかのような、無音。
――そんな中、決戦の舞台の中央部に、黒い衣装の魔神が佇立していた。
アルシエル。
彩斗とスララから数十メートルを隔てた距離の先。ウェディングドレスの如き黒い優雅な衣装に包まれながら、歪んだ表情で、彼女は彩斗とスララを見つめていた。
「アルシエル、昨日の約束は覚えていますか?」
彩斗が、硬い声音で問いかける。
「あなたは闘技に参加して、負ければこのゲームを終わらせると約束しました。だから今日、この戦いで、全てを終わらせます」
決して大きな声ではないが、それでも決意は届いたはずだ。
アルシエル・ゲームを終わらせる。
そのためにここまで頑張ってきた。
これまでの様々な出来事が脳裏に浮かんでは消えていった。召喚とゲームの開催、スララとの出会い、最初の闘技、エルンストやフレスベルグとの交流に、ガルム・マルギットとの激闘――そして、アルシエルとの約束。
いつも、ぎりぎりの戦いだった。
楽に越えてきたことなんて一度もなくて。身を削り、精神を削り、自分の全力を傾けてここまでやってきた。
辛いと思うときはあった。
恐ろしいと感じたことも何度あったのかわからない。
けれどスララが、何より頼もしいパートナーが――いつも隣で笑い、励まし、共に駆け抜け、一緒にいてくれてから。だから、困難の全てを乗り越えていた。
かつて、影が薄いと笑われた過去が、遠い幻影のように感じられる。
怯えて震えるだけの少年はもういない。そこには強く揺るぎない決意を秘めた少年が、復讐の魔神と決着するべく相対していた。
しかし――。
「アルシエル?」
決然と意識を固めた彩斗は、おかしいことに気がつく。
アルシエルの濁った瞳からは、何の意志も感じられない。影のように、棒立ちのまま、無言で彩斗たちを見つめるのみだ。
その、不吉な人形のような有様に、彩斗は薄ら寒い違和感を抱く。
「アルシエル?」
その時だった――アルシエルの顔が、狂気に満たされた。
「――っ! いけない、彩斗っ、すぐに岩の影に下がっ――」
スララが注意と共に、彩斗を押し倒した後だった。
怒りと恨みの篭った熱風が、アルシエルから放たれる。
空間を紅蓮に染め、瞬く間に拡散した熱風は彩斗とスララに襲いかかる。
「うあああ!?」
「きゃあ!?」
反射的に彩斗が手をかざすが、そんなものは何の意味もない。肌が焼ける。紅蓮の風に体が炙られ全身に痛みが走る。
「彩斗っ!」
とっさにスララが前に出てリコリスを展開、天幕のごとく広げて熱風を防ごうと試みるが、一秒ももたずに溶けて天幕は辺りに飛散する。
「お姉ちゃん! やめて、いきなり何をするの――」
「ううウッ、アアアッ! ベリアルを殺ス。殺ス、ウウぅ、アアアァ――――ッ!」
業風が辺りを焼き尽くす。
紅蓮に舞い、万物を燃やし尽くす地獄の業火だ。
巨大な火柱が立ち上がる。
天井高く、空間を焼き焦がすかのような豪炎。
どよめきが観衆席から漏れた。熱風は観衆席にも届き、甲高い悲鳴がいくつもあがる。
ようやく、観衆席と決戦の舞台を隔てる魔法障壁が発生した。
天井より大気を切り裂き光の銛が地面へと直撃する。
闘技が、開始される。
開始の合図もないままに。
アルシエルの狂気の声と共に。
怒りの魔神の咆哮の中、話す間もなく、最後のアルシエル・ゲームが、開幕される。
† †
豪炎が、目の前を過ぎっていった。
「ベリアルを、殺ス! ――うゥウウ、ぅウァァアアアア――ッ!」
アルシエルが紅蓮の炎を生み、周囲を薙ぎ払った。
空間を染め上げる熱風が放たれ、天井高く舞う。空間ごと抉るような紅蓮の風に、彩斗たちはひとまず逃げ隠れるしかない。決戦場に無数に立つ岩場、その影に飛び込むように駆け、熱波を避ける。同時、リコリスの分体で囮をいくつも配置しながら、二人はアルシエルの咆哮から反対に反対に、全力で逃げた。
「急いで! 彩斗!」
「判ってる! でも……!」
返事としたと同時、紅蓮の火炎が背後の岩を焼き尽くした。
摂氏数千度の獄炎は瞬く魔に岩ごと嬲り、溶かし、紅蓮の津波の如く辺りを包み込んでいく。
「駄目! やめて、お姉ちゃん!」
スララがとっさに叫ぶが、効果はない。
「ベリアルを殺! そのたメにはゲームを続ける必要がある。だから私は勝たねばならなイ! 闘技に勝たねばならナイ! 立ちはだかる者は全テ排除する。死ネ、死ネ、死ネ、ベリアルゥゥゥ!」
アルシエルの言動に整合性がない。
恐らく、アルシエルの中で今は幻影のベリアルが猛威を振るっているのだろう。
それが、彩斗たちとの闘技と混合し、正常な認識が出来ないでいる。
今、彼女の視界にはベリアルの姿しかない。
闘技に負ければ終わるという現実と、ベリアルに刻まれた復讐心が、燃え上がり、混沌と化し、戦場を焼き尽くす。
「アアァ、ゥうウッ、アアァァァァ――――ッ!」
黒い感情の赴くままに、アルシエルが吠え猛る。
左手の爪が伸びた。
半透明の爪リコリスが、死神の鎌のごとく伸長し、表面が真紅の色に染まり、周囲へ豪熱をまき散らす。
伸びた爪が、アルシエルの身長の五倍近くにも増し、紅蓮の火炎に覆われた。
「ベリアルゥゥゥアアッ!」
数千の火の粉を飛散させ、触れるもの全てを焼き尽くす最強の武器が、彩斗たちに迫る。
咄嗟にスララがリコリスを膜状に広げ目くらましとした。その間、彩斗と共に岩柱の中を逃走、撹乱しつつ回避行動をしようとするが、アルシエルの猛炎が許さない。
「逃げられルと思うナ、愚かなるベリアル!」
怨念のこもった咆哮と共に、アルシエルが跳んだ。まるで大気ごと引き裂くかのような跳躍は、周囲の大気ごと焼き尽くし、落下。着弾点たる地面が紅蓮の猛炎で溶けた。
「うああああああっ!?」
紅蓮の流星じみた叩き下ろしに、彩斗が吹き飛ばされた。烈火をまとったアルシエルの爪が次々と襲いかかり、彼の髪や制服の端を焦がす。
直後、スララが跳躍しつつ彩斗の体にリコリスを巻き付けながら、遠くへ放った。
「彩斗! 逃げて! ――っ」
烈風の熱にもまれながら、スララはリコリスを氷柱状に形成、アルシエルへの牽制を兼ね瞬時に五つ、発射した。
狙いは、アルシエルの側頭部。
大した威力にはならないだろう。しかし発射寸前、岩の欠片を先端に取り付けた。
即席の鈍器だ。正確な軌道、勢いも十分――だが空気を割いて叩き込んだ氷柱は、アルシエルが火炎の爪で払っただけで、蒸発する。
「だめ……炎が強すぎる……!」
アルシエルの火炎は摂氏数千度。近づくだけで万物を焼き尽くす。
スララや彩斗が未だ無事なのは、予めスララのリコリスを体表面に付着していたからだ。
まるで極薄の膜のようにまとわせたそれがなければ、比喩や呼吸器官が焼けていただろう。
だから、今彩斗は危うい時にある。早く投げた地点へ行き、『膜』を補充しなければならない。
しかし――それを許すアルシエルではない。
紅蓮の爪が半ばから伸びる。スララのリコリスの房を焼くために、灼熱の刃となる。猛熱が、さらなる豪熱になった。熱すぎる。そして長過ぎる。
気圧されるように、スララは後退した。そしてリコリスを分離させ、囮にし、態勢を整えようとする。
だがアルシエルは鬼の形相で跳び、休み暇を与えない。
「退けっ! 愚妹がっ!」
掌底一発。
閃光のごとき右手の一撃をまともにくらったスララは、大きく弧を描いて吹き飛んだ。
受け身を取る暇もない。
そのまま岩柱の一つに激突する。
衝撃が離れた彩斗にまで伝わる。
「スララっ!」
彩斗のその声に反応したのだろう、アルシエルが大きく爪を振りかぶり、彩斗の方へと跳んだ。
「くっ!?」
とっさに氷結のコンバットナイフで周囲の石を凍らせ、石礫として放つ彩斗だが、アルシエルに着弾しただけ蒸発した。
「くそ、駄目だ……うあ!?」
寸前で、前転し回避した彩斗だが、熱波が彼の背中を炙る。リコリスの膜がほとんど焼かれる。
「ぐあ!」
痛みをこらえながら立ち上がり、走ろうとした彩斗は、それでも懐から『緑色の試験管』を放った。
エルンストに予めもらった『目くらまし』の噴煙だ。
大気に触れると急速に膨張し、深い緑色の煙となる。
彩斗は他にも、『攻撃用』、『防御用』、『回避用』と、持てるだけの魔法具を渡されていた。
目くらましの噴煙に身を隠しながら、彩斗はスララが飛ばされた位置にまで走った。
「スララ! 大丈夫!?」
「平気っ! 背中打っただけ!」
顔をしかめていたが、無事なようだった。
パートナーの返事を聴いて彩斗は一瞬安堵する。だがアルシエルの怒気は止まらない。悪鬼のごとく、死神の鎌のごとく、爪を振り上げると、さらなる長さへと増大させ、巨大な炎剣と化した。
「消え去るガいい、ベリアルめッ!」
咄嗟に彩斗は『防御用』の試験管を投げるが一瞬で切断される。
薄紫色の壁は両断され周囲へ四散、彩斗は懸命に走るが、アルシエルが先回り跳躍、そのまま大上段から彩斗へ叩き降ろした。
長過ぎる炎剣だ。そして速い。タイミングも最悪。
「あ――」
彩斗の脳裏に、死が見えた。
一瞬後、獄炎の剣に両断され燃え尽きる自分の幻影。
しかし、その一撃は当たらない。正確にはスララがさせなかった。
とっさに伸ばしたリコリスが、アルシエルの腕に巻きつき、狙いをわずかにずらしたのだ。そのまま牽制用の氷柱と巨大な膜をアルシエルへ放ち、彩斗と逃走を図る。
しかし、それでも力は圧倒的にアルシエルの方が上だった。叩きつけた炎剣は地面を砕き、溶かし、膨大な熱波を生み出しつつ、彩斗たちを毬のように吹き飛ばす。
「うああ!?」
「彩斗っ!」
叫びつつもスララはリコリスで彩斗の全身を覆った。直後、アルシエルが跳ぶ。吹き飛ぶ二人に容易く追いつき、右の掌打で、再びスララの胸を打つ。
「あう……!」
背後の岩に当たり、大きく弾むスララ。遅れて巻き起こる衝撃波。
「スララ――!」
「アアァ、ベリアル! お前を殺ス、殺スッ! そのために! ゥゥウアアッ!」
アルシエルが魂の底より怒号を放つ。
火の粉と粉塵が盛大に飛散する中、烈火の爪が振り回される。融解した岩と焼けた地面により地獄の光景を生み出され、熱にまみれた衝撃波が、アルシエルの周囲をを丸ごと溶かし、際限なく破壊の痕を刻んでいく。
この時点で、アルシエルの脳裏に正常な思考能力などない。目の前の光景を正確に認識しているかすら怪しい。彼女の中でこの闘技は負けてはならない戦いであり、負ければベリアルへの復讐が遂げられない。だから、それだけを防ぐため、彩斗たちをベリアルと誤認して戦う。
「アアァ、ァァ、アアアアッ!」
例外は、スララを殺してはならないという家族愛だけ。
アルシエルの中で、彼女だけはかろうじて妹だと認識だれている。
しかし時にベリアルと誤認し、けれどどこかで『スララだけは殺してはならない』と無意識下で抑制し、彼女だけは殺さない。
「ベリアスは私が殺す! 私が! 私が! ベリアルを! ゥうアア、アアアア――ッ!」
論理的な思考も言語もなく。
ただ烈火の爪を振り回し、膨れ上がる感情に身を焼かれながら。
アルシエルは天へ向け――怒りの雄叫びを放っていった。
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