第82話 規格外

漸く馬車馬の厩舎が完成したのでイルメス馬具商会に預けていた十頭を引き取る事になる。セバスチャン以下馬に乗れる者全員で馬車に乗り十頭を一度に王城に連れて来た。早足で進むが今まで乗っていたハンター種より早いので第三厩舎以外のスタッフは慌てて乗っていた


「馬の嫌がる事はしないように馬なりで歩かせる様に。無理に手綱を引くと走り出すから気を付けて」


「「「「「はいセバスチャン様」」」」」


何とか王城に辿り着き掃除され綺麗になった第三厩舎の馬房に移動する。フューチャーシップは入口最初の馬房に決めた。理由は他の馬が目に入らない様にとプリンセスリンの視界に入らない様にする為である。お互いボスであるので早かれ遅かれ序列が決まるが競馬で走るまでは接触させない様にスタッフ全員に統一させた



次の日、早速王妃様がフューチャーシップを見に来た。それも午前中にである。セバスチャンが巡回で居ない時に現れ一頭ずつの小さな放牧場にいるフューチャーシップをライアンに連れてこさせ跨ろうとして振り落とされフューチャーシップは放馬してしまった


「王妃様ご無事ですか?」



「私は大丈夫よ。直ぐにフューチャーシップを捕まえて!」


「「はい王妃様」」



ライアンは王妃様に命令されミシェルとロワイヤルの三人でフューチャーシップを捕まえに行くが兎に角足が速いのでどんどん離されていく。三人で追いかけていたが

ロワイヤルが「ライアン、ミシェルはフューチャーシップを引き続き捕まえに行ってくれ。私はセバスチャン様に連絡してくる。セバスチャン様が一番フューチャーシップの事を分かってられているので」



二手に分かれライアン達は追いかけ、ロワイヤルはセバスチャンを探しに向かう



セバスチャンは第一厩舎でスーパァとハンゴーの三人で午後からの調教作業の打ち合わせをしていてフューチャーシップの放馬を全く知らない状態であった。


「ハンゴー、昼からパンコを第三厩舎に来るように伝えてくれ。スーパァはハンゴーに厩舎作業を任せて第一厩舎の馬達の調教を行ってくれ。技術が伴ったら新しい馬にも乗ってもらうから」


「「畏まりましたセバスチャン様」」



第一厩舎での申し送りが済んだので近衛騎士団に向かう事を考えていたらロワイヤルが大声を上げてやってきたので落ち着くように声を掛けるとロワイヤルから「セバスチャン様申し訳ございません、実はフューチャーシップが放馬しました」


「何だって!」



セバスチャンは焦ったが直ぐに理由が分かった


「もしかして王妃様が乗ろうとした?」


「はい、セバスチャン様。跨ろうとした時に振り落とされそのまま走り出して行きました」


「王妃様は無事ですか?」


「はい打撲はありますが無事です」


それを聞いたセバスチャンはどの方向に走っていったかロワイヤルに聞き坂路コースの方に向かった事を聞き急いで馬を走らせる



「フューチャーシップは全てが規格外だから追いつくのも一苦労だよ」




ライアン達を追いかけるセバスチャンであった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る