第67話 危ない橋を渡る

第三厩舎にロワイヤルが配属された頃、イルメス馬具商会の商会長エイダンは二十人

と大きなキャラバンを組みモンサン帝国より帰途の最中である。一ヶ月近い間、商会を空けてセバスチャンからのオーダーである競走馬に使える馬の購入は苦難の連続であった



まずモンサン帝国はキングダムより競馬文化が進んでおり既に他所の国から自国にいる馬以外の品種を集め競馬に向く馬の開発を行っており貴族も自ら競走馬を所有して

速さを競い勝つ事で地位向上や金銭のやり取りを行っていた。なので競馬に負けて支払う金銭が無いと手持ちの馬を手放し、借金の代わりになったりとしていた



エイダンはモンサン帝国に入ると情報を集めて走るのが早い馬を所有している貴族で負けが込んで支払う事が出来なくなっている話しを聴き回っていた




「流石競馬はキングダムより進んでいますね。上手くいけばセバスチャン様にいい馬を紹介出来そうですね」



エイダンは情報屋や商人のネットワークを駆使して金銭に困っていて尚且つ競馬に向く馬を所有している貴族を探していた。その中で帝国の伯爵の位を持ち競馬でいい成績を上げている馬を所有している貴族が居る事を掴む。その貴族は強い馬を何頭も所有しているが競馬以外の領地経営を失敗して多額の負債を抱え持ち馬の処分を待つ貴族達のターゲットになっていた。どの位の金額で売却するか仲介人を挟んで確認を取り帝国の貴族より高い金額で買い取る事が出来た。詳しく言えないが持って来た金貨の殆どを使う事になり帰りの食事代が足りなくなり早馬を出して商会からお金を取り寄せる事にまでなる



特に危険だったのは帝国の国境を通過する前後で十頭の馬を連れていたので色々探りを入れられ通過後に帝国の貴族が雇った盗賊まがいの集団に襲われたりと怪我をしたりはしたが何とか王都に帰り着く事が出来た



馬には怪我が無かったが護衛は負傷者が沢山出て通常の賃金+怪我手当を支給したので護衛の者達は納得したが実際、ここまで危険な護衛になるとは全員が思ってはいなかった



商会の厩舎に繋がれた十頭の馬は飼い葉や水を取り少しずつ落ち着いてきた。商会の従業員がブラシ掛けや蹄の確認を行い明日、来るようになっているセバスチャンに見せられる様に準備を整えていた「いい馬には間違いないのだが実際走っている姿を私も見ていないのでそこだけが心配だがセバスチャン様にいい値で購入して頂かないと大赤字になるので見た目も綺麗にしておかねば。皆、馬の世話を頼むぞ」


「「「「「はい旦那様」」」」」



従業員達は一斉に返事をして馬の世話を続けるのであった

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