第66話 やる気は溢れているが・・・・・

屋敷に帰り着いたセバスチャンは今日の授業内容と教え方と言うより伝え方の問題だと自己分析しながら次回の資料の作成を行っているとドアをノックする音が聞こえ「お仕事中失礼します。ラーユーですがよろしいでしょうか?」

「どうぞ」と伝えるとラーユーは入室して来てセバスチャンに「夕食はどうされますか?お帰りになられた時に使用人の誰もが確認をしておらず大変失礼しました」と使用人としての役割を果たせず主人を困らせてしまったとの気持ちで暗い顔をしていたのでセバスチャンは「ラーユー、私も食事は忘れていたよ。仕事を持ち帰っていてそれに集中していたから私も同罪だよ。以前、ターシャに遅くなる日は準備はしなくていいか用意するかを朝、出かける前に伝えると私から話していたのに忘れていて聞かれるような状況は仕事の効率が悪く拘束時間が伸びて済まない」


セバスチャンは使用人に丁寧に説明、謝るがかえってラーユーが困惑していたので

「済まない軽食でいいので準備してくれるかな。それが終わったら休んでくれ」

「畏まりました。片付けはよろしいでしょうか?」

「大丈夫だよ。朝、片付けしてくれたらいいので終わったら早く休む様に」

「ありがとうございます」


一礼したラーユーは退室してキッチンに待機していたジョエルに軽食を準備をしてもらいセバスチャンに届けると再度頭を下げて「セバスチャン様もご無理をなさらない様に。ではお休みさせて頂きます」「ああ、ラーユーお休み」


セバスチャンは用意された軽食を食べて講習会の資料を見直しを行っていたが満腹感と疲れで思考が鈍って来たので止めて寝間着に着替え就寝する



「セバスチャンよ中々頑張っているな。もうすぐエイダンが足が速く瞬発力のある芦毛の馬をキングダムに連れて帰るのでその馬を競馬で走らせ能力を確かめよ。そして

プリンセスリン等の雌馬に種付けを行い新たな品種を作るのじゃ。そうサラブレットのスタートだ。頼むぞセバスチャン」


朝、起きるとセバスチャンは人馬神ダーレーからのお告げをしっかり覚えており「近い内に教会にお供え物を用意して伺うかな。やっぱり人参が良いかな?」等考えながら着換えを終え食堂に向かいホールを歩いていたダイジンに声をかけ「ダイジン、以前ターシャに話していたのだが私の夕食は朝、必要か不必要か必ず伝えるのでもし私が伝え忘れていたら屋敷を出る前に確認をして欲しい」「畏まりました」


夕食の件を再度伝えてセバスチャンは王城に向かう



第三厩舎に着き放牧作業を行っているとアーサー近衛騎士団長が一人の男性を連れて現れ「セバスチャン殿、今いいかね?」「アーサー殿、うちの執務室で少しお待ちください。もうすぐ放牧が終わりますので」とお互いに話すとアーサーは男性を連れて執務室に入る。


放牧を終え引継ぎ作業を終えて執務室に入るとアーサーから「済まないな急に連れて来て。前もって着任日を決めてから進めるつもりだったのだがこいつが早まって近衛のやつらに話しをしたので少し揉めて今日からこっちで仕事をしてもらう。おいっセバスチャン男爵に挨拶をしろ!」


「セバスチャン男爵初めまして。この度第三厩舎に配属されたロワイヤル・メンボーです。階級は騎士伯で昨日まで近衛騎士団騎馬隊に所属していました。先日の競馬をみてセバスチャン男爵に憧れています!皆を従えて行ける様になりますので宜しくお願い致します!」


「因みにメンボー殿は幾つですか?」「はい十八歳です。何か気になりましたか?」


セバスチャンはアーサーの顔を見るとアーサーはお手上げみたいなポーズを取り問題ありな人間を宰相は回してきたと確信する。それに彼の年齢では騎馬隊として戦争や小競り合いにも参加した事がないので訓練だけでロワイヤル自身が満足していない事と騎士団で扱いに困っていたのだと推測する


「ロワイヤル殿、これから研修を受けてもらうが今日一日は第三厩舎のスタッフと一緒になって同じ作業を行ってもらう。先程アーサー殿と待たれた間、私は放牧作業

を行い朝礼を行った。厩舎長とはいえ作業が出来なくてはスタッフは付いて来ないからそこは勘違いしないように。では貴方の教官を紹介するので付いてくるように

。アーサー殿ありがとうございました。巡回後、報告に伺います」


全員執務室を出てアーサーは近衛騎士団へ戻りセバスチャンはロワイヤルを連れて放牧場に向かう。「ロワイヤル、これからは私の部下になるので切り替える様に。もう一点、スタッフに紹介するが自分は上の立場だと思って付き合うと彼らは付いてこないぞ。土に塗れて馬糞臭くなるだろうけど同じ様に作業をこなさないと心を掴めないので勘違いしないように」

「はいセバスチャン様!」

放牧場にいたアイゼンや他のスタッフ全員を呼びロワイヤルを紹介する


「皆さんロワイヤル・メンボーです!この度第三厩舎に配属になりましたので宜しくお願いします!馬に乗るのは得意なのでこの間の競馬で見た乗り方も簡単にマスター出来ると思いますので是非教えて下さい!」


やる気はあるのだが空回りしているので心配な上にモンキースタイルを簡単にマスター出来るなんて言ったものだからライアンとミシェルの顔色が変わっている


「皆、済まないな作業の手を止めて。後、アイゼンは当面ロワイヤルの担当教官として厩舎作業の指導を行う様に。これは現在行っているリーダー研修の一環と考えると上手く行くと思うので昨日講習で話した報連相を実行してみて。では今から厩厩舎巡回に行くので頼むね」



「畏まりましたセバスチャン様」



「ではロワイヤル、アイゼンに従って作業してくれ」



「了解です!」



何とも言えない不安を抱え巡回に行くのであった


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