第37話 閑話その3・・・金の盃で乾杯?
年末年始の冬休みが終わり新年初めの仕事始めで会議室に社員全員集まり社長や
他のお偉いさんの話しを聞いていた
「今年も特に変わったことは言わなかったな。それより昼休みが待ち遠しい」
和雄は話の間今日から開催される中央競馬のメインレースを買いたくて仕事半分
の所があり他の同僚から「意見さんソワソワしてトイレですか?我慢せず行った方がいいですよ」と妙に気を利かせてくれるのだが「ありがとうトイレじゃないから
大丈夫だよ。心配かけてすまんね」
一時間ほどで話しが終わり業務に付き午前中の仕事をこなすが殆どが新年のご挨拶で
急ぐ仕事も無く平和な雰囲気だが和雄の心は競馬で埋め尽くされていた
十二時の休憩のチャイムが鳴ると和雄はダッシュで外出して会社近くにある場外
馬券場に馬券を購入に行く「平日なのにな~結構人が居るよね」
場外馬券場は色々な年齢層のお客さんがごった返しており年末の大レースの時ほど無いが盛況だ
「さて早く買って帰らないとご飯食べる時間が無くなるよ」と思いながら東のメインレースと西のメインレースの馬券二種類購入して場外馬券場を後にする
そして毎年ゲン担ぎで食べている会社傍の立ち食い蕎麦屋で天麩羅蕎麦を食べて大急ぎで会社に戻る
現在はスマートフォンやパソコンで家や外に居ても馬券が買えるが和雄もスマホで購入もするのだが年の最初のレースはデジタルでなくアナログでないとと妙なポリシーがあり今回はそれで和雄が苦しんでいるのだが・・・・・
そして十五時を過ぎるとまたソワソワし始めて二十分過ぎ遂に同僚に「お腹の調子が
悪くて暫くトイレに行ってくるからごめんね」
「やっぱり意見さん体調が悪いじゃないですか心配しないでゆっくりして悪いなら医務室に行って下さいよ」「分かった。ありがとう」
返事もそこそこでトイレに向かうスーツのポケットにはスマホとヘッドホンが入っていた
トイレに行きドアを閉め座るとすぐさまスマホのTVチューナーを起動させヘッドフォンを耳にセットする
「さてどうなるかな当たったら帰りに飲みに行こうかな?」何とかの狸の皮算用みたいな事を考えながら画面を眺めている。声を出したいがバレるので静かに息を殺してレースを観戦していた
そして二十分後、腑抜けた顔の和雄が戻って来て「意見さん先程より顔色悪いですけど大丈夫ですか?今日は本当に大した仕事も無いから早退しても大丈夫ですから」
顔色の悪い原因を知らない若い同僚は優しい声を掛けてくれるが和雄は一言
「大丈夫、後一時間だから」と元気のない声で答えるのが精一杯だった
就業時間になり家に帰る和雄の後ろ姿は哀愁が漂っていた・・・・・・・・・
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