107, 0-65 幕間・毒舌プリーストの蟒蛇
・エミリアの
前回のあらすじ
ジョニー、ジョニー、私のジョニー
「ジョニーが・・・駆け落ち・・・?」
ギルマスが倒れ、ジョニーに任せてと言って、人助けのために看病していた。
『仕事に、仕事に戻らなければ~~~』と禁断症状のように暴れるギルマスを監視するために、ビブリチッタ様の教会を管理している神父様やシスター・リリスと交代しながら一週間過ごし、やっと一息つけることになって、冒険者ギルドでジョニーを待っていたら聞こえてきた噂。
ジョニーが貴族のご令嬢と駆け落ちをして・・・、国を出たらしい。
「ど、どうして・・・」
(ジョ、ジョニーは私の運命の人のはず・・・。私を置いていくわけがないのに・・・)
「お~い、善意の。ちょっと来てくれ」
落ち込んでいる私をジャイルズさんが呼んだ。
「なんですか・・・」
「なんか元気がないな。大丈夫か?」
「大丈夫です。それより、なにかお困りですか?」
「ああ、こいつらが
「・・・はい、任せてください」
「ナメんじゃねぇぞ・・・。おっさんをナメんじゃねぇっ!!」
無精髭を生やした冒険者が
短槍は折れてしまったけど、軽鎧ごと胸を貫かれた
「や、やった・・・?」
小柄な斥候職の冒険者が気の抜けた顔で呟いた。
「回復魔法を使います。自分で治せない人は来てください」
私がそう言えば、大盾を持った冒険者が申し訳無さそうに言う。
「わ、悪いねエミリアちゃん。俺、ちょと腕が折れたかも・・・。魔力も残ってないんだ。頼むよ」
「はい・・・」
回復魔法を使っていると、双剣を鞘に収めた女性冒険者が明るい声で言う。
「でも支援魔法ってホントに凄いね。いつもより体が軽かったよ」
「助けになれたのなら良かったです・・・」
無精髭の冒険者が拳を上げて大きな声で言う。
「よし、今日は祝い酒だ!飲むぞ~~~~!!」
「「「お~~~~!!」」」
(みんな幸せそう・・・)
ギルドの酒場でお祝いをするという冒険者達。
私が帰ろうとしたら「奢るから一緒に祝ってくれ」と誘われた。
(これも人助け・・・)
「俺達『酒宴の
「「「かんぱ~~い!!!」」」
みんなはコップを掲げて、お酒を飲み始めた。
私がお酒が入ったコップを見つめていると、女性冒険者が気遣ってくれた。
「どうしたのエミリア・・・?そういえば貴女いくつだっけ。もう16だと思ったんだけど・・・」
「はい、ちょっと前に16歳になりました・・・」
「じゃあお酒飲むのは初めて?」
「はい・・・」
「そっか、じゃあ少しずつ飲むといいよ」
「はい・・・」
私はお酒を飲む。
気づいたらコップは空になっていた。
お酒を注文して飲む。
(ジョニー、ジョニー、私のジョニー)
お酒を注文して飲む。
(ジョニー、ジョニー、私のジョニー)
お酒を注文して飲む。
(ジョニー、ジョニー、私のジョニー)
お酒を注文して飲む。
(ジョニー、ジョニー、私の――――)
「おい善意のよ~。お前そんなペースで飲んでよ~。全然酔ってねぇじゃねぇか~。まさか解毒魔法使ってるんじゃねぇだろうな~。酒を飲むとき解毒魔法を使うなんて邪道だぞ~」
立ち上がった無精髭の冒険者が近づいてくる。
(この人は確か・・・)
椅子を立ち、無精髭の冒険者から離れる。
周りを見ると他の冒険者達も距離を取っていた。
無精髭の冒険者はヨロヨロとした足取りで、フラフラと歩き回り、
そして嘔吐した。
私は、ジョニーがよくやっていたように離れた位置から解毒魔法を使う。
無精髭の冒険者は「すまん」と言って床掃除を始めた。
この人は『恥知らず』の二つ名で有名な冒険者だった。
「今日はお開きだね」という小柄な冒険者の一言でお祝いは終わり、私は宿に帰る。
(ジョニーは今どこにいるのかな・・・)
ジョニーがどの国へと旅立ったのかわからないから追いかける事も出来ない。
目を閉じて、胸の前で手のひらを重ね、ファタリーノ様へ祈りを捧げる。
(ジョニーが今いる場所をお教えください・・・)
一晩祈りを捧げてもファタリーノ様は応えてくれない。
次の日の朝、マザー・ウィニーのお墓へ行く。
お墓の前で祈りを捧げる。
(ジョニーが今いる場所を教えてください・・・)
マザー・ウィニーは答えてくれない。
仕方なく冒険者ギルドへ行くと、掲示板には珍しく手書きの依頼票があった。
「開拓村への護衛依頼・・・?」
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