053, 3-07 ストーカーへの貢物

前回のあらすじ

 変態か!



いい宿なので、もう一泊するため銀貨5枚払う。何がいいって宿屋の母娘がいい感じだ。

朝飯を食っている間、毒舌プリーストが何か言っているが、俺の予定は決まっている。



宿を出る俺。

付いてくる毒舌プリースト。

やはり、ストーカーか?

武器屋でゴブリンのナイフを売る。30本で金貨1枚、結構な儲けだ。

武器屋に並んでる中古ナイフは銀貨2枚だが、鞘も付いているし、売る前に研磨とかしてるはずだ。


鍛冶屋で剣の手入れについて聞く。無料で教えてくれた。この世界の人間は基本いい人達だ。


靴屋でブーツを買う。

冒険者が愛用する鉄板入りのブーツだ。

小型モンスターの噛みつき攻撃ぐらいは防げる。



無機物に魔力をまとうと破損率が高くなる。

魔法刻印が刻まれた魔法具やミスリル製の武器や防具は破損しないが、鋼の剣に魔力をまとって20回も斬りつければ折れる。

この魔力をまとう、というのは身体強化の延長だ。体に密着していると自然に魔力をまとうが、体から離れると難しくなる。

俺はすぐさま出来たが、剣先までの強化は練習が必要で少し難しいらしい。

魔力をまとうと切れ味が良くなる。大型モンスターを相手にする騎士は、ミスリルのロングソードが標準装備だ。

身体強化を使うと服や靴も強化される。

流石に服を強化しても大して防御力はないので、冒険者は基本的に革鎧を着ている。衛兵も革鎧だ。騎士は革鎧の表面をミスリル加工した軽鎧のような防具で、フルプレートアーマーなんて着込んでいる奴は見た事がない。

金に余裕がある冒険者は変わった鎧を着たりする。親切爺も最初に会った時、スケイルアーマーを着ていた。


冒険者は新人でもなければ皆魔法を使えるが、魔法が上手く使えるかどうかはまた別の話だ。

身体強化の練習は、武器の柄に魔力をまとわない事を優先する。

だから、魔法が下手な冒険者にとってブーツは消耗品だ。


ちなみに、剣が折れても鍛冶魔法を使えれば元通りに出来るが、俺は使えない。

魔法はイメージ。頭の中で粘土をこねて剣を作るみたいな感じだ。

エロシスターに貰ったフォークをこねくり回したが、結局最後は鉄の箸になった。

包丁で試した研磨魔法は使える。砥石で研いでいるイメージだ。前世でも見た事があるし簡単だった。

綺麗に折れたら、くっつけるだけ、ぐらいは出来るかもしれないが、試す気はない。

だから俺は、武器に魔力はまとわない。



ブーツは金貨2枚。普通の靴が金貨1枚ぐらいなのでかなり安い。冒険者用に量産化されているからだろう。

俺がブーツを買っているのを見て、毒舌プリーストがゴネる。

「私・・・買えない」

毒舌プリーストが元々いくら金を持っていたか知らないが、昨日の取り分は金貨2枚、宿屋の代金と食事代を払ってしまうとブーツは買えない。

昨日もなんかゴネていたし、ブーツを買ってやればストーカーをやめるのか。魔法装備は持っているくせにブーツは持っていないのか。

そんな思いでブーツを買ってやる。俺も所持金がほぼゼロだ。



この後、冒険者ギルドで畑護衛の依頼を受けて、金貨1枚を稼ぎ、宿に帰る。

毒舌プリーストも何故なぜか一緒に依頼を受けた。

犬型モンスターを魔法杖でガスガス殴りつけていて、かなり怖かった。

相手はモンスターだが、殺し方がな・・・。

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