030, 2-06 モンスターとの戦い
前回のあらすじ
し、神父様!
イケメン師匠と一緒に街を出る。街門の近くにはイケメン師匠と同じ革鎧を着て、同じ腕章をした衛兵が10人いた。
街門を出て少し離れたところに畑が広がっており、あれなら夜は見逃すかもしれない。
「なんで畑はあんなに離れてるの?」
「人がモンスターに襲われても、
意味がわからん。人が襲われたら助けたほうがいいんじゃないか。
しかしよく話を聞いてみると、門の近くにいる衛兵はあくまでモンスターが街に侵入しないように待機していて、いざという時は門を閉めるという。
近くで人が襲われて、
そして、街から少し離れた位置に壁で覆われた場所があった。その壁は薄茶色でずいぶんと低い。街壁や街道は薄いクリーム色で、薄茶色の壁とは材質も違うように見える。
「あれは村なの?」俺が指をさしそう聞くと「いや、あれはお墓だよ。人が亡くなったらあそこに埋めるんだ」とイケメン師匠は答えた。
壁がある理由は墓参りのためだという。衛兵に申請すると墓まで送ってもらえる。申請はあくまで護衛のためであり、冒険者を雇ったり、そもそもモンスターを倒せる力があれば、いちいち申請しなくてもいいそうだ。
普人の国では土葬と火葬があり、火葬にして骨壷を手元に置く人もいる。土葬も火葬も聖職者が立ち会い、魔法で穴を掘ったり、燃やしたりする。燃やす時は
どの宗教を信仰していても、行き着く先は神々が住まう場所、というのがこの世界の人々の感覚らしく立ち会う聖職者は誰でもいいそうだ。
そして聖職者の立ち会いも、聖職者がいる場合に限りであって、小さな村とかはみんなで埋葬するという。
眼光エルフがなんかよくわからない宗教理論を口にしていたが、普人の国では宗教対立みたいな面倒くさいことは起こりそうにないな。
畑にも護衛の衛兵がおり、衛兵以外の武装した人間もちらほら見える。冒険者だろう。畑は広いので護衛の数が足りるとは思えないが、いないよりはマシだ。
畑も壁で囲えばいいのでは?と思ったが日差しがないとな。街の中の畑は街の中央にあったし。畑のために壁を作るとなると、もう一つ街を作るようなものだ。
街壁を作るのに、どれだけの時間と魔力がいるのかわからないが、作ってないということはあまり現実的ではないのだろう。
俺がそんな事を考えていると「来たぞジョニー」と言いながら指をさすイケメン師匠。見れば犬型の魔物が三体こちらに向かってくる。
孤児院を出る前に鋼の剣を貸してもらったので、それを抜いて魔物に向かう。
身体強化を使えば、飛びかかってくる魔物はあっさりと倒せた。
特別なことなどない。ただ避けて、首を狩る、それを繰り返すだけだ。
前世の俺が普通の犬に飛びかかられたらパニクって何も出来なかっただろうが、今生の俺は訓練もしたし魔法も使える。
生き物を殺せるか、殺した後にショックを受けないか、俺の懸念はそこだけだったが問題なさそうだ。
その後も数体の魔物を倒し、街に戻った。
モンスターも倒せたし、立ち合いもうまくなってきたし、そろそろ必殺技を覚える時期だろう。
そう思って次の日、イケメン師匠に聞くと「必殺技かぁ、そういう物がある流派もあるみたいだが、俺が読んだ本にはそんな物なかったな」と残念なことをいう。
確かに本には載っていなかったが、独自の技とか隠してるんじゃないか。俺が強くなってエロシスターが俺に惚れ直すのを妨害しているんじゃないか。そんな疑問を抱きながら、いつも通り立ち合いに挑む、しかしうまくいかない。
イケメン師匠が常に後ろに回り込むように動いてくるのだ。これで後ろから攻撃されたら即終わりだが、そんなことはせず、ひたすら後ろを取るイケメン師匠。うざいし、キモいし、イライラする。
立ち合いが終わった後、俺はまるで子供のようにイケメン師匠の膝にパンチして、エロシスターに甘える。俺は今は子供だ。だからエロシスターに甘えていいんだ!そんな思いで腰にしがみつく。
「衛兵さん、ジョニーをイジメないで」
そう庇ってくれるエロシスター。フッ、や~い衛兵さん、叱られてや~んの。
「別にイジメてはいないさ。ジョニー・・・一撃必殺の技なんかより、相手の動きをよく見て回避するほうがずっと大事だし、手強いとわかっただろ。命は一つしかないんだ。死なないためには、敵を倒すことよりも生き残る方を優先しないとな」
そう言い訳するイケメン師匠。男らしくないぞ!俺はエロシスターに甘えながらそんなことを思った。
次の日、俺とエロシスターがイチャイチャしていたのが気に入らなかったのか、衛兵の兵舎に連れて行かれる。
なんだ!俺をどうする気だ!職権乱用か!!
そんな恐怖に震える俺を兵舎の裏手に連れて行くイケメン師匠。そこには馬がいた。
「乗馬も少し覚えておこう。街から街へは辻馬車での移動が普通だが、護衛依頼で馬に乗ることもあるかもしれない」
だが俺はイケメン師匠より、そこにいた女衛兵に注目していた。ぴっちりとした乗馬パンツがエロい。
そして俺の妄想が始まる。
「さあ、掴まりなジョニー」
「えい!」
「ちょっと、そこに掴まっちゃダメ!あ、ダメよジョニー♥」
そんな妄想をしていたら馬に乗ったイケメン師匠が俺を引っ張り上げる。
「よし、掴まれジョニー」
どうしてこうなった!
そして俺が10歳になった頃、人妻信徒のお手伝いの帰り道、変な子供を見かけた。
男の子か女の子かわからないが、とてもきれいな顔立ちで、キラキラと輝いている子供。
別に比喩表現とかではなく本当に光り輝いている。
あれは普人なのか?と思いつつ見ているのだが、周りは完全に無視している。
しかし、俺にしか見えていないわけではなく、小さな子供が指をさすと、母親と思われる女性は見ちゃいけません、という感じで腕を降ろさせ目を覆う。
なんだ、なんかやばい生き物なのか・・・。
危険そうなので俺も無視して孤児院に帰ろうとすると、その光り輝く子供はトコトコと俺の方に歩いてきて言ったのだ。
「お前、異世界転生者だろ」
そいつはひと目で俺の正体を見破った。
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