第26話 初めてのお菓子作りとアイヤの真実

本選1回戦が終わりユアリア街に帰ってきた、ゆりことアルファ。


ゆりこはみんなに1回戦突破した事を報告すると、街の人達は拍手をした。


ゆりこ「みんなありがとう。次も頑張るから!」


リディック王「よし!今日は1回戦突破のお祝いだ!みんな盛大にやろう!」


街の人達はそれぞれ料理を準備しに行った。


アイヤは魔法で作った花のネックレスをゆりこに渡した。


アイヤ「僕が作ったネックレスです。良ければ貰って下さい。」


ゆりこ「ありがとう。アイヤ。」


ゆりこは花のネックレスを着けた。


アイヤ「似合いますよ。」


ゆりこ「そうかな?大事にするね?」


アルカは花束を渡した。


アルカ「おめでとうございます。」


ゆりこ「ありがとう。アルカ。」


他にも街の人達やリディックからも貰い、喫茶店の二階に貰った物を置いた。


そして久々のゆっくりした時間の中、サラが血相をかいて走ってやって来た。


サラ「ゆりっぺ!助けて…。」


ゆりこ「どうしたの?」


サラ「明日の料理大会2回戦のテーマが…。」


ゆりこ「どんなテーマだったの?」


サラ「コーヒーに合うお菓子…。」


ゆりこ「サラはお菓子作れないんだっけ?」


サラ「無理だよ…。」


ゆりこ「なら今から練習しよう?」


サラ「いいの?」


ゆりこ「もちろん!」


サラ「ありがとう…。」


ゆりこはサラと共に喫茶店の厨房へと入った。


ゆりこ「作りたいお菓子のイメージはあるの?」


サラ「色々と調査をしたの。それで一番合うのは、マフィンかなって。」


ゆりこ「ただのマフィンじゃなくて、チョコチップマフィンはどうかな?」


サラ「いいかも!」


ゆりこ「じゃさっそく作ろう!」


ゆりこはサラに基本的なマフィンの作り方を一から教えてあげた。


何度も失敗を繰り返していたが、サラは真剣そのものだった。


ゆりこ「少し焦げたわね。」


サラ「今度はオーブンの温度を少し下げてみる。」


それでも失敗をしていた。


ゆりこは責めたり怒ったりはしなかった。


ゆりこ「少し良くなってきた。この調子。」


サラ「うん!頑張る。」


次第に上手くなってきて、36回目。


やっと成功した。


サラは成功した分量やオーブンの温度をメモをした。


サラ「ゆりっぺ!出来たよ!」


ゆりこ「うん!上出来だよ!このマフィンにチョコチップを練り込んで今度はやってみよう!」


サラ「うん!」


街の広場が騒がしくなって来た。


ゆりこは喫茶店の窓から見た。


ゆりこの1回戦突破のお祝いの準備がもう整えていた。


厨房に戻ると、サラは何個もチョコチップマフィンを作っていた。


サラ「行って来ていいよ?お祝いなんでしょ?主役が居ないとダメでしょ?」


ゆりこ「でも…。」


サラ「私は大丈夫だから。」


ゆりこ「分かった!」


ゆりこは広場へと行った。


アイヤがやって来た。


アイヤ「調子はどうですか?」


サラ「なんだ、アイヤさんか。ぼちぼちかな。」


アイヤ「教えましょうか?」


サラ「自分でやる!」


アイヤ「分かりました。少しだけ僕の話に付き合ってくれますか?」


サラ「少しなら…。」


アイヤ「僕は昔、ある城の執事をしていました。しかし城は魔物と魔法使いに襲われて、王様やお妃様や、姫様が食べられてしまいました。僕はそこにいた魔法使いに、呪いをかけられました。大切な人を失えば妖精になってしまう。僕は、魔物が去った後に意識を取り戻し、砕け散った城から王子だけ見つける事が出来ました。そして、王子と僕は旅をしましたが途中で崖から、王子が落ちて行方不明になりました。その後に、僕は妖精になってしまい、ゆりこさんのお母さん、お父さんの魔力により人間界に行きました。」


サラ「そうだったの。王子の名前は?」


アイヤ「サラロイドですよ。王子。」


サラ「えっ!」


アイヤ「記憶がないのですね。僕が小さい時にあげた、白い石のブレスレットまだ着けていますね?」


サラ「これは…。でも私は人間界から来たはず。」


アイヤ「その後の記憶はありませんよね?」


サラ「確かに…。でも王子って柄じゃないし…。」


アイヤ「今は信じなくてもいいです。いつか思い出して下さい。」


そう言ってアイヤは透明な水晶を渡した。


アイヤ「手をかざせば思い出すはず。それでは僕は広場へ行きますね。」


アイヤは広場へと行った。


サラは水晶を袋に入れて、チョコチップマフィンを作るのに専念した。


やっと完璧なチョコチップマフィンが出来て、噴水のベンチに座っていたゆりこに持って行った。


ゆりこ「完璧ね!チョコチップマフィン美味しいよ!」


サラ「ありがとう。これで料理大会に挑んでみる!じゃ私は帰るね。」


サラは袋に入った水晶を抱えて帰った。


家に戻り水晶に手を置いてみた。


すると、今まで知らなかった事が見えてきた。


自分は王子だった事。

アイヤはサラの有能な執事だった事。

砕け散った城は今は魔物の住みかになってた事。


サラ「そんな…。本当に王子だったなんて…。アイヤさんが執事?疑問だらけだよ。明日、料理大会が終わってから、アイヤさんに聞きに行くしかないな。」


疑問を抱いたまま明日の準備をした。


一方、ゆりこのお祝いは夜まで盛大に行われた。

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