疑心

どうか忘れないで、一瞬の光が君の妨げになることを。

眩しくて手の届かない存在が君を蝕むことを。



きっと、恋は汚く深い沼に君を陥れるだろう。そして、愛は惨く簡単に君の命を奪っていくのだ。


そして、

美しい花は君を殺して、鳥の囀りが嘲り笑う、流れる川は君の大切なものを奪っていき、月の光は君の全てを消して、星の輝きは君を怨嗟の渦に巻き込んでしまうのだろう。



神様は美しいものを使って、

君を、わたしを、ぼくを、


奪っていくのだから。




それを、どうか、

どうか忘れないでいてね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る