中学1年

第1話 1年後の約束

入学してから1ヶ月と半月が経過。


仮入部期間が終わり、私はソフトテニス部に入部した。


半強制的に。


私は小学1年からソフトテニスをやっているし、母親はソフトテニス好き。祖父母はソフトテニスのシニアの大会で優勝するほど。

さらに祖父は、日本ソフトテニス連盟の役員。


入らない理由がないほどソフトテニスまみれだ。


仮入部も私はソフトテニス部にしか行かなかった。他の部活に入る気がないからだ。


そして今日は、本入部初日。

新入部員は、全部で7人。

全員私が知っている人。

 

私達はすぐに仲良くなった。

名前が『あゆみ』なのが2人いるからどっちか違う呼び方にしよう、とか言うようになるぐらい。


「ねえ、みんなでディズニー行きたくない?」

ある日、あゆみちゃんが言った。

「いいねー。日にちは空いている時の方がいいから6月1日の創立記念日がいいんじゃない?」

ももちゃんも賛同した。

「じゃあ、親に許可をもらってこよう!」

「いいよ」

みんながOK し、親に許可をもらってくることになった。


次の日。

みんな許可をもらっていた。

私を除いて。


昨日、母に聞くと母は言った。

「まだ中1なんだからダメ。中2になったら考えておく」


私の家は、小学校の頃に子供だけでどこかに行かせてくれた事がなかった。

だから、こうなることも考えていなかった訳ではない。

でもなんか悲しかった。

みんながワイワイ話している中、私は言った。

「ゴメン、許可取れなかった。来年ならいいって」

すると、せいらが言った。

「じゃあ、来年にしようか」

「うん、そうだね」

みんながあまりにも簡単に諦めた事に私は驚いた。

私が、

「どうしてそんな簡単に来年にしてくれるの?」

と聞くと、みんなが言った。

「だって、みんなで行きたいじゃん。みゆだけがいないのは嫌だもん」


こうして私達7人は1年後の6月1日にディズニーに行くという約束をした。


ただ、仲が良かったのは、ここまでだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る