ふたりはクッキングパンダ

ソレン砲

第1話 だんご

ここはジャパリパークにあるアヅアエン

このエリアは他のエリアより暖かく、セルリアンも少ない

そのせいかここにいるフレンズは気が緩んだフレンズが多いようだ

そしてここにも気が緩みきったフレンズが2人────


「あ〜いい天気だね〜」

「そうだね〜ジャイアントパンダちゃん…」


2人の名前はレッサーパンダとジャイアントパンダ

アヅアエンに生息しているフレンズで、本来は強靭で獰猛な熊の仲間なのだが……


「こんないい天気だとずっとゴロゴロしていたいね〜」

「そうだねーこの前の騒動でセルリアンも減ったことだし」


フレンズ型セルリアン騒動の後、2人はすっかり緩みきっていた。今は2人揃ってタイヤのブランコに揺られて気持ちよさそうにしている。

グ〜

ジャイアントパンダのお腹が鳴る


「何もしてなくてもお腹は空くね〜」

「じゃあそろそろお昼にしようよ」


レッサーパンダはゆっくり立ち上がり茂みの中に入っていった。


「確かここにじゃぱりまんの備えがあるはず……」

「あれ?」

「どうしたの?」

「もう……じゃぱりまんの備えが無い……」


何かあった時の為にと2人で蓄えていたじゃぱりまん───

そのほとんどは2人が何でもない時に食べてしまったのだ。


「そういえば私たち最近この辺でダラダラしてるだけだったし…」

「じゃぱりまんの調達もしてないし、食べるだけだったらそりゃすぐ無くなるよね……」

「よし……!」


さっきまで寝ぼけ眼だったレッサーパンダの目がバッチリ開く。


「ジャイアントパンダちゃん!今からじゃぱりまんを調達しに行こう!」


レッサーパンダはジャイアントパンダの方を振り向いた。


「zzz……」

「……」







「ちょっと!」

「ジャイアントパンダちゃん!寝ている場合じゃないよ!」


レッサーパンダはブランコを揺らして起こそうとした。

「起きて〜もう朝は終わったよ〜!」

ほっぺたをつねってみたりもした。

「じゃぱりまんがもう無いんだよ〜!」

「ん〜?じゃぱりまんが〜?」


ジャイアントパンダはゆっくりと目を開け、じゃぱりまんの備えがある茂みへ歩いて行く。

「あ〜本当だじゃぱりまんが……いったい誰がこんな事を〜!」

「いやそれは私たちなんだけどね……というかジャイアントパンダちゃん本当に寝てたんだね」

「え〜セルリアンに襲われたんじゃないの〜?」


そう言ってジャイアントパンダはあくびをする、どうやらまだ寝ぼけているようだ。


「とにかく!今からじゃぱりまんを調達しに行こうと思うんだけど……」

「え〜明日でよくない〜」

「よくないよ!」


レッサーパンダは完全に目を覚ましていた、ジャイアントパンダの影響を受けて知らず知らずのうちにダラダラしていた事からも。


「もう今日食べるものが無いんだから、今行くしか無いよ」

「行くって博士たちの所に?」


じゃぱりまんの一部は博士たちが管理していて、必要になるとフレンズ自ら博士達を訪ね、じゃぱりまんが無償で配給されるシステムになっている。

一見すばらしいシステムだが、博士がピンハネしまくっている事を一部のフレンズでは問題視されている。


「そうだね……ここから少しかかっちゃうけど……」

「問題はどのくらい貰えるかなんだよねー博士の気分でくれる量ばらばらだからねー」

「あ〜それなら私いい事知ってるよ〜」


眠そうにしながらジャイアントパンダが手を挙げる。


「なんかね〜りょうり?を渡せば喜ぶんだって〜」

「りょうり?」


聞き馴染みの無い言葉にレッサーパンダは首をかしげる。


「そう〜食材を組み合わせて作るんだって〜」

「なんでも〜今までりょうりを渡したフレンズには、じゃぱりまん50個もあげた事もあるらしいよ〜」

「えー!じゃぱりまんを50個も!」

ぐ〜

レッサーパンダのお腹が鳴る

じゃぱりまん50個、ここでゴロゴロしながら生活するには十分な数字だ、是非とも手に入れたいとこだが……。


「でもりょうりってどうやって作ればいいの?」

「ん〜わかんないけどじゃぱりまんみたいにすれば良いのかな〜?」

「ちょっと作ってみるね〜」

「え!ジャイアントパンダちゃん作れるの!?」

「なんとなく……できるかもしれない」


ジャイアントパンダはその場に座り込んで土をいじり始め何かを探し始める、柔らかい赤茶色の土を見つけると、そのまま掴んで、手で捏ねながらしっかり握り込みながら手で丸めて形を整え、やがて土の塊が綺麗な球体となり───


「できた〜」

「ジャイアントパンダちゃん……これただの土団子だよ……」

「ふっふっふ〜ここで終わりじゃないんだよ〜」


そう言ってジャイアントパンダは近くの雑草を引き抜き、それを半分に引きちぎり地面にばら撒く、その上に先ほどの土団子を乗せ、数回コロコロと転がすと土団子の表面に雑草が付き、見栄えの悪い土団子の茶色に鮮やかな緑色が入る、さらにその辺に落ちてる小石を拾い土団子の中に入れ、大きめの木の、大きめな葉っぱをちぎり、土団子を覆うように包むと───


「完成したよ〜レッサーパンダちゃん〜」

「いや……やっぱりただの土団子だよこれ……」

「これで博士たち喜んでくれるかな〜」


ジャイアントパンダはご機嫌な様子で作った土団子を竹の皮で包み始める


「多分りょうりってこういう事じゃないと思うんだけど……」

「一応大きいのと小さいの両方用意したんだ〜」

「え、2つも作ったの!」

「大きい方はちょうどいい大きさの小石探すの大変だった〜」

「いらないよそのこだわり!」


レッサーパンダの嘆きも届かず、土団子はしっかりとお土産用として包みに入れられた。


「よ〜し、じゃあ行こうレッサーパンダちゃん」

「えー本当にそれ持って行くの?」

「そうだよ〜思ったよりよく出来たし〜博士たち喜びそうかな〜って、それに……」

「これでじゃぱりまん貰って、またレッサーパンダちゃんとゴロゴロしたいからね〜」


ジャイアントパンダはそう言ってレッサーパンダの方を振り向き微笑んだ


「ジャイアントパンダちゃん……」

「そうだね……行くだけ行ってみようかな……」

「うん〜それじゃ出発〜!」




かくして2人のじゃぱりまん交渉の旅が始まった、果たして博士たちはあのりょうりでじゃぱりまんを渡してくれるのか?

次回へ続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ふたりはクッキングパンダ ソレン砲 @hourensou85

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ