ネバーランドの最果てで

鬼灯

第1話 約束と現実


ボク「ねぇキミちゃんは、しょうらいどんな人とけっこんしたい?」

キミ「うーん、パパみたいにものしりで頭がよくて、カッコいい人!!」

ボク「じゃあ、ボクがものしりで頭が良くてカッコよくなれたら、けっこんしてくれる?!」

キミ「いいよ。」

ボク「ほんと!?」

キミ「なれたら、ね。」

ボク「約束だよ!!」


ボクの中の一番昔の記憶。近所の大きな公園にある花畑で、作った花冠を満足気に頭に乗せたキミちゃんはとっても綺麗で可愛くて、ボクの胸を高鳴らせた。「けっこん」なんて言葉の意味はちゃんと理解していなかったけど、確かにボクはこの時、君とずっと一緒にいたいって思ったんだ。






時は流れて10年後!

ボクはこの日から死にものぐるいで勉強というものをした。同級生が校庭で遊んでいる間にも、世が「たぴおか」なるものに現を抜かしている間にもボクは勉強と勉強と勉強をした!!

そんなボクに運命は味方してくれているようで、ボクの家は小さいけれど、病院で、両親は家を継がせるべく教育に力を入れていた。

中学校に入ってからどうも成績が伸び悩んでいるけれど、そーゆーのは妖怪のせいだって通りすがりの小学生が言っていた。ボクもそう思う。

と、言う訳で遊び惚けている同級生の中で、教室でもいつも勉強をしているボクの姿は、キミちゃんの心を射止めているに違いない!


ボク「好きです!付き合ってください!!」

キミ「え、ムリ。」

ボク「付き合ってください!!」

キミ「だから、ムリ。」

ボク「好きです!!!」

キミ「うん。」

ボク「付き合ってください!!!」

キミ「ムリ。」

ボク「......え?」

キミ「え?」

ボク「......。」

キミ「ごめん、ムリ。」

ボク「ええええええなんで!!??」

キミ「いや、逆に何で私があんたみたいな陰キャと付き合うと思ったの?」

ボク「陰キャ...!?え、ボクのことそんな風に思ってたの?」

キミ「当たり前じゃない。いっつも教室の端の方でうずくまってるんだから。」

ボク「それは、勉強してるから!」

キミ「あっそ。」

ボク「え、だってキミちゃんが頭のいい人が好きだって言うから、ボク勉強だけは頑張ってるんだよ!?」

キミ「そんなこと言ったっけ?」

ボク「言ったよ!」

キミ「でも、昔の話でしょ。今の私の好みはイケメンだから。じゃ。」

ボク「え、ちょっと!」



ボク「約束、したじゃん・・・」



現実を受け入れられないボクの耳に、携帯の着信音が突き刺さる。


ボク「もしも/

母「ちょっと!アンタどこほっつき歩いてるのよ!?家庭教師の先生もういらしてるわよ!!早く帰ってきなさい!」

ボク「・・・嫌だ、ボクもう勉強したくな/

母「何バカなこと言ってるの!あなた最近成績落ちてきてるんだから!そんなんじゃあ家を継がせらてもらえないわよ!」

ボク「知らないよ...」

母「優秀な弟がいるからって油断するんじゃないの!あなたが長男なんだからね!」

ボク「......。」

母「このままだとあなたの居場所が家からなくなるわよ!とにかく早く帰ってきなさい!いいわね!?」


ブチっ


ボク「はぁーーー。家のこととか知らないし。継ぎたいなんて一言も言ったことないし。何の才能もないけど、キミちゃんが頭良い人が好きっていうから、勉強だけは頑張ってきたのに。それだって、弟によゆーで抜かされそうだし。・・・あーあーボク、何のために生きてきたんだろう?」



ウサギ「あーー!!」

ボク「え?」

ウサギ「えーあー、ごめんて!すぐ行くから!!」


ボクの横を大きくて白い物体が通り過ぎていった。


ボク「え?ウサギ?...喋った!?」


その奇妙過ぎる物体が信じられず、ボクは気づいたら奴を追って走っていた。


ボク「あれ?どこ行った?って、喋るウサギなんている訳ないか。ましてや、二足歩行してたし。」


ガサガサ

近くで草が揺れた。


ボク「こっちか!って、うわぁちょっえ、


見えたのは、晴れ渡った青空だった。


ボク「うわあああぁぁぁぁぁ」





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