第19話 携帯

わからなくても問題ない。



ピロリン!

『キュー!キュッ』

(お仕事頑張って!携帯ありがとう)


「大丈夫。忘れ物はないよ」


ピロリン!

『キューキュー?』

(今日寒いから会社でも暖かくしてるんだよ?)


「帰り?今日は少し遅くなるかも」





先日さくらさんに携帯電話を持たせた。

連絡手段があった方が何かと便利だと思ったのだ。


さくらさんは、携帯本体よりも何故か契約書類の“家族割”の部分を見てニヤニヤしていた。




しかし携帯を渡した時は、

俺からの連絡というか、報告だけで使うことになると思っていたが、意外にもさくらさんから送ってくることが多い。


しかも使いこなしているのかいないのか、無駄にボイスメッセージでくる。

会社だと聞きづらいのが難点だ。





「さくらさん、今日のご飯は何?」



ピロリン!

『サバ』


うぉっ、達筆。

そしてボイスじゃない。

いや、どうやってフォント変えてるんだ…。



てか、また…サバ…。




時々話が噛み合ってるかどうか不安になるけど、

さくらさんが嬉しそうな声で送ってくるので良しとしよう。



ピロリン!


あ、またさくらさんだ。



『…キュー///』



??


「俺もだよ」




わからなくても問題ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る