フェイル12 謎の4人と緊迫の会食
その頃、阿修羅会の会長、吉井は、赤坂との面会した2日後、連絡を取り合い、謎の4人ととある店にで待ち合わせしていた。
「こちらだよ。吉井君」
「はい」
吉井は、銀髪の青年に呼び出され席に座った。他に3人がおり、赤のツインテールの少女、黒髪の青年、黄色のツインテールの少女がいた。
「よろしくお願いします。で? フェイルと赤坂のプライドを潰すということですが、どうしたら?」
「それは、貴方がきめることではありません。この件に関しては、赤坂さんの協力による計画ですから」
「そうですか。で? 計画というのは、具体的に?」
「まず、奴らのシノギとなっている場所を選別し、一番稼ぎ口になっている場所を荒らし、営業不能にする。その為には、吉井君。君の直系の組長に指示して荒らしてくれないか?」
「ま、ま、待ってください! あの町は、龍神会のシマですよ? 大丈夫ですか? そんなことして」
すると、黄色のツインテールの少女が激怒してこう言った。
「いいから、指示通りに聞けよ! 死にたいのか? お前?」
「ひぃぃぃ! すみません! で? 作戦内容は?」
「これだ」
銀髪の青年は、とあるメモを吉井を渡した。
「これで、大丈夫なのですか?」
吉井の言葉に銀髪の青年は笑みを浮かべた。
時間が経ち、夜になるとトリニティタワーのフェイルグループ専用の地下駐車場にて取引先である会社の幹部らとの会食に向かう為、四台の高級車と護衛する車8台で会食場所へ向かう。
セレス達はミクリオ達と騎士団員達の完璧なガードに守られて、車に入り会食場所へと向かう。
会食場所に到着したのは、東京アクアランドマークタワーという千楽町から2時間ほどで到着するレストラン、ショッピング、レジャー施設などの最近建てられたタワーである。
到着すると、富裕層専用の地下駐車場に入り、入口の前で停車。セレス達は、それぞれ専属執事であるミクリオ達にエスコートされながら、レストランへ向かうため、エレベーターで上がる。
そして、80階に到着し会食場所となるレストランに入ると、スタッフに温かく迎えられる。
「いらしゃいませ。セレス・フェイル様、レベッカ・フェイル様、ライラ・フェイル様、シェリー・フェイル様ですね」
「そうです。ささっと、案内してくれませんか?」
「は、はい。こちらへどうぞ」
セレスの冷たい声に怯えながら、席へと案内する。
「君達は、客室の外で警備してね」
「分かりました。イクス執事長」
セレス達とミクリオ達は客室の中へ入り、他の騎士団員達は客室の外で警備することに。
「こんばんは、社長」
「せ、セレスさん。お待ちしてました」
建設社長と専務、常務2人が、緊張した表情で立ち上がり挨拶した。セレス達が来る前、彼らは身だしなみやマナーの再確認を何度も行い、待っていた。何せ、相手は世界に影響力をもたらす多国籍企業。彼女らを怒らせたら、一巻の終わりだ。
セレス達は、ミクリオ達が椅子を引いてくれた後に座り、「では、ワインをお持ちします」とミクリオが言った後、彼らは厨房へ向かった。
早速、セレスが社長に挨拶の言葉を言った。
「社長、今夜は良い満月が出てますね」
「そ、そ、そうですね」
セレスの冷たい笑顔を見て恐怖に怯えると、ミクリオ達がワインを持って戻り、セレス達からワインを注いだ後、社長達にもワインを注ぐが、ルカ、シングはそれぞれ常務のグラスにワインを注いでいる最中、ルカは、優しく冷たい視線で、シングは新しい玩具を見つけたという視線で常務を見ていた。
2人は、恐怖に怯えながらもしっかりとグラスを持つ。
「今回は、リラックスしてくださいね」
「ありがとうございます。ルカさん」
「どうしたのですか?」
「いいいや、何でもありません」
社長達のグラスに注ぐとミクリオ達は、それぞれセレス達の左斜め後ろに立った。
すると、ルカにワインを注がれた常務が、緊張した空気を和ます為に、こんな事を言った。
「それにしても、セレスさん。皆さん、日本語がお上手ですね。さすが、多国籍企業のトップをお勤めなされている御器がございますね」
これを聞いたセレスは、ワインを一口飲んだ後、常務に冷たい視線で見て、レベッカが常務を睨み、シェリーが冷たい笑みを浮かべた。そしてライラが口を開きこう言った。
「……「日本語が……お上手」ですか」
ライラの表情は、優しい表情から敵を冷たく睨む表情へと変わったが、常務は気づかず、続けて言った。
「はい! 日本語はかなり難易度が高い言語と言われております。ひらがな、カタカナなど様々なものがありますからね。やはり……あれ?」
常務は、ライラの左斜め後ろに控えていたルカの姿が無く、探していると自分の顔の左側に超近距離でルカが自分を目を見開いて睨んでいるのを発見し、悲鳴を上げた。
「……何が言いたいの?」
「はい?」
「何が言いたいのと聞いているの」
(あれ? 眼の白い部分が黒くて瞳が異様に濃い緑?)
ルカの両目は、白い部分が黒く染まり、瞳が濃い緑色になっており、まるで魔物の瞳だった。
「別に馬鹿にしている意味は、無くて! そそそそ、素晴らしいお方だなという意味を込めて言っただけで」
「はいぃ?」
「ひぃぃ!」
「ルカさん! 冷静になってください! 人の目の前で悪口を言う非常識な人間がいるわけが無いじゃないですか! ライラさん! ルカさんに何か一言を!」
「ルカ。やめてください。取引先相手に失礼ですよ」
ライラがそう言うと、ルカは元の優しい表情になり、常務に謝罪した。
「失礼しました。ご無礼をお許しください」
「大丈夫ですよ。気にしないでください」
常務は、ルカの両目が元に戻っているのを見て、幻覚だと頭の中で言い聞かせた。
すると、シェフ達がセレス達のところに料理を運び、食事をしながら、今回の議題をセレスが社長に尋ねた。
「ところで、社長。今回、何やら協力をお願いしたいとミクリオから聞きましたが?」
「はい。実は、我々は世田谷区にとある土地を狙っていまして、それについて是非お耳に入れておきたいと思い、お願い申し上げました」
「へぇー! それは興味があるわね? 詳しく聞かせてくれる?」
「はい、レベッカさん。かつてその土地は、とある実業家が経営していた土地なのですが、色々な事情があって手放すことになり、それを手に入れて高級マンションを建設しようと考えているのです」
「ですが、他の建築会社の連中もそれを狙っていまして、その結果、来月の2日に所有者選別会というイベントがございます。しかし、我々は建築業界においては最弱。弊社の社員達も必死に有力者達に呼びかけていますが、あんまり進展が無いのです。このままでは、落選するのは確実。そこで」
「私達に後ろ盾をして欲しいと?」
「そうです! セレスさん! もちろんただとは言いません」
社長は、常務二人にプランが書かれた書類を渡すようを命じ、セレス達に渡した。
「今後としては、世田谷区再開発の記者会見にて我が社のサポーターとして支持すると、発表して頂き有力者に声をお掛けてもらいます。そうすれば、多国籍企業であり、世界に莫大な影響を及ぼすフェイルグループという点と日本本社のトップがご令嬢であるセレスさん達という点から有力者は、絶対に我が社が相応しいと考えるはずです」
「それに、御社は常に株価が下がること知らずの超一流企業であることから、必ずや投資家達から御社と我が社の株の買い注文が集中して、デメリットが起きる可能性はありません」
その後も、社長は建設した後のメリットとして、マンションの収益の5割を毎月フェイルグループにお渡しするなどを説明し、一枚の契約書をセレスに渡した。
「そちらに契約書の内容をお読みなり、セレスさん、レベッカさん、ライラさん、シェリーさんのサインとハンコをお願いします」
「……イクス。あたしらに代わって返答を出しなさい」
「分かりました。レベッカ様。我々としては、拒否いたします」
「えぇ!?」
社長達は、予想外の答えに驚いた。
「まず、お話としてメリットがありすぎるという点です。確かに後ろ盾になれば、御社と我が社の影響力も増します。しかし、デメリットが無いのは、気になる。例え、影響力がある我が社が後ろ盾になったとはいえ、それでライバル企業らが「負けました」とは言うはずがありません」
「それに、御社は2年前から事業に失敗して売り上げが下がり続けていると聞きました。それに、借金が出来るか出来ないかのギリギリの状態になっている。貴方達は、経営を立て直すために取引先である御社に目をつけてこの計画を持ち掛けたのでは?」
「どどど、どうしてそのような情報を!?」
社長達は驚いた。どうして、我が社の情報がこいつらにバレたのだ?社長は動揺していると、シェリーが突然激怒してこう言った。
「君さぁ? 私達を舐めないでくれるかなぁ!? 私達が、くつろいで過ごしていると思っているのぉ!? 私達はありとあらゆる場所から情報を収集しているからねぇ!? こんな状態の君達なんて信用できると思っているのぉ!?」
「シェリー。大声で怒るなんてマナー違反ですよ」
すると、シェリーは、急に笑顔の表情になり謝った。
「ごめん! セレス姉ちゃん!」
「でも、ここまで会食してまで来ていることだし、検討したら良いと思うけど、どうかな? ミクリオ兄ちゃん?」
「確かにな、シング。セレス様、ここは本社に戻って検討なさったほうがよろしいかと」
「そうですね。社長、返答の期限は?」
「ららら、来週の木曜日までにお願いします」
「分かりました。そして、こちらからの条件を飲んで契約を結びたいと思いますが、宜しいですね?」
「もちろんです」
「それでは、良い会食でした。本日はありがとうございます」
セレス達は、客室を後にし騎士団員達を連れて、このレストランを去った。
その際にルカがライラと対面に座っていた常務に向けてドスの効いた声でこう囁いた。
「次、ふざけた事を言ったら許さないからな?」
「は、はぃぃ」
「それでは、常務。失礼いたします」
緊迫した会食を終えて、常務二人と専務は何とか失神せずに耐えたが、社長は、失禁しながら気絶していた。
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