フェイル11 確証

 部下を連れて来たミクリオとイクスは、アジトがあると思われるテンプル通りに到着した。見通しが悪いうえに、アジトとしては最適の場所だ。


「この辺りですね。兄さん」

「ああ、奴らが潜むにしては最高だからな。おい、探せ」

「「はい」」


 ミクリオとイクス、部下達に分かれて捜索することになった。


 商店街、スナック、賭場など怪しいものは何でも虱潰しに探していく。それから、30分後。ついにとあるアパートに住んでいるアジトを見つける。


「おい、発見したぞ。俺とイクスが先方にあたる。お前たちは逃げ場が無いように道を塞げ」


 2人は、階段を上り部下達は出口を塞ぐ。2階に登ると早速部屋の扉をミクリオが蹴り破る。


「なんだ!? お前たちは!?」

「こんなところで、潜伏してたとはいい度胸だ」


 ミクリオが冷徹な目で見ていたのは、潜伏していた捜査一課の加藤の仲間達だった。


「お前ら、警視総監の指示で来たのか?」

「それはお前らが知る必要は無い!」


 すると、イクスがキレて壁を蹴り壊した !  彼らは恐怖のあまりに怯えていた。


「僕らは、そんなに呑気じゃない。早く正直に答えないと君たちを殺す」

「そそれでも! 教えるか!」


 中央にいた刑事がそう言うと。イクスがその男の腹を左手で掴んだ。

 すると、その左手から赤色の液体が出て来て全身を包み込もうとする。


「ひぃぃ! なんだこれは!?」

「見せしめ」

「えぇ!?」

 

 やがてその液体は、男の全身を包み込み、しばらくすると赤色の燕尾服の青年に変わっていた。


「早くしないと、お前たちもこうなるよ?」

「わかった! 教えます! 貴方達の言う通り警視総監の指示で来ました」

「理由は聞いているの?」

「それは聞いてません! 何せ我々は下っ端ですから。 ……加藤は?」

「加藤か。それなら、もう仲間になっているぞ?」

「そんなぁ!」


 イクスは、他に無いか情報を知ってないか聞いてみることに。


「なぁ? 他に何か知っている情報は無いか? これだけでこんな潜入捜査しているんだ。「持ってない」とは言わせないぞ」

「ホントだって!  俺たちは何も知らないんだ! 本当に潜入捜査しにこの千楽町に来たんだよ!」

 

 ミクリオとイクスは、瞳をそれぞれ青と赤を光らせて隣にいた男を睨んだ。男は、汗をかきながら怯えていた。


「その表情では、知らないようだな。帰るぞイクス」

「はい。ミクリオ兄さん」


 2人は、そう言うとこの部屋を退出してい行く。男達は、安心して胸を撫でおろすが……

「やはり」

「仲間にしよう! ミクリオ兄さん!」


 急に振り向き男たちの腹を狙い狂気の表情で掴んだ!男たちは悲鳴を上げながら抵抗するも、やがて全身を包み込み仲間にされていく。フェイルの騎士として。


 その頃、セレス達は今井一家がよく立ち寄るという千楽ヒルズにいた。この施設は今から2年前に完成した商業施設で千楽町で一番安心できるとして有名である。まぁ、確かにそうだが。特にレベッカは。


「どういう意味?」


 何でもありません。


「レベッカ。誰と話しているのですか?」

「気にしなくていいわ。それよりも姉さん。奴らが集まる所は?」

「最上階の居酒屋です。よく仕事が終われば飲みに行くらしいです」

「そう、近くに場所に行ってみましょう」

 

 セレスとレベッカは、香川組に護衛されながら、近くのところで装うように居酒屋に入り座った。香川組は、さすがに店の中に入るとまずいので近くの通路で待機して様子を見守ることにした。


 そして、今村一家の構成員達が来店した。


「いらしゃいませ」

「よぉ! 入らせてもらうぜ」


 彼らは、偶然にも二人の席の近くに案内された。


「しかし、どうするんや?」

「あのセレスらの事か?」

「そうや。しかもあいつらこの町の大半を占めている。何としても、この町を俺らの力で取り返すんや」

「それにしても、幹部会でなにやらを呼ぶって五代目が言っていたけど、誰や?」

「さぁな? 何せ、スーツを着た女集団を撃退した立役者という事だが」

「立役者ね。ちなみに幹部の連中は?」

「噂やけどな。その立役者が、死亡したことにして何処かで働いているらしいぜ?」

「そうなんだ」


「立役者? どうやら龍神会は何やら秘密兵器みたいな人物を呼んでいるみたいですね」

「早々、渡してくれるはずが無いか」

 

 どうやらこいつらの話では、赤坂についての話は出ないようだ。

 すると、今村一家の一人がセレス達に気づく!


「! すまん! 店長! 悪い! 用が出来たわ! これ、代金や!」

 

 彼らは、テーブルの上に代金を置き逃走を図った。セレスとレベッカも代金を置いて彼らを追跡する。


「うわ!」


 だが、待機した香川組組員が足を引っかけ転倒させる。周りの人達は何事だと思い見るが。香川組の組員が、「すまんな。別に大した事じゃないから」と言い、周りの人達を撤退させる。


「捕まえましたか?」

「えぇ、すみませんが。組事務所で吐かせてもらいます。ホントのところは、会社の方でやりたいでしょうが、それだと繋がりがあると疑われて動けなくなりますし」

「分かりました。一つだけ、聞いてもいいか?」


 セレスが、冷たい視線で今村一家の組員達に話しかける。


「お前達が言ってたとは何者だ?」

「分からへん。どうやら、五代目が最強の知り合いだとしか分からへん。緊急幹部会で、五代目、若頭の松岡の親父が言い出したんや。「お前らを対処するために呼んでおこう」と言ったらしい」

「で? 議題が持ち掛けたのは、そいつらか?」

「いや、長谷川さんらしい」

「長谷川? 誰だ? そいつらは?」

「龍神会の本部長で、松岡組系の二次団体、長谷川組組長です。セレスさん」

「そう言えば、香川の口からそいつの名前が出ていたわね」

「そう、では早く事務所に連れて行きなさい。その後は、あたしらに引き渡してね」

「分かりました」


 香川組組員達は、彼らを組事務所まで連行した。


「それに、緊急幹部会って、香川の奴。この話の内容を知っているという事ね」

「あの野郎。本当に舐めてますね。この件に関してもどういう事か説明してもらいましょう」


 その時、セレスとレベッカの背中を物陰から見る男がいた。


「こちら、シスモの志村。指定犯罪組織フェイル薔薇騎士団の団長、副団長。セレス

 ・フェイルとレベッカ・フェイルを発見。監視を継続する」


 志村は仲間と思われる人物を連絡を取っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る