黄昏の決意は戦慄を歩く。〜弱小国家からの異世界下克上〜
関つくね
プロローグ
「ねえ。《リーシア》緊張してる?」
「はい。少しばかり。お嬢様は?」
「お嬢様じゃない。《ルシナ》!」
「も、申し訳ございません。ルシナ様は?」
「私はぜんっぜん緊張なんかしてないわ。」
「左様でございますか」
「だけどね、少し怖い。私たちに期待してくれてる人の顔を思い浮かべると、、、ね」
「ルシナ様はお優しいお方なのですね」
「当然でしょ?これでも一国を担う王女だもの。慈愛に満ち溢れているわよ」
ルシナ様は心配なんか一つもないという強い信念に満ちている表情をしていた。でも、私にはわかった。そんなの強がりにすぎないことくらいは。しかし今の彼女にとっては強がることが自分自身を奮い立たせる唯一の選択なんだということも。
「ねえ。リーシア」
「何でしょうか。ルシナ様」
「あんた強いでしょ?」
「はい。とても強いです。
「誰にも負けないんでしょ?」
「はい。負けません」
「だったら、、、ちゃんと私を守んなさいよ。リーシア」
「はい。必ずお守りします。」
彼女は私の袖を力強くギュッと握り安心したように微笑んだ。
「まあ。もし緊急事態が生じたら私先に逃げるからね?」
「緊急事態になる前に事態を収めるのでご安心を」
「何それ。なんかムカつく。あはははは」
心底おかしそうに彼女は笑っていた。そして何かの決意が固まったのか座っていた椅子から立ち上がり向かいの席に座っていた私にこぶしを突き出してきた。
「こんな小娘二人が商談に来るなんて異例よね。腰抜かすんじゃないかしら」
「小娘二人ではありませんよ。秀才で美人でそして慈愛に満ちているルシナ様とそこら辺の騎士より強い付き人です。腰を抜かす程度じゃ済みませんよきっと」
「ぷっ。あはははははははは!それだけたいそうな口きけるなら心配ないわね」
そして彼女が突き出してきたこぶしに私のこぶしを合わせた。
「それでは段取りの確認を――。」
「いい。いらない。大事なのは思い切りよ。前にも言ったでしょ?最初の一歩はどんっと大きくよ!」
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