友人と生徒会長と俺と…

黒猫

第1話

人は恋をする生き物である

男性が好む異性は大体が似たような感じであるが

女性が好む異性は多種多様である。

必ずしもイケメンだからと言って意中の相手をゲットできるわけではない。


「頼むよぉ~」

せっかくのイケメンフェイスを涙と鼻水でひどくしているこいつは俺の友人の

渋谷豪であった。

こいつが思いを寄せているのは柊学園生徒会長、柊月という男女両方からの支持を得ている人物で会った。

入学式の日に告白された回数3桁という学園最高の数値をたたき出した彼女の周りには常に人だかりができており

女子だけで構成された月隊というものが存在する。


「俺は知らんし、俺に頼んだところで会長とは何の接点もないから紹介もできない。

お前は自分でがんばるしかないんだ」

そんなぁ~と情けない声を上げて崩れ落ちた豪


噂をすればなんとやら…

豪の近くに会長が来ていた。


「ごめんなさい…氷河玲君はどちら?」

氷河玲とは俺の名前なのだが…何かしでかしたか?

「それは自分ですが、どういったご用件で?」

少し声音が低くなってしまい、会長はビクッとしてしまった。

「おのれ氷河玲、柊様を怯えさせおって貴様の血で償え」

月隊の一人に目をつけられてしまったようだが会長がそれを制した。


「優愛さん私は大丈夫です。いきなり話しかけたこちらにも非がありますから」

そういうと優愛とやらはおとなしく下がっていった。

だが俺はこいつの顔を覚えた…

絶対に許さない、関わりたくないリストにぶち込んだ。


「それで会長様はどういったご用件で?」

「様はいりません。月と呼んでください」

年上しかも、校内アイドル様を呼び捨て?殺されるわ…


「流石にそれはできかねます。せめて柊会長で」

「嫌です。そんなに名前で呼びたくないんですね」

その大きな瞳に雫が溜まっていた。その瞬間周囲からの殺意を濃く感じた。

ふっと会長をみるとその瞳に雫はなくなっておりけろっとした会長がいた。


「このアマ…」

「およよよ、やはり呼んでくださらないのですね」

このままでは殺されかねない…


「月…これでいいですか?」

「はい!玲君」

満面の笑みを見せた月によって倒れていく奴らがちらほらと見えた。

このままここに居てはどうなるかわからないので早急に離れた。


月視点


忌々しい人間…

私は生まれつきすべてに恵まれていた。

だから欲しいものは全て手に入れてきた、たった一つを除いては…

それが氷河玲という男だった。

柊学園の男子生徒は入学して3日以内には告白をしてきた。

だがその例外が2人いて、それが渋谷豪と氷河玲だった。

まず渋谷豪について探ってみたところただのヘタレであり私に好意を寄せているのはわかったので

告白は時間の問題だろう。だが氷河玲だけは違った。

私が近くを通っても見向きもせず、あまつさえ逃げ出した。


「気に入らない…」

この半年間ずっと彼のことだけを考えているうちに惹かれていった。

どうにかして彼を手に入れたい。

どうすれば彼を手に入れられるのか…

それを考えていた。

思い付いたのが外堀から埋めていくという方法であった。

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