世界の均衡保ちます

シュークリーム

神聖世界

第1話目覚め

意識が覚醒したという感覚があるが、目を開いたり体を動かしたりすることができなかった。


 〈お目覚めになられたようですね〉


 どこからともなく頭の中に言葉が流れ込んでくる。その感覚に驚きながらも今置かれている現状に思考が追いついておらず、その言葉に反応することができなかった。


 〈急なことで何が起こっているのか分からないと思いますので、こちらから現状の説明をさせていただきます。〉


 頭の中に語りかけてくる言葉を聞きながら、やっと冷静になってきた所で、現状は話を聞くしかないなと思い始めていた。


 〈あなたは不慮な事故でお亡くなりになられてしまったのです。〉


 おっと、どうやら俺はもう死んでいるらしい。突然死亡通達されて動揺しそうになったが、目を開いて周りを見ることや、体を動かせないことを考えて妙に納得してしまいそうになる。そんなことを思っていると、語りかけてくるものがそのことを察知したのか、少し間をおいて説明を続けた。


 〈こちらの勝手な都合ではありますが、あなたを輪廻の輪から外させていただきました。なので新しい体を授かって元の世界に戻ることはありません。〉


  いきなりぶっ飛んだことを言われて完全に思考停止状態になった。


 〈あなたは今、周りを確認したり、体を動かしたりすることができないと思います。それはあなたが魂だけの状態になっているからです。そして今こちらであなたの体を生成している途中なので、周りの現状把握などはもう少しお待ちください。なお、何か体に関することで要望がございましたら今のうちにもうしてください。〉


 話されていることを瞬時に理解することができるほど優れていない俺はただ言われていることを聞くしかなかった。


  〈なぜ輪廻の輪から外させていただいたかの説明をさせていただきます。今私たちのいる場所は神聖世界という場所でございます。この場所は様々な世界を維持していくための場所となっており、各世界で異常が発生し、その世界が存亡の危機に陥る可能性がある場合、こちらから人材を派遣し、世界の均衡を保つといった場所になっております。〉


 なんかとてつもない話が始まったなと思いながらその話を聞いていると、その声は何かひらめいた?感じで話を変えてきた。


 〈あ!!あなたの体の生成が終わったみたいですので、話の途中でしたが今からその体にあなた(魂)を入れたいと思います。〉


  話の腰を折るほどに重要なことなのかと思いつつ、されるがままに身を(身といっても魂だけの存在)任せた。その作業自体とても簡単なことみたいで、瞬きをするような一瞬の隙に俺は体を手に入れた。


「これであなたも少しは気持ちが楽になったのではないでしょうか??」


 頭の中に直接言葉が流れ込んでくるのとは違い、耳から頭に伝わっていく感覚を確かめながら目を開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る