第7話 エピローグ
土曜の昼前。ここはカフェ〝シャーマン・ファイアフライ〟の店内である。怪しい二人組がノートPCをのぞき込みながら、何やら相談していた。
「不味いぞ、明継」
「どうした? アール・ハリ」
「それがな。和也のPCに仕込んだ精神コントロールプログラムが全てデリートされた」
「デリート?」
「削除されたんだ。あの馬鹿兄がハマっていたのは知っているな」
「もちろんだ。俺は羨ましくてしょうがなかったよ」
「貴様の趣味趣向などどうでもよい。今から鈍感巨乳ちゃんをクリアしそうな勢いだったのだが、その直前で削除された。どうやら知子が気づいたらしい」
「やはり油断できないな」
「その通りだ」
「ところであのアンドロイドは何物なのだ?」
「トラントロワ型の事か?」
「ああそうだ。非常に高価だとの噂だが?」
「10兆円はさすがに盛りすぎだと思うぞ」
「そうなのか? アール・ハリ」
「ああそうだ。あれはアルマ帝国製の自動人形だからな。確かに地球の技術体系を超越しているので値段はつけられないが、多く見積もっても数百億だろう」
「それでも高価じゃないか。F35戦闘機数機分だろ?」
「まあな」
「アレもコニーが手配したのか?」
「そうとしか考えられない……?」
二人の座るテーブルのすぐ傍に、ウェイトレスのコニーが立っていた。
「ねえ、貴方たち。密談するなら他の場所でした方がいいと思うの」
「そ、そうかな。ちょっとゲームの話をしていただけなんだけど」
「黙れ明継! 話の内容は全て聞いた。とりあえずこのPCは没収します」
「待てコニー。それは大事な……」
「問答無用」
コニーのチョップでノートPCは真っ二つになった。
「没収じゃなかったのか。これじゃあ廃棄じゃないか」
「ごめん。間違えちゃった。てへっ♡」
笑顔で下がっていくコニー。一方、明継とアール・ハリは、火花を散らし煙を吹き出しているPCの残骸を見つめ呆然としていた。
こうして再び地球の平和は守られたらしい。
[おしまい]
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