第7話 エピローグ

 週が明けた月曜の理科準備室。

 石油ストーブの上には何時ものようにヤカンが置いてあり、その注ぎ口からは勢いよく蒸気が噴き出している。


 何時ものように星子が弁当を食べている。波里は今日も欠席していた。先週末の夜間に出歩いたのが祟ったのか、まだ発熱が収まらないようだ。

 早弁を済ませている知子は購買で買った焼きそばパンをかじりながらPCの画面に夢中になっている。


 この部屋の主、三谷朱人は悩んでいた。


「何故だ。何故誰も理解しないのだ」

「潰すのは目玉と睾丸のどちらにする? フハハハハハ」

「お、見つけた。ミミ先生、マッハのピストンありましたよ」

「これは不味い。光速を超えるマッハは金になると踏んでいたのだが誰も見向きしないではないか。これは不味い。この赤字をどうにかして解消しなくてはいけない……」

「全然聞いてねえよ。ダメな先生だな、星子」

「エッヂ起動。ダブルディフェンダー効果範囲を拡大しろ」


「こっちもだ。ダメだこりゃ」


 そう言いながらも笑っている知子は焼きそばパンをかじっている。


 三谷は新聞を読みながらブツブツ何か喋っていた。


「光速……時間……金儲け……」


 平常運転の昼休み。

 三者三様の時間は過ぎていく。

 

 理科準備室は平和そのものだった。


[おしまい]

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