シモネタテロリズム……黒龍騎士団物語番外編

暗黒星雲

第1話 防高校門前

 ここはとある会議室。


 テーブルの上に怪しい洋封筒が置いてある。

 宛名はララ様、シュシュ様と併記されていた。


 それを見つめる二人の少女。


 一人は金髪碧眼で、その直毛の金髪を短めのツインテールにしている。見た目は小学四年生の女児である。もう一人も白人で、髪は青みがかった銀色をしている。腰まであるその銀髪は長いツインテールにまとめられている。


「これは何なのでしょうか? ララ様」

「分からない。中身を確認しよう……。開けるぞ、シュシュ姫」

 

 ララと呼ばれた金髪の少女が洋封筒を手に取った。それをじっと見つめているシュシュと呼ばれたもう一人の少女。


 ララが開いた封筒には一枚のカードが入っていた。

 葉書大のそのカードにはこう書かれていた。


 山口県立防府高等学校。山口県防府市にある県立高校である。

 防府は“ほうふ”と読む。“ぼうふ”ではない。

 略称は防高。

 読み方は“ぼうこう”となる。


 この高校の校門前にバス停がある。

 そのバス停の名称は防高校門前。


 これを平仮名に書き換えて音読せよ。


「こ……これは……」

「読む前に平仮名で書いてみます」


 シュシュはペンを取る。


「普通は防府ほうふ高校こうこうだけど略称は防高ぼうこうだよね。濁点が付いたり付かなかったりって……日本語は難しいですわ」


 シュシュはぶつぶつ言いながらメモ紙に書き綴る。


『ぼうこうこうもんまえ』


 ララは額に手を当てて俯く。


「これを音読しろだと?」

「そうですよ。えーっと。『ぼうこうこうもんまえ』ですよね。さあララ様もどうぞ」

「そ……そんな台詞が言えるか! ぼ……膀胱と肛門だぞ!」


 ララの一言にハッと気づいたシュシュだった。


「あっ。私、堂々と言っちゃった。でも、ララ様も言っちゃってますね」

「こ……これは……」


 ララは顔を真っ赤にして歯ぎしりをしている。


 そこへ軍医のリオネが入って来た。


「あらあら。何を盛り上がってるの?」


 リオネはそのカードを見てクスリと笑う。


「確かにね。膀胱は肛門より位置的には前だわ」

「それはそうですけど……仕掛け人は有原ですか?」


 ララの質問に首を振るリオネ。


「有原君も変態だけどね。彼が山口県のバス停の事なんか知ってるはずがないでしょ。これは馬鹿作者の仕業よ」

「何がしたかったの?」


 シュシュの質問に笑いながら答えるリオネ。


「それは、処女に卑猥な言葉を言わせたかったんでしょ。クスッ」

「まあ!」

「ぐぬぬっ! まんまと乗せられた!!」


 顔を真っ赤にして羞恥している処女二名であった。


「覚えてろ……馬鹿作者め」


 怒り沸騰のララ。

 彼女の怒りは作中では神に等しい作者へと向けられたのであった。



※このバス停は実在しません。防高卒業生が広めたネタですのでご注意ください。また、他のバリエーションとして『【至急】防高校門前に集合!』と言うのもあります。解説する必要はありませんよねww。

 

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