序章
「えっ……?」
その瞬間、持っていた赤い傘を手から離すと、その場で地面に尻もちをついて倒れた。その拍子に持っていた鞄や携帯を地面に落とした。俺の携帯、防水性じゃないのにと普通だったら口に出しているところだった。だけど、そんな状況に構っている暇もないほど、自分の頭の中はすでにパニック状態だった。
「ひっ、人が浮いてる……!?」
パニックになりながらその言葉を声に出すと、彼女は赤い瞳で俺のことをみながら「まあまあね」と意味深に呟いてきた。そして、彼女は優雅な佇まいをしながら地上に降りてきたのだった。
俺は一瞬、彼女が幽霊かと疑った。だけど人間の言葉をリアルに話したので、幽霊じゃないことは解った。だけどまだ油断は出来ない。その場で固まって動けなくなると、ただひたすら来るなと彼女に訴えた。
「――私の好みじゃないけど、しょうがないから貴方にしてあげる」
「えっ……!?」
その言葉に思わず唖然となった。そして、彼女は俺に向かって歩き出すと優雅な口調でそう話してきた。その言葉に身体がピタリと止まると次の瞬間、彼女はいきなりキスをしてきたのだった。突然現れた謎の女の子に自分の唇を奪われると、俺は人生でまだ一度もしたことがないファーストキスを突如失ったのだった――。
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