「彼女との約束」

私には令和2年の今年に、付き合って10年目になる彼女がいる。その彼女に対して私が約束をしていることがある。それは「彼女を必ず幸せにする」というものだ。そんな彼女のことを「私がどれほど好きか」という思いをまずはここに記して話を進めたいと思う。


先日のことである。私は仕事が休みの、とある日曜日の朝に、彼女に毎日の日課である「ライン」をしようと思い、メールを送ると、彼女からきたメールの返信内容で、私の頭の中に「青天の霹靂」が起きた。


「さっき通勤途中に自転車でコケて頭を強く打って血が出た。いま脳外科の病院にいて検査をしてる」


という内容のメールだった。私のいつもの普通の日常を打ち破る衝撃を受けた。「頭を強く打つ怪我」というこの言葉の響きが、私に恐ろしい想像を掻き立てる。「彼女の急死」という想像が真っ先に浮かんだ。居ても立っても居られなくなり、すぐに彼女から「今いる病院の名前」を聞き、その病院に急いでクルマで向かった。私は病院に到着し、クルマから降りてすぐに病院内に入ると、ロビーに立っている彼女の後ろ姿を見つけた。彼女の名前を呼ぶと、彼女は弱々しく振り向いて、泣きながら笑っていた。その姿を見た時に私も自然と涙が出てきた。色んな感情が入り混じっていたが、私にはハッキリと気づいた気持ちがあった。「彼女が愛しい」という気持ちだ。「彼女がこの世からいなくなる」という想像をした時に、私の心の一部分が引き千切られるような思いがした。「彼女」はもう「私の一部」なのだと思い知らされた。この感覚が素晴らしいことなのかどうなのかは私には分からないが、ただもう、そうなってしまっているし、そして私の毎日が幸せなのは確かだ。


脳検査の結果は「今のところ異常はない」というものだった。彼女を病院から彼女の家までクルマで送り届けた。そのクルマの中で私はずっと泣きながら彼女と話した。その後の一週間くらいは、彼女の容体が急変しないことを毎日祈り続けた。幸い彼女は今でも元気に日々を過ごしている。



先日電話で彼女に「あなたの幸せとは何ですか?」と聞いてみた。彼女の答えは


「今のままで幸せだよ。だからお互いに長生きしようね」


というものだった。彼女はもう幸せになっているようだったが「お互いに長生きをする」という新たな約束が生まれた。


先日のことだが、私の住んでいる場所の近所の公園付近を老夫婦が手を繋いで散歩しているのを見た。とても穏やかな一風景だったのだが、私はそれを見て「私たちもこの老夫婦のようになれたらいいなぁ」と思った。そう思ったし私たちは将来この老夫婦のようになれると思う。というのも私には彼女を一生愛し続ける自信しかないし、そして私も彼女に一生愛される自信しかないからだ。「お互いに長生きをする」という約束を守ることで私たちはこれからもずっと幸せでいられるのだ。「当たり前のようにあるが、けっして当たり前ではない彼女の存在」にいつも感謝をしている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エッセイ集 空飛ぶゴリラすん @vetaashi0325

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る