不幸物語

秋(空き)時間

第1話生まれてからずっと…

 生まれてからずっと不幸だった。今こうして生きているのが不思議なくらい次から次へと惨事が私を襲った。


 私が小学校に入ってからすぐに父が事故で死んだ。母も後を追うように私が小学校三年の時に病で死んだ。身よりのなくなった私を引き取ってくれた親戚の叔父夫婦は私が小学校を卒業した時にバスの事故で死んだ。私と親戚の子供達は孤児院に引き取られたが、ある日孤児院が火事になり私を残して全員死んだ。中学二年生の時、初めて好きになった先輩は盗んだバイクで事故って死んだ。高校二年生の頃、私が付き合っていた同級生は麻薬中毒で死んだ。大学生になり、卒業したら結婚すると誓った彼はある日ビルから飛び降りて死んだ。社会人になって会社の上司と不倫の仲になったが上司は奥さんに包丁で刺されて死んだ。会社を転職してから年下の同僚と恋仲になったが、ある日彼は首を吊って死んだ。そして運命の人と出会い式を挙げたが、新婚旅行中に飛行機が事故で墜落して飛行機に搭乗していた人間は彼も含めて全員私を残して死んだ。


 私はまだ生きている。

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