義母編

義父の病院の日

義父は肝臓癌で手術をしてから半年に一度、検査に通う。

その検査の日、病院に行くために迎えに行く。

義母もいっしょに連れていくつもりでいたが、義父は支度が終わっているのに義母は部屋着のままだった。

いっしょに行こうと促すと、

「私は自分の病院に行ってくるからいい」

と言う。

義母の通院日は今日ではないし、いつもは元気だから病院なんて必要ないと言っているのに珍しい。

病院は今日じゃないと伝えると

「私は買い物に行くからいい」

と変更。

いっしょに行きたくないと言うことかな?

なんとか説得しようと話を聞いてみると、どうやら下着を買いたいらしい。が、それを恥ずかしくて言えなかった乙女な義母。可愛い。

洗い替えに五、六枚欲しかったみたい。

それも今は閉店しているお店に向かおうとしていた。

もしも義母の単独外出を止められなかったら、お店がなくてボー然とたたずむことになってしまうだろう義母の姿を想像してしまった。


忘れるって悲しい。


そんな悲しい思いを義母にして欲しくない。

病院の後にみんなで買い物に行くということで納得してもらった。

とは言え部屋着の義母はぐずる。

「こんな格好では外出出来ない」

想定内なので大丈夫。そのために早めに来たからね。

着替えるの待ってるよと言うと渋々着替え出した。

が、持ってきたズボンはジャージ。しかも膝に穴が開いている。

でもとやかく言わない。義母がこれでいいと言うなら逆らわない。

(機会があれば後でタンスをチェックしてみよう)

上着を着た方がいいかもとさりげなく助言をいれつつ身支度を整え三十分かけて着替え終了。

そして出発。


義父の病院が終わり、母が買い物をしたかった下着を見に行くと、すでに買い物したいと言っていたことを忘れていた。

下着が欲しかったんだよね。そう言って売り場まで連れて行き、めぼしいものを手に取ると二枚組ワンセットだけ手に取ってこれでいいと言う。五、六枚と言ってたのは…

とりあえずもうワンセットを勧めてレジへ。


買い物を終えて帰りの車の中、義母に

「病院から家に向かわないからどこに連れて行かれるのかと思っちゃったよ」

と言われた。


信用出来ない嫁でごめんね。

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