ユグドラシルの木の下で

狼煙(アズ)

第1話 冒険者にあこがれて

 俺はアルヴ=クレイド。まだ6歳だけど、将来の夢は決まっている。俺は冒険者になるんだ!


「アル~!そろそろ寝るわよ~」


 お母さんがそう言って、俺をベッドへ連れて行く。俺はよく「アル」と呼ばれる。ニックネームなのかな?


「はーい!」


 ベッドではいつも本を読んでくれる。勿論、冒険譚だ。



 この世界の生き物は皆、魔力を持っている。人によって差はあるが、無い者は存在しない。そして、その魔力の源は魔力の泉とも呼ばれる《世界樹ユグドラシル》にあると言われて来た。

 世界樹ユグドラシルを守り、民を守り、自らを守る仕事、それは冒険者である。この世界の神聖なるものは世界樹ユグドラシルだけではない。この世界には大迷宮レクイエムも存在する。

 大迷宮レクイエムは浮島の様に浮かんでいる天界層と地面深くの巨大な大穴の深界層がある。冒険者は大迷宮レクイエムの最深部と最高部を目指して、今日も冒険をする。



 俺は午後から魔法の訓練があった為、魔力の消耗により眠たかった所為か、ぐっすりと眠ってしまった。

 太陽が昇り始めた頃、俺は目を擦りながら二階から階段で降りる。


「おはよぅ」

「アル、もう8時よ。剣の訓練に遅れるよ」


 剣の訓練と言う言葉に反応して目が見開いた。


「やっべぇ!遅刻する!」


 急いで着替えて、パンを片手に、剣を腰に下げて家を飛び出した。

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