冴えない俺は愛される

じっくりコトコト

第1章 第1話 彼女

 暗い店内で華やかなドレスを着飾る綺麗なお姉さん達。都内でも結構有名なクラブで、そして今そこのNo.1嬢と一緒にお酒を飲んでいる。社会人としてこれほど最高な物はないだろう。


 ある1点を除けば。。。


「弥生さんもっと飲んでくださいよ~。いっぱい飲んでる弥生さんが私好きだな~」


「いやーそんな事言われたら飲んじゃうなー、大将この日本酒もう1合頂戴!! 」


 No.1嬢はいるがここはクラブではないし、近所の居酒屋。そしてこの嬢がこの冴えない俺の彼女、奈緒である。


 奈緒は、大学時代バイト先が一緒で、3つ下の後輩だった。そこで仲良くなって付き合ったのだが、何故付き合えたかわからないくらいに可愛い。彼氏の俺がいったらおかしいが本当に可愛い。


「もう弥生さん~。日本酒じゃ雰囲気台無しじゃないですか! 折角No.1が接客してあげてるんですよー」


「うん。そだねー。あんまり人前でそんなに大きな声でそれ言うの止めよーねー」


 周りの目線が非常に怖い。他の男性の方からの目線が非常に怖いのです。奈緒が良く1人飲みをしにくる居酒屋なので、奈緒目当てで飲みに来てる人がいっぱいいるんです。


「おい弥生!! うちの看板娘にケチつけるのか!? そんなやつは出禁だ! 」


 奈緒が1人で飲みにきて、沢山のお客さんが集まってくるので、大将にしたら神様のようなもの。そして、大将からしても俺は邪魔者みたいで、いつもこのやり取りになる。


「みんなで私の彼氏イジメないでくださいよ。かわいそうですよー」


「奈緒ちゃんは優しいな~。ほら弥生さっきの注文のやつ」


 こういう時はお酒を飲むのが1番。さっき注文した日本酒を一気に流し込むが、何か違う。


「大将?日本酒これ?」


「おう!日本酒だぞ」


 そういう大将の手にはスピリタスが握られていた。


「やりやがったな。大将。。。」


「これは今ここにいる男性の気持ちだ。ありがたく受けとるんだな。」


 アルコール度数97%のスピリタスを一気飲みしたのだから、そのまま倒れるに決まってる。最後にみたのは男性陣のとても素晴らしい笑顔であった。


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