第3話 第三回  六月

『第三回  二〇〇四年六月上旬』


扇風機洗い髪梳く手櫛かな


せんぷうきあらいがみとくてぐしかな

2004/06/05


エアコンの普及した時代にも愛される扇風機。

その前に湯上りに座るととても涼しく、

洗い髪はそのまま手で梳いてくれる粗い手櫛の様で、

ゆるやかに乾かして行く。

浴衣を着た女性が似合い、背中の浴衣が少し滲んでいる。

* 季重なり


◇◇◇


悲しみの紫陽花真似て移りけり


かなしみのあじさいまねてうつりけり

2004/05/20


紫陽花はこの句の中での私の解釈は、

紫陽花の花の色が次第に移り行くと言う意味で使っている。

悲しみと言うのは、

紫陽花の花の色の様に時を経て変わって行くものだ。


◇◇◇


蛍や懸想文結ふ細き枝


ほうたるやけそうぶみゆうほそきえだ

2004/06/05


例えば浴衣を纏った女性が、

ラブレターを儚い細い枝に結ぶ姿とその不安に、

愛する心を運ぶと言われる蛍の確信。

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