第4話 生徒会長 天野乙女の暴走

 歩のクラスの4人、あれから完全に大人しくなったようで、歩に絡んでくることはなくなった。ただ、スポーツ特待生の彼らが、得意分野である空手や剣道に対して恐怖心を抱くようになり、まともに部活が出来なくなってしまった事はちょっとした騒ぎになってしまった。

 学校側の要請で、生徒会が事実調査に乗り出した。

 生徒会長に呼び出された4人、ドンヨリとした表情で生徒会室前で項垂れている。

 「天野先輩って、ちょっと怖いよね」

 「そうそう、イッちゃっているっていうか」

 白黒コンビが「はぁー」とため息をつく。

 「そうため息付かないでくれるか。最近なんか学校来るの嫌になったんだけど」

 イケメン剣持が目の周りをクマを作り、壁にもたれかかり額を抑えている。

 彼はまだ良い方で、力石は…

 「アハハ…チョウチョが飛んでる…」

と現実逃避していた。

 「それでどうするの、きっと部活なんとかしろっていうつもりじゃないの?」

 「剣持なら何とかなるだろうけど、力石は…ダメだろう」

 白黒コンビは呼び出された理由を察しているようで、『どう理由をつけて誤魔化そう』と考えている様だ。

 だが、けして剣持も何とかなるレベルではない。

 「いや…俺。竹刀持てない…無理」

 剣持は手を震わせながら顔を小刻みに震わせながら横に振った。

 さて、彼らは生徒会の部屋に入れるだろうか?

 生徒会の外で擦った揉んだしていると、それに気づいた生徒会長の天野乙女が

 「あなたたち遅い。早く入りなさい」

とドアを開けて入る様促す。4人は渋々部屋に入った。

 生徒会室は校長室にあったお古の机や応接セットが置かれており、さながら臨時の校長室みたいな来客対応可能な部屋になっている。

 天野は彼らをソファーに座るよう指示すると、財前にお茶を出させた。

 「スランプなの?」

 「…ハイ」

 「理由は?」

 「言えません…言いたくもありません」

 剣持がボソボソと答える。

 これは重傷だなと判断した天野は

 「だったら、いつもみたいに日比谷さんに稽古つけてもらったらいいのでは?」

と剣持らにチクリと嫌みを言う。

 「ひいいいいいいっ」

 力石が一瞬で自我を取り戻し、悲鳴を挙げソファーに丸くしがみついた。

 一方で剣持は足をブルブル震わせながら頭を抱えた。

 「あ、あれは…稽古ではありません…でした、俺らが調子に乗って…いました」

 白石は

 「ば、バカ…余計ないこといわないで…あれは…そう、何でもないんです」

と剣持の自供を否定する。

 黒井は

 「あれは祟りです…だから何も言ってはいけない」

と黙秘した。

 4人は完全にメンタルをやられてしまっている。

 「あらら…あなたたち女子まで恐怖するって何があったのかしらね」

 天野はお茶を啜って彼らの様子を窺っていた。

 どうしたものか?

 その状況からすると、こっぴどく歩にやられたと考える方が自然である。

 この状況では彼らが語る事はできないだろう。

 そう判断した彼女はこの部屋にいた、ある意味部外者である財前を手招きして

 「とりあえず以前お話ししていた件で、お使いお願いします」

と伝えその場から離れた。

 部屋には天野と剣持ら4人だけ残された。


 「ところで、ちょっとした同窓会をしましょう。マカロフ時代のね」


 天野がそういうと、この部屋に何らかの術式を施した。

 結界である。

 「大丈夫です。誰も来ませんから」

 「天野先輩…じゃなかったエマシア様」

 剣持達はすぐにソファーから立ち上がり、その場に傅いた。

 「ガルウィン、なぜ剣士であるあなたともあろう方がそんなに怯えるのです?」

 「い…言いたくありません」

 「違うのです、剣持…は強く口止めされているのです」

 黒井が慌てて口を挟んできた。

 「アメリア、あなたまで封じられるとは驚きです。ユリアーネ、あなたも同じでよろしいですね?」

 白石がコクリとうなずく。

 「アンドレイは…この様ですか」

 力石がブルブル震えている。

 そう、この連中は歩と真緒の同郷であるマカロフ出身者である。

 この剣持らは

 ・剣持司こと剣士ガルウィン

 ・力石要こと格闘家アンドレイ

 ・黒井真華こと黒魔法導師アメリア

 ・白石法子こと白魔法導師ユリアーネ

であり、かつてパーティーを組んでいた仲間である。現世でも仲良く連んでいる。

 一方、

 ・天野乙女ことエマシア

は彼らよりも上位の者である事が窺えるが、今は触れるのはやめておこう。

 ただ、エマシアとかガルウィンとか話を進めていくとごっちゃになるので、ここは現世での名前で話を進めるとする。


 天野はこの4人を見回して首を傾げる。

 「あれ、4人でしたっけ?もう一人いませんでしたっけ?」

 「いや、4人ですよ…多分…」

 「そうか5人だったと思ったが…思い出せない」

 「いや、間違いなく5人よ」

 「違うわよ、4人でいいんです」

 話が4人もしくは5人と食い違う。いずれにしても5人目の名前が出てこない。

 話し合いの結果、『転生時にいくらか記憶が欠けている』というで一致した。

 特に顕著なのはその辺りである。

 「もう一人いますよね、絶対に。なんで思い出せないのかなぁ…」

 天野は頭を抱え必死で思い出そうとする。

 何か記憶が消されている様な感じもする。

 そもそもこのメンバーって何?そう考えてくるとヒントはあるはず。

 剣持が天野に尋ねる。

 「うちらってギルドか何かの冒険者メンバーでしたけ?」

 「いや、魔王討伐のメンバーのはずです」

 「魔王?そうすると魔王討伐専門官がいるはずですよね?私のような黒魔法ジョブスキル専門じゃなくてオールスキルマスターの」

 「あ、そうよ勇者がいたはずですわ!」

 天野が消されたメンバーの事を少しだけ思い出した。ただ完全に思い出せない。他の連中も同様である。 

 「そうなのよね。その辺の記憶がバッサリとないのよね。どうみてもうちみたいなポンコツパーティが高難易度のクエストをまともにクリアできるとは考えにくいわよね。第一、私の魔力じゃ5回再生リジェネレーション掛けたら枯渇するわ」

 「ねえ、剣持君。あなたのかつての実力ってどんなものでしたっけ?」

 「多少の魔物を討伐した記憶があるけど…竜みたいなものは倒した記憶がないんですよね」


 「勇者…ねぇ、魔王みたいな人達は知っているんだけどなぁ」


 力石がボソリと呟く。

 他の3人が慌てて、力石の口を塞ぐ。

 「バカ、もし聞かれたらどうするんだよ」

 「もうやめて、過ちは繰り返してはいけないわ」

 「私ら、今度こそ殺されちゃうわよ」

 完全ガクガクブルブル状態である。

 今、彼らの頭の中では黒いベールに隠された日○谷歩氏と蛭谷○緒女史がニタリと不敵に笑っている姿が過っている。

 今、魔王退治しませんか?なんて言おうものなら、さようならっと言って逃げ出すだろう。

 「それで、今度の大会はどうするつもりなの?」


 ギク!!

 

 2人の男が真っ青になる。この様子では期待に添えない…ていうかダメだ。

 「それでは困ります。私、先生方に報告しなければなりません」

 「でも、力石もそうですが怖くて仕方ないんですよ。竹刀を構えると…あっ、ご、ゴメンナサイ、もうやめて!!!」

 剣持が怯えだし、力石はその場で失神した。

 「このままでは、スポーツ特待取消になってしまうわ…どうしよう」


 そんな中、悪魔のような救世主があらわれた。


 部屋の壁、床、天井からバチバチバチと小さな稲光がしたと思うと、照明がショートしたみたいに閃光後に切れた。

 視力が奪われ部屋が真っ暗に感じる。

 恐怖感が増す。

 ガラッと派手にドアが開いたと思うと、彼らが一番恐れている奴がそこにいた。

 外の明るい光の中、光に隠れてぼんやりと立っている影。

 それはまさに、先ほど彼らがイメージした魔王がそこに降臨した。


 「ぎやああああああ!!」


 4人が腰を抜かし悲鳴を挙げる。

 「俺、何かしましたか?生徒会長」

 日比谷歩魔王勇者が降臨した。

 「いや、私もいるんですけどね」

 本物の魔王、真緒様も降臨だ。

 「あら…人払いの結界をしていたのに、強引に来ちゃったのですね」

 「私ら呼んでおいて失礼じゃないですか?」

 「結界…かどおりで。財前さんだっけ?あの人、急に腹痛起こしてトイレに駆け込む訳か」

 「じゃあ、私らあなたに試されたってことでいいのかしら」

 真緒が不機嫌そうな顔で生徒会長を見る。真緒様お冠である。

 「いえ違います。要件があったのは事実です。ただ彼らとのお話が長引いたのでそういう形になってしまいました。」

 「それで要件は何ですか?わざわざ私ら呼び出した位ですから美化委員の予算でも少し回してくれる話なら歓迎しますけど」

 真緒は日頃から現生徒会体制に不満があり、ここぞとばかり天野に突っかった。

 特に、天野が歩に対するいじめを黙認したことが気に入らなかった。

 「あらごめんなさい。こちら側の意図が読めなかったようで…」

 「はぁ?喧嘩売っているんですか?いくら上級生で生徒会長といえどひどいですね。それに私らが単なるバカって聞こえるんですけど?」

 かなりカッチーンと来ている真緒。彼女は歩の腕を引っ張ると「帰るわよ。馬鹿にして!」と怒り心頭である。

 「いや、まだそうとは決まっていないよ。一応、話を聞いてみよう…で、何、彼らに対する苦情でもいいたいようですけど」

 歩は4馬鹿をジロッて睨み付ける。

 4人は顔を左右に振って両手を上にあげた。

 「違うのです。日比谷歩さん。今日呼んだ件は別の機会にします」

 「別の機会ですか?また私ら会長閣下のところに出向いて行くんですか?」

 「お気に召さないなら、私がそちらに伺いますが」

 「なら今の要件は何ですか?」

 「それは願いしたいことがありまして…」

 天野は立ち上がると、お茶をそれぞれ用意する。

 歩に対しては緑が濃い高そうなお茶、一方で真緒に対しては薄く辛うじて色が付いている位の出がらしのお茶…明らかに差別している。

 「…なんで私が出がらしの茶なんですか?歩君とお茶の質違いますよね?」

 「あらごめんなさい。お茶が良い色でなかったので良い方のお茶を出したのですがお気に召しませんでしたか?」

 「あの、常識がある方なら普通同じものを出しますよね。これ私に対して何か思うことがあるんですか?」

 真緒が言葉こそは丁寧だがガルルと唸って威嚇している。

 歩は出されたお茶をスッと真緒のお茶と取り替える。

 「俺がそれ飲むから」

 「ありがとう。でも失礼しちゃうわよね」

 歩の対応で少しは穏やかになる真緒。

 

 「いけませんわ!!」


 いきなり大声を出す天野。2人は口にしたお茶をブッと吹きこぼしてしまう。

 「そんなお小水みたいな色したお茶を含まれては!今、ちゃんとしたものをお出ししますから」

 真緒に出したお茶が『お小水みたい』とは…なにげに酷い生徒会長である。

 真緒は小声で「やっぱりあんたの言うとおりこいつ殺すわ」と拳を振るわせ怒りに震えている。

 その間に新しいお茶が出された。

 「それで、俺に依頼ってなんですか?」


 「あ、それでしたら…この者達に稽古を付けて欲しいんです」

 

 4馬鹿はもちろんのこと、真緒もビクッと反応している。

 もちろん4馬鹿はパニックであるが、一方、被害者であり加害者でもある歩はジッと話を聞いている。

 「彼らはこの世界でなら実力はあるよ。わざわざ俺が教える事はないよ」

 歩はそう言ってお茶を啜る。

 「それはそうなのですが、自信を失ってしまったのです。どういうわけか」

 「あっそう…で、その『どういうわけか』と言う意味は彼らはが『推察』は付くっていうことになりますかな」

 「ええっ、そのとおりです」

 「それで俺に彼らが自信を取り戻すよう強力して欲しいと」

 「はい。さすがです。その頭の良さをにも見習って欲しいです」

 天野は何故か真緒を挑発するような言動を繰り返す。

 「…なんで私そんな言われ方されなきゃいけないのかしら」

 真緒がゆらりと立ち上がり、この野郎とばかりに身構えるが、歩は右手で真緒の胸を鷲掴みにして自制を促す。

 …ていうか、違う方面で真緒の理性がぶっ飛んだ。

 具体的に言うと、真緒は歩の意外な行動で我に返り『天野に対して少し冷静さを取り戻す』反面、どさくさ紛れに胸を揉まれた恥ずかしさで顔が赤面し一瞬思考が停止してしまった。

 数秒後、思考が動き出すと『後で説教をしてやる』と言わんばかりにガルルル…と今度は歩を威嚇した。

 一方でこの様子を見た天野も一瞬、頭がショートした感じで動きが止まった。

 数秒後、頭の回転が戻ったのか段々目尻がつり上げ「この野郎」とばかりに真緒を睨み付ける。

 「あの、会長さん?さっきからうちのを挑発している様ですが、何かあったんですか?」

 歩の苦言に天野はハッと我を取り戻したようで

 「いえ、そんなつもりは…」

と急にシュンと落ち込んでしまった。歩の苦言が少し続く。

 「うちのが相当怒り狂っているけど…」

 真緒は『いや、それはあんたがどさくさまぎれで私の胸揉んだからでしょ?』ってツッコんでやろうかと思ったけど、今はそれ以上に天野に対して頭にきているし、歩が自分の代わりに文句言ってくれているから、あえてどういう態度をとるのか見てみようと思った。

 「それに、彼らに自信持たせろっていうことは、また俺が無抵抗でタコ殴りにされなさいってことなんですね?」

 「いや…そういうことじゃなくて…本当の意味で稽古をつけて自信を取り戻してあげて欲しいのです」

 「ふぅん。要はタコ殴りにされない程度に相手すればいいのですね?」

 「はい。それでお願いします」

 「…ところで、それに協力すると俺に何かメリットありますかね」

 しばらく天野は考える。

 そして出てきた答えは…


 「それであれば、私の『胸』でどうです?」

 「どういうこと?」

 「はぁああああ?」


 真緒は今度は怒りで顔を真っ赤にして立ち上がった。

 「その方よりもさわり心地は断然良いと思いますよ。だったら生で触って確認しますか?」

 「あんたいい加減にしてくれる?さっきから挑発しまくりだし、うちのを誘惑するわ…私はね、歩君ゲットするのに色んな意味で、体張って相方コントやってるんだよ。生徒会が邪な考えでちょっかいださないでくれる?」

 「こ、相方コントって…」

 「そんな見窄らしい体張って何を恩着せがましく言っているの?ほら見なさい。私の方が大きくてふわふわですから」

 天野は自分の胸を両手で上に持ち上げ誇張する。

 負けずに真緒は歩の掌を自分の胸に押し当て、

 「バーカ。そんなもん金出せばやらせる女いくらでもいるわよ。でも最後は心と気持ちと体の相性なんだよ!」

と恥も外聞もぶっ飛び天野を挑発した。

 天野と真緒が良い感じに壊れだしてきた。

 天野も負けじと歩の手を自分の胸に引き込もうとするが、真緒が歩の襟首を引っ張りそれを阻止する。

 「ちょ、ちょっと…これコントや漫才と違う!!俺の取り合いを口実に本気で喧嘩しないでくれる?」

 「いや、私は歩君に是非協力お願いしたいだけです!!」

 「私は歩君をこんな色情魔に取られたくない!!」

 「お、オーケー、わかった。わかった。ならば提案するよ。」

 歩は両方の手を振り払うと腕を組んでその場に座り込んだ。

 

 「いいぜ、見てやるよ。掛かってきな。面倒見てやるから」


 歩は以前から真緒の口ぶりで天野と折り合いが悪そうと思っていた。

 しかし、実際にお互い会話させてみると予想以上に悪く、誰かが歯止めにならないと段々エスカレートしていく事がわかった。

 喧嘩の材料とされた歩としても『ハーレム万歳』ではあるが、このままでは非常に面倒な展開になっていくので渋々協力要請を応じることとした訳だ。

 ただし、条件は忘れていない。


 「正直お胸に興味ありますが、それよりも美化委員としての希望を汲んでもらいたいですね」


 歩はあえて真緒を立てる形で応じることにした。

 だが、真緒の怒りはすさまじく


 「あんたをしばかせろ!ちょっかいばっかりかけないでくれる!」


とツッコみなしで本音丸出して威嚇し続ける。これは落ち着かせるしかない。

 「はいはい。どーどーっ」

 歩は面倒くさそうに彼女を抱き寄せ頭をポンポンとあやして落ち着かせる。

 抱き寄せる事で真緒も安心したのか粗かった鼻息もだいぶ落ち着いてきた。

 …と同時に、ハグされている状況と今まで天野と歩を取り合っていた状況を冷静に判断できるまで回復し、恥ずかしさでめまいがするほど顔が赤くなった。

 「お花の種代と園芸道具でいいんでしょ?」

 「…はい。それでお願いしますぅ…」

 真緒は恥ずかしくて死にそうになり、仕舞には語尾までおかしくなった。

 「…ということで、お花の種代と園芸道具の予算アップでお願いします」

 「わかりました。今回はそれで手を打ちます…チッ」

 天野は歩に聞こえない程度の舌打ちをした。その舌打ちは誰に対して向けられたのか、その向けられた本人はすぐに理解した。

 「はぁ?その舌打ちって何?それに今回はってどういう意味?」

 折角大人しくなった真緒が急にスイッチが入り急に鋭くついてくる。

 歩に対する恥じらいよりも天野に対するいらだちの方がパーンとメーターを振り切った形である。

 「だって、こっちがお願いされているのに舌打ちされるわ『今回は』と上から目線で限定的されるわ…一体、何なの?」

 「知りません。何かの聞き間違えでは?」

 天野は真緒からぷいっと顔を背けて膨れている。

 「歩君、この話なし!!こんな人と交渉するメリットなし!!」

 真緒は我慢の限界を超えてしまい、委員長として打ち切りを宣言する。

 ただ歩としては今、無意味に生徒会と拗らせても得策ではない気がした。だからあえてここは真緒をなだめることにする。

 「でも真緒さん、今は生徒会に恩売っておけば後々こっちに不利益は少ないぞ」

 「……」

 「あとで一緒にアイスでも食べてクールダウンしない?」

 「…わかった。今回だけは我慢する」

 「とりあえずうちの委員長が了承したか。会長さんもそれでいいね」

 「…わかりました。余計な事はいいません」

 美化委員と生徒会の話はそういう事でついたが、一方的に置いて行かれた馬鹿4人。白目剥いて口から泡を噴き出していた。

 「文句はないな?」

 歩はそう言うが、4馬鹿は慌てて土下座して

 

 「許してください!!」


と泣き言をいう始末。

 こりゃだめだとばかりに大きなため息をつくと

 「生徒会と我が美化委員との利害が一致した。逆らえば俺ともども生徒会もお前の敵になるぞ。それでだ…」

歩は立ち上がり指をポキポキならしながら、


 「今、選べ。再生リジェネレーションで回復付の稽古が良いか?今ならちゃんとサポートしてやる。断るならわかっているだろうな…」


と高圧的に話し合いをした結果、白黒コンビが

 「是非、お願いします」

 「私らも精一杯応援させて頂きます」

とこちら側に寝返った事で話がついた。

 剣持と力石は…


 「もういやだ…おうちかえりたい」

 「ひとおもいに殺してくれ!!」


といいつつ、それに応じるしかなかった。

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