第44話 欲望の暴走
テネブリスの指示で龍国にやって来たロサとヴィオレタ・ルルディだ。
テネブリスを筆頭に眷族の者達が集まる中、当然の様にアルブマは最愛の姉の隣に座っている。
「ロサ。何故星の妖精王たるヴィオレタ・ルルディをお兄・・・あの者にやると言ったの?」
「あの者が前世に置いて我が神の最愛の者と認識しております。そして我が神の呪縛から解放してくれた恩人である事も事実です。それよりも我はあの者にとても共感しております」
「お前がアレの何を共感するところが有るのかしら?」
「それは生い立ちと宿命です」
「・・・」
「我もかの者も”敬天愛人”の如く、全ての者達に無限の愛情を持って接している姿は、我が末裔ですが・・・我が分身の様な錯覚さえ持ちました」
「ロサ・・・それは・・・」
何か言いたそうなテネブリスの膝にアルブマの手が添えられて止められた。
「勿論、我がかの者をヴィオレタ・ルルディの所有者と盟約したのは理由が有ります。第一に、かの者の側に置いて監視できる事。第二に、我を開放してくれた恩を返す事。第三に、我が神とヴィオレタ・ルルディが直接連絡する事により、今まで以上の情報が入手できると判断したからです」
現在の龍国においても、下界の任意の場所の音声を聞き取る事は出来ない。
と言うよりもする必要が無かった。
情報は精霊王たちが集め、龍人達が直接介入出来るので必要無しと判断したためだ。
もっとも、それ以上に興味も無かった。
しかし映像だけは、どのような場所も映し出す事が可能なのだ。
「では定期的にわたくしの元に来て報告させると言う事かしら?」
「はっ、そのとおりです」
「では何故”性奴隷”にさせる必要があるの?」
無表情で質問するが、怒りの魔素が体中から溢れていたテネブリスだ。
「それは・・・かの者に余計な詮索をさせずにヴィオレタ・ルルディが情報を引き出す為です」
「余計な詮索とはお姉様の事を気取られない為よね」
「・・・はい、そり通りでございます」
何故かロサを庇うアルブマの問いかけに便乗したロサだった。
「・・・」
テネブリスはヴィオレタ・ルルディを睨みながら熟考していた。
「良いでしょう・・・ヴィオレタ・ルルディの件は許可します」
その場に居た全員がホッとしたが、続く言葉に恐怖した。
「ヴィオレタ・ルルディだけ残して他の者は出て行きなさい。アルブマ、貴女もよ」
「お姉様!!」
「我が神よ!!」
ヴィオレタ・ルルディに酷い仕打ちを行なう。
それが全員の思い描いた事で、必死に止めて欲しいと嘆願する者達だった。
「馬鹿な事を言わないで!! ヴィオレタ・ルルディと打ち合わせをするだけよ」
「お姉様、本当に・・・」
「アルブマは私の事を信じられないのかしら?」
「そうでは無くて・・・」
「では後でヴィオレタ・ルルディに聞けば良いでしょう? 私に何をされたのか」
「ベルム」
「はい、お母様」
「後でヴィオレタ・ルルディに確認するのよ」
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
テネブリスの自室には部屋の所有者と、前世の夫であり、大好きなお兄ちゃんの性奴隷として認知されたヴィオレタ・ルルディと2人だけだった。
テネブリスは室内に幾つかの魔法を使った。
誰にも見られない様に、一切の音が漏れない様に、転移の移動も出来ない様に、念話さえも遮断したのだ。
「ヴィオレタ・ルルディ」
「は、はい」
「着ている物を脱ぎなさい」
そう言って一糸纏わぬ姿で、寝台で手招きするテネブリスだった。
無言で添い寝するヴィオレタ・ルルディに優しく問いかけるテネブリス。
「これから私の事はお姉様と呼びなさい」
「はい、お姉様」
「お前はまだ交配をした事が無いでしょ?」
「はい、使命が有りましたから」
「ではお兄ちゃんの性奴隷になる前に、私の虜にしてあげるわ」
妖精王達は神々に創生された存在だが、精霊王と違い肉体が有るので子孫を作る事が可能だ。
しかしテネブリスには繁殖器が存在しない。
したがってヴィオレタ・ルルディを虜にするにはアレを使うしかないのだ。
(アルブマにバレると絶対に怒るからなぁ)
「では我が欲望を受け入れ虜となれ、リビドォ・ボォォル」
テネブリスの手の平に薄桃色の発光体が現れた。
すると”それ”はゆっくりとヴィオレタ・ルルディの双丘に触れ、ビクンッと驚くがスウッと体内に吸収された、と同時にテネブリスに抱き付く紫の髪の女だ。
腕は力強く抱きしめて、腰をグイグイと擦りつけるヴィオレタ・ルルディは奇声を上げていた。
涙を流しながら、涎を垂らしながら、虚ろな眼差しは虚空を見ていた。
(やはり強力よねぇ。もう私の虜よ。お兄ちゃんと”して”も大丈夫そうね)
余りにも”うるさい”ので最後に唇を押し付けて舌を吸ってやったテネブリスだ。
ガッツリと抱き付くヴィオレタ・ルルディが正気に戻ったのは魔法の効果が無くなるまで続いた。
「さぁ貴女の身体を全部見せてもらうわよ」
無限の快楽から解放されたヴィオレタ・ルルディは放心状態だったので、テネブリスのやりたい放題だった。
全身を舐め回し、指を入れ、匂いを嗅ぎ、味を確かめながら冷静に分析するテネブリス。
(妖精王ってこんなに甘いの? 他の妖精王も同じかしら? でもこの匂いと甘さはズルいわ。・・・不味いわねぇ、”私の体”は普通だから手を加える必要が有りそうね。この子を研究室で解析させて”甘い原因を取り込む”事は出来ないかしら・・・良し、解明させよう。そして取り込むのよ。”私達2人”でお兄ちゃんを性奴隷にするんだから)
1人で邪まな事を考えながら”紫の甘味”を堪能しながら対外的な方便も思案する。
(ロサには転生の研究でヴィオレタ・ルルディに協力してもらう事にしよっと。研究所には新たな班を作る必要が有るわね。この子の成分を解明させて・・・ふふふっ)
その後、テネブリスの部屋の横にヴィオレタ・ルルディ専用の部屋が作られた。
Epílogo
テネブリスの暴走でした。
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