第40話 復活

決戦後、数日して棘王の種が眠る地中から急速に芽が出て、真っ赤な大輪の花を咲かす。


それは、5mは有ろう巨大な一輪の花だ。

数日後花は枯れ、つと粒の巨大な種が出来、その種にヒビが入り中から出てくる者が現れた。


その瞬間に転移して膝まずくフィドキアが居た。


「父上、長き眠りよりお目覚め、このフィドキアどれほど待ち望んだことでしょう」

「あぁフィドキアお前には苦労掛けたねぇ」

「勿体ないお言葉このフィドキア、父上の為であれば如何なる苦労もいといません」

「ありがとう我が子よ、それより我を長き眠りより解き放った者は何処にる?」

「ハッその者は我らが子孫です」

「そうか一度会って話したいなぁ」

「ハッ、手配致しますが、その前に我らの神にお会いされた方が宜しいかと存じます」

「何! 我らの神が戻られたのか?」

「ハイ」

「分かったまずは我が神の御元に参ろう」

「ハハッ」


そして2人は特別な魔法陣で転移した。



※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero



獣人の国から遥か南西の海域の島にある妖精の国。

それは世界に点在する特別な力を持つ妖精が納める土地の1つで、その妖精の支配者を華王かおうと呼んだ。


星の妖精王ヴィオレタ・ルルディは特命を受けてこの土地で聖妖輪廻華王と名を変えていた。


そして昨今の異常に敏感に反応していたのだった。

「棘王が消滅したのは本当か! 誰が倒してその後どうなっているのか至急調べよ!」


ヴィオレタ・ルルディの納める妖精の国はテンヤワンヤだった。

代々棘王を見守る役目をになっていたにも関わらず、知らないうちに倒され解放されたようだからだ。

華王の沽券に係わる事なので最優先で調べさせていた。



※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero



フィドキアと一緒に龍国へと転移したロサ。

その気配を感じとり”妻達”が集まって来た。


オルキス、ヒラソル、ナルキッス、プリムラが妻達だ。

全員から抱擁され熱い口付を交わすが、それよりも重要な事が有った。


「みんな、すまない。まずは母上と我が神に挨拶に行って来る」



事の成り行きを見ていたのでテネブリスと一緒に待っていたベルムだった。



「我が神よ、そして母上。只今戻りました」

「「ロサッ」」


2人に抱きしめられて戸惑うロサだ。


「ごめんなさいロサ。貴男を苦しめてしまって・・・」

「滅相もございません我が神よ。むしろ我の力が及ばす失態を見せてしまい申し訳ございません」

「ロサッ、助け出す事も出来なかった母を許しおくれ」

「何を申される母上、母上は我が神の片腕。全てを見守る事こそ母上のお仕事だと認識しております」


「「あああっ本当に戻って来てくれて嬉しいわ!!」」


眷族の報告も終え、テネブリスから命令が下される。


「ロサ、貴男には本当に大変な思いをさせたわ。それでね、わたくしは貴男の望みを何でも叶えてあげたいと思っているの」


「は、有り難き幸せ」


「でもその前に、オルキス達の相手をしていらっしゃい。彼女達からは貴男が封印されていた間の出来事を説明するように言付けて有るわ」


「は、ご配慮痛み入ります」


「ではみなさん、出てらっしゃい」


隣の部屋で隠れていたオルキス、ヒラソル、ナルキッス、プリムラが現れた。


「では皆さん、久しぶりにロサと楽しい一時を過ごしてね」

「「「ありがとうございます」」」


そう言って四人の女に連行されて行ったロサだった。


ロサ達とは入れ替わり2人の龍人が現れた。


「フィドキア、確認の為にも貴男からロサに不在中の事を説明してね」

「は、畏まりました」

「カマラダ」

「はい」

「貴男にはフィドキアが不在の間、監視を頼みたいの。セプテムにも頼んであるから聞いているでしょ?」

「はい、テネブリス様。一時的ですが大切な方を見守らせて頂きます」

「頼んだわよ、緊急の時は直接念話しても良いからね」

「はい、兄上フィドキアからも十分聞き及んでおります」


取りあえず、自分の犯した過ちで封印されていたロサが復活した事で心のトゲが1つ無くなり解放されたテネブリスだった。


「さてと、またアルブマと一緒に監視しようかしら」




暫らくすると、龍国では・・・相変わらずテネブリスは外郭で暴れていた。

原因は”お兄ちゃん”が新しい嫁を作ったと言う事実だ。


(次から次へと浮気ばっかりしてぇぇぇぇぇ!! 絶対に許さないからぁぁぁぁ!!)


ロサを開放した功績よりも浮気をした嫉妬の方が勝っているのだ。





Epílogo

暴れ回った外郭は沢山の爪痕が残されていた。


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