第16話 出会い

ある時、全ての龍人が神々の元に呼び出された。


呼び出したのは5柱の神と呼ばれている神聖な龍を筆頭にその眷族達だ。

大きな広間に集まったのは、暗黒龍、聖白龍、七天龍、七海龍、翠嶺龍と龍の使徒に第1第2ビダ、末席にはアルセ・ティロと星の精霊王に星の妖精王が並び立つ。


5体の龍人が跪き、以前から神々の通達が有った”下界に降りて眷族の末裔と繁殖を行なう事”を正式に言い渡された。


これは、しもべ達が行なっている新種の交配も一通り見通しがつき、更なる可能性を見つける為に強い龍の因子を撒く事が目的だ。


もっとも強い因子と言っても龍人の物で、第一ビダも交配が出来るが因子が強すぎて危険な為、大神スプレムスの賛同は得られなかった。


具体的な活動や期限を言い聞かせ指示を出すオルキス。

「それでは各自、管轄の地域に向かいなさい」

「「「「はっ」」」」


一斉に広間を後にする龍人達。

その後をアルセ・ティロと星の精霊王に妖精王が追いかける。

星の精霊王と妖精王には龍国から地上世界に降りて管轄を担当する精霊王と妖精王との連絡があり、龍人達への連絡も行なっている。


そして下界への転移は個別に行なわれた。

「では我は南の精霊王ドラドの所に向おう」

そう言うとフィドキアはさっさと転移してしまった。


「もう、勝手なんだから・・・私は北の妖精王ブランの所に行くわ」

残念そうにラソンがそう告げて転移した。


本来は産まれた順番でインスティントが転移するはずだが、アルセ・ティロから打ち合わせが有ると言って先にカマラダとバレンティアの転移を進めた。


「では我は東の精霊王アスルの所に向おう」

「我は西の精霊王ベルデの所に向います」


カマラダとバレンティアの転移を確認すると、星の妖精王ヴィオレタが話しかけて来た。

「皆さん無事に転移されましたね」


「では、御2人は東の妖精王ラータの元へ転移で宜しいかな」

問いかけたのは、純白で人型をした人形に憑依している星の精霊王グリスだ。

額には銀色の模様がある。


精霊王は精神体なので憑代が必要である。

星の精霊王グリスが憑代に使っているのは、龍国の大地と”同じ物”だ。

即ち始祖龍スプレムスの殻で作られた素体を人形に加工して憑依しているのだ。

その素材特性を生かした利点を活用した魔法を開発し付与してあり、自らの魔素を使い龍国内の隅々まで異常を察知し瞬時に移動出来、警邏の役目も担っていると言う。


東の妖精王ラータへと転移したのはインスティントだけでは無く、アルセ・ティロが一緒だった。

勿論、理由が有り目的が有る。


「行ったわね」

「ああ、そうだね。アルセ・ティロならば何とかしてくれるだろう」


龍国では過去に出向いた場所を思い浮かべると、その場所を映し出してくれる魔導具がある。

その魔導具に映る映像を見ていた第1ビダが居た。

我が子が可愛いヒラソルだ。



※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero



時は少しさかのぼり、眷族である第2ビダのシエロが毎日インスティントの元へ訪れては検診を行なっているのだ。


それは、事前に施した魔法の効果を確認する為に、新たな生命に反応する魔法を使い調べる作業だ。

勿論ヒラソルの要望での行ないだ。

そして、期限が迫る前に魔法が今までに無い反応を示したと言う。


「さぁ、インス。横になって」

いつもの様にシエロの検査を受けるインスだが、新たな生命を宿す事に強い執着があるが何処かに不安な気持ちも持っている。

無言のままシエロに身を委ねて瞼を閉じるインス。


魔法を発動しインスの腹部へ手を当てると、今までに無い反応が有った。

「あれっ!?」

「どうしたの?」

「・・・インス・・・驚かないでね」

まさかと、希望がよぎるインスだ。

「おめでとう!!」

満面の笑みで喜びの報告をするシエロの言葉を聞くと、至福の感情が瞳から溢れだした。


シエロからの報告を聞きロサとヒラソルが駆けつける。

「よくやったインス」

「頑張ったわねインス」

両親から祝福の言葉を貰うと、また涙が溢れだした。


それからは絶対安静を命じられる。

本人も理解し心残りだが、ファドキアとの行為も中止となった。

そして、この件は厳重に管理され眷族間のみの通達とる。

これはオルキスの嫉妬心が強い事は周知の事実なので、ラソンにもその傾向があると判断した為だ。


事の次第が表ざたになり、ラソンの嫉妬心に火が付けば新たな生命にも危険が及ぶと、最悪の事も考えてしまう親馬鹿ぶりのヒラソルが眷族に働きかけた結果だ。


だが、それとは別に神々の意向もある。

下界で眷族の末裔との繁殖だ。

そして眷族の長、暗黒龍テネブリス・アダマスと七天龍セプティモ・カエロも交えての決断が下った。


「我が眷族のインスティントよ。お前はこのまま下界に降りてその子を産むのだ」

「はい、畏まりました」

「貴女1人では不安でしょうからアルセ・ティロを側に付けましょう」

「はい、ありがとうございますテネブリス・アダマス様」

身籠った子の眷族の長2体に庇護されて安堵するインスティント。

ましてや、側にアルセ・ティロを付けてくれると言う。


アルセ・ティロは龍国に居る者であれば誰もが知っている存在で、国内の植物の祖とされる者だ。

そして、種族は違うがフィドキアの弟としての信頼もある。

そのアルセ・ティロを世話係のように側に置く配慮を示す事で暗黒龍テネブリス・アダマスの気持ちを他の眷族に解からせようとしたのだった。



※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero



龍人達はそれぞれに地上に降り立った。

事前に調査をして自らの眷族が住む地域を確認してある。

そして、繁殖対象者も同じだ。


対象者の選定は龍人に一任してあるが、実際は下界に降りた精霊王と妖精王の協力を得て選考したようだ。

龍人達が向かった場所はそれぞれの眷族と関係の強い者達だが男型は精霊王、女型は妖精王の関係が強い。


男型の龍人は問題無く選定し神の指示に従うのだった。

問題。ではなく、時間がかかった龍人が一名居た。

下界に降りても交配相手を中々選定せずに、何かに付けては文句を言って断っていた女性だ。


「お気持ちは理解しますが、今となっては神々の指示に従うしかございませんよ、ラソン様」


そう言って優しく問いかけるのは北の妖精王ブランだ。

その美貌は、目鼻立ちは違うがラソンと似た白い肌に金色の髪が眷族である事を疑う余地が無い程である。


ブランはラソンの事情を知っている。

と言うよりも、オルキスから命令されたのだ。

それは何とかラソンを宥めて龍人の使命を行なわせる事をだ。


「はぁぁ・・・」

しかしフランの口から出るのは溜息ばかりだった。

魔導具から映し出される末裔の顔を見ると何かに付けて文句を言って来るラソンだ。


「これ、顔が嫌い。こっちは、この眉毛は可笑しいでしょ。これは・・・この口、嫌いだわぁ。次のは、この鼻ときたら何ぃ、獣とでも繁殖したのかしら?」などなど。


北の妖精王として一族に探させた眷族の末裔の者達全てを否定されるのだから愚痴も出るが、グッと我慢するブランだ。

そんなやり取りを何度も重ねては、再度一族に探さている状況だ。


そうこうしている内に、星の妖精王ルルディからは他の龍人達が繁殖に成功したと連絡が入っている。

幸い、インスティントの報告はまだ無い。



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一方のインスティントは・・・


アルセ・ティロと転移したのは2人の眷族である東の妖精王ラータの元だった。


その場所は遥か昔に、巨大な隕石が飛来し眷族総出で大地への衝突を阻止した大陸だ。


その大地には大神や神の眷族達の力で巨大な隕石が砕かれて、小さくなったといえ大地に突き刺さり、その後も隕石の影響で荒れ果て渇いた土地になったと言う。


そんな他の大陸から隔離され、周辺の”地殻変動を止めている隕石"を封印された大陸を監視するのが東の妖精王ラータだ。


その大陸の東側に居を構えるラータの住家に暫らく居候する事となっている。


「ようこそ、我らの管理する世界に」

「ええ、しばらくお世話になるわ」

「よろしく頼むよ、ラータ」

ラータにインスとアルセ・ティロが挨拶を交わし大勢の妖精たちに迎え入れられる。


「安心してお二人の子を産んでください。皆、ご案内さしあげて」

出迎えの妖精たちに案内される2人だ。

「インス、今は元気な子を産む事だけを考えて」

「うん、ありがとうアルセ」


インスは仲間の庇護の元、出産までの間をこの地で過ごし、産まれた子を眷族との子供として報告しても良いと自らの眷族神である七天龍セプティモ・カエロと、フィドキアの眷族神、暗黒龍テネブリス・アダマスの許可を得ていた。


もっとも、この事は2神だけの許可で他の神には秘密だ。

片方の神は最強を求め、片方の神は可能性を求めていたからだ。



※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero



ラソンは近くの街に散歩に出ていた。


北の妖精王ブランが紹介する眷族の男達がどう見ても好感を持てなかったからだ。

理由は解っている。


自らの心に残る”思い龍”の影が脳裏をよぎるからだ。


男達は既に交配を始めたと聞き、自分以外と繁殖を始めた者に嫉妬し、恋敵の報告が無い事に救われている今日この頃のラソンだ。


気晴らしに出向いた人族の街である男を見て固まっていたラソン。

その男は、どうやら言い争いをしている仲間を助けようとしているのだ。

街中で剣を抜き臨戦態勢の数人の男達。

そんな事はどうでも良いが、戦いを止めようとする男に目を奪われてしまったのだ。


「やめろっ! どうしても戦うと言うなら我が相手をするぞ」

ガッチリとした体つきの男はそう言って長剣をかまえた。


「おうっ、やってやろぉじゃねぇか!!」

敵対する男達が襲い掛かると、剣の叩きつける音と共に叫び声が幾つも聞こえて来た。


「「「ギィャアアアァァ!!」」」

「ふん、身の程をわきまえろ。愚か者どもよ」


所謂、冒険者崩れの男達が一瞬で腕を切り飛ばされたのだ。

すると、男の仲間が止めを刺しに動いた。


「お前さぁ、中途半端に切るなよなぁ。あんな連中はキッチリと殺さないと恨みを持つだけだと教えただろぅ!!」


この時代、人族に倫理観は無い。

自分の身は自分で守る。

それが同族であろうとも。

むしろ魔物よりも同族の方が危険な事が多いくらいだ。


魔物は出会わなければ問題無いし、殺す覚悟で挑むのが通常だからだ。

しかし同族は違う。


絶えず奪い、殺す事を考えている輩の見分けは・・・割と簡単だが、中には狡猾な者もいるので一番警戒しなければならない。


そんなやり取りを一部始終見ていたラソン。

ある男に良く似た顔立ちだが髪は金色だ。


そうなると、思考はその男に支配されてしまうラソンだ。

あの男が気になって仕方のないラソンは尾行を始める。


尾行を開始して直ぐに名は解かった。

男の名はセジと言うらしい。

夜の食堂で仲間と飲み食いする様子を離れた場所から魔法を使い盗み見るラソン。


仲間が騒ぐ中でも比較的に大人しく無口で素っ気ない。

そんな態度も”あの男”と良く似ている。

その男がすっかり気に入ってしまったラソンはブランに伝え、妖精の監視を付けてもらう。


「全く、最初から自分で探せばよかったのにぃ」

「ブラン様、そのような事をご本人の前でおっしゃってはいけません」

「解っているわよ」

世話係の要請に諫言されるが、そんな主の心境も理解している妖精達だ。



ある時、セジが仲間と魔物の狩りに出かけると言う。

それは森の奥深くに有ると言う聖なる泉の水を持ち帰る仕事も兼ねての狩りだ。


その事を知り一計を思い付き、悪巧みをして邪まな微笑みをする聖なる龍人だ。

ラソンの心は叶わぬ愛を紛らわすために目の前に現れた生贄をどのようにして手に入れるかに、全ての思考を集中させていたのだった。



※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero



既に目的の場所に到着し聖なる泉の水を確保して帰る準備をしていた一行だ。


「だけどよぉ、何で魔物が一匹も現われないんだぁ?」

「だよなぁ。珍しい事もあらぁな」

「今日はこの森の魔物は全部寝てんのかなぁ?」

「それじゃ、寝てるうちに早く帰るとするか」


魔物と遭遇しなければ危険は無いが、折角狩りもする予定だったので肩すかしのような気分の一行が聖なる泉から離れて直ぐの事だった。


「・・・オイ。お前ら・・・」

「・・・ああ。異様だな」

いち早くセジが気づき仲間に知らせるが、流石に全員が察知するほどの異常な気配が周りを包み込んでいた。


「我が合図したら一斉に走り出せ。いいな!!」

最後尾だったセジが言い放ち剣を構えた。


集中し辺りを警戒していると、森の奥から木々を掻き分けて現れた異様な体躯の魔物がそこに居た。

森の奥から現われたのは体長4mを越え、体格の良いセジの倍は有る。

その体躯は二足歩行型で、太い足に腕、分厚い胸板に、がに股で歩き、両手はぶらぶらさせている。


そして人型だが首が無い。

肩から延びた頭に巨大な口が裂け、頭部には大きな目が二つ、ギョロッとしている。

まるで爬虫類の様だけど鱗は無い様に見える。

全体が黒い皮膚で尻尾が有り、腹は白く筋肉がクッキリと見えている。


「ゲロロロロロロロッ」

その叫び声は、良く聞く魔物達の鳴き声では無い。

腹の底に響く気色の悪い、耳を覆いたくなるような不快な鳴き声だ。


「逃げろおぉぉっ!!」

その声を聴いて一斉に走り出す仲間達。


一瞬で理解したセジだ。

自分達では敵わない。

だったら仲間を逃がす時間を稼ぎ、自分も離脱する方法を考える。


標的が逃げていく姿を見ている魔物だが、一体だけ残り殺気を飛ばしてくる個体に視線を向ける。

魔物はゆっくりと近づいて来た。


嫌な汗が脇をつたう。

身体が反応したのだろう。

即座に身体強化の魔法を幾つか使い臨戦態勢をとるセジ。

すると、一気に襲い掛かる魔物だ。

巨大な腕から拳を振り下ろす魔物に反応し、剣でいなしながら脇に切りつけて躱すセジだ。


「くっそぉぉ。あんな拳をまともに食らったらヤバいぞぉ・・・」

切りつけた魔物の脇には傷は無かった。

瞬時に判断し、大剣を切りつける。


「クソッ、どうなってやがる!?」

渾身の力を込めて切り付け、刺し込み、弱点と思われるカ所の攻撃にも手ごたえは無かった。


「はぁはぁはぁ・・・マズイなぁ・・・」

持ち前の攻撃力が通用しない事を理解して、即座に離脱する方法を模索するセジ。

だがそんなセジを見過ごす魔物では無い。


「ぐはぁっ・・・・」

巨大な拳の連撃を受けて派手に吹き飛ばされる。


「チィ・・・まずったぁ・・・」

その一撃は屈強なセジを鎧ごとへこませ、骨折の激痛を与えた。

獲物を仕留める為に近づく魔物が容赦無く襲い掛かろうとしたその時っ!


「フエゴ・グロボォ!」

セジの骨折した左手から大きな火の玉が魔物の顔面に放たれた。

しかし、それを防ごうともせず焼けた焼跡も皆無だった。


「くそっ、クラール!!」

即座に回復魔法を使って傷を癒し離脱する体制を整える。


だが魔物は見逃したりしない。

近づくのはゆっくりと。

襲うのは一瞬だ。

覚悟を決めたセジは剣を構える。


初手と同じやり取りが始まるが、攻撃を躱す時に魔法を魔物の口に放ち距離をとる。

一瞬止まったが、振り返り襲い掛かる魔物だ。


巨大な拳を何度躱しても、セジの攻撃は通用しない。

剣と魔法を使ってもだ。

そして、吹き飛ばされる。

勿論、回復魔法を使うが完治はしない。

それ程、強力な攻撃に対して初歩の回復魔法しか使えないからだ。

何時までも通用する方法では無いし、既に5回吹き飛ばされている。

何とか立てても足はガクガクと震え、剣を杖にして支え立つのが精いっぱいだった。


あたりまえだが、魔物にとっては待ち望んだ好機だ。

ようやく食糧に有りつけるのだから。


頭は朦朧とし、立って居るだけでも精いっぱいのセジに襲い掛かる魔物。

「これまでか・・・」

覚悟を決めて瞼を閉じたセジ。


「・・・ん?」

とっくに殴られてもおかしく無いのに何の変化も無かったので薄目を開けた。

すると、目の前には光り輝く膜が有り、ドンドンと魔物が叩いている光景が目に入って来た。


「何なんだ、これは。いったいどうなってんだ!?」


「これは魔法防御壁よ」


どこからか聞こえて来た女性の声に、あたりを見回すセジ。

すると斜め後方に、その場に不釣り合いな美しい女性が立って居た。


「お前は・・・精霊なのか?・・・」

更に近づいて来た女性が話しかけてきた。

「今は目の前の敵に集中して!」

「しかし、我の攻撃は通じない。お前も逃げるのだ」

「大丈夫よ」


そう言って女性はセジの持つ剣に手を翳した。すると・・・

「こっ、これは・・・」

ただの長剣だったはずだが、光り輝いている。

「あなたの剣に聖なる魔法を使いました。その剣であればあの魔物を一刀両断出来るでしょう。防御壁ごと切り付けて」


頷き剣をかざし、気合を入れて切りかかるセジ。

「ぬおおおおぉぉぉぉぉ!!」


“ザンッ”


先程までとは違い、脳天から切りつけたが抵抗も無く、すんなりと真っ二つに切ってしまった。

「す、凄い切れ味だ」


先程までの絶体絶命の境地から抜け出して、安堵のセジだが未だ警戒している。

それは突如現れた美しい女性が怪しいからだ。


この地域に妖精が現れたとは聞いた事が無い。

では旅の者か? 違うだろう。

何故ならば、こんなにも美しいのに、たった一人で身軽な装備だからだ。

ここは森の奥深く聖なる泉の近くなのだ。

1人で女性が居る場所では無い。

しかも、見た事も聞いた事も無い防御魔法を使い、剣に付与魔法まで与えてくれたのだから。

しかし、助けられたのは事実だ。

感謝の意を示す事にした。


「助かった。礼を言おう」

「良いのよ。気にしないで」

そう言いながら違う魔法を使う女性。


「これは・・・」

「どう? 直ったでしょ?」


自らも治癒魔法が使えるが、先程の状態では何度も魔法を使うはずだったが、一度で完治したようだった。


「ありがとう。我はセジ。ロア・セジだ」

「私はラソン。聖なる泉を管理する者・・・」






Epílogo

決してあの男同じでは無い。

良く似ているだけ。

髪や瞳の色も違うし・・・

でも何と無く話し方も似てるのよねぇ・・・

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