第28話 愛を知ったからこそ


 塔のソファーで、リオンが寛いでいた。さっきと全く同じ本を読んでいる。

 何の躊躇いもなく隣に座ると、リオンが気がついた。笑顔を向けられる。


「随分と遅い戻りだ。倉庫は気に入った?」

「あんな暗い倉庫はあたしみたいなか弱い女が入る場所じゃないわ。あの鏡の破片を持ち運べるよう手鏡にする」

「それは素晴らしい提案だ。ぜひ僕からも勧めるよ」

「メニーは?」

「姉さんと地下へ行った。君も後から行くといい。ニクスとアリスもいる」


 思わず、リオンに目を向ける。


「無事なの?」

「ニクスが一足早くじいやの所に避難した。二人とも無事だ」


 リオンが本を閉じた。


「カドリング島はどんな調子だい?」

「平和そのもの。ここみたいに周囲は闇に呑まれてないし、青空と海がひたすら続いてる。……多分、魔法使いがいる土地は守られてるんじゃないかしら。動き回ってない魔力を感じるから……そんな気がする」

「三度目の世界にしたいと言ったら、協力してくれると思う?」

「それはどうかしら。世界を繰り返すことすら禁じられているのに、一度ならず二度までもとなったら……、うーん。どうかしらね。協力はしてくれるんじゃない? でも、全員は揃わない」

「そうか。それは残念だ」

「もう一度新しい世界になったって、最終的にまたこうなる未来が見えてる。根本的にどうにかしないと、どうにもならない」

「そうなんだよな。オズをどうにかしないと、結局はこうなるんだ」


 リオンとあたしが目を向け合った。


「お帰り」

「ただいま」

「少し痩せた?」

「ええ。体調が良くなくて。貴方は健康的になったように見える」

「地下で育つ食料が美味しくてね。長い間、肉は食べてないけど、なんだかとても元気なんだ」

「暴動とか起きないの?」

「最初は起きてたよ。でも……この世界を目の当たりにしたら、皆黙って地下に帰っていった」

「……」

「父上と母上は、皆の太陽だ。カウンセラーのように皆の話を聞く。それだけで皆の心は報われる。その間、僕と姉さんはこの状況の打開策を探していた。けれど、結局の答えは一緒だった」

「オズを殺さないと無理?」

「君達が来ないと無理」


 リオンは笑みを浮かべ、あたしの眉間に皺が寄る。


「ドロシーの魔力を持っているのは、今やニコラしかいない。そして、メニーも」


 姉さんはこう言った。魔力を持ってる二人がこのままじっとしているわけない。いずれ来るだろう。いつかはわからない。けれど、必ず自力で戻ってくるだろうと。そして、あのとんでもない魔力の塊の結界を、どうにかするだろうと。


「それまでに我々は準備を整えるのだ。兵を固めろ。相手は魔法使いだ。今までにない兵力を上げるのだ!」


 リオンが苦く笑った。


「やっぱり次の王様は姉さんだな。僕は……あんな王にはなれなかったし、きっとこの世界でもなれない。というか、なりたくない」

「だとしても、あんたは第二王子よ。将来は土地を任されて、民の為に尽くす運命にある」

「ニコラ、これ、初めて言うんだけど」

「ん」

「もし世界が続いたら、僕ね、自立しようと思って」

「……自立?」

「そう」


 訊き返すと、リオンが頷いた。


「王位継承権を返し、自立する」

「……貴族をやめるってこと?」

「元々僕にはあってなかったんだよ」


 リオンが伸びをした。


「平民になって、勉強して、働いて、生きていこうかなって」

「あのね、平民って思ってるより大変よ。あたし達が楽出来てるのは、平民たちが働いてくれてるお陰なの。ヘンゼルやグレーテルに面倒見てもらってるお前なんかが、なれるわけないでしょ」

「そうだね。きっと大変だし、後悔すると思う。でも、……貴族権ってそんなに大事?」


 リオンが首を傾げた。


「僕は、王子じゃない自分の方が、出来る事はあるんじゃないかなって思ってならないんだ」

「……独り立ちしてどうするのよ」

「そうだな。ミックスマックスに就職しようかな」

「だったら接客と服飾、デザインについて勉強しないと無理よ。ほらね、思ったよりも大変でしょ?」

「王子のままなら永遠に政治についての勉強と実行。クレームの嵐だ」

「好きな物が嫌いになるわよ」

「そうかもね」

「……」

「ねえ、ニコラ。お兄ちゃんに……政治が出来ると思う?」


 あたしは首を振った。


「だろう?」

「……もっと方法考えたら? 貴族権を捨てるのはもったいないと思う」

「貴族権が邪魔な時もある」

「ばあばみたいなこと言うのね」

「君のお婆様?」

「ばあばも同じこと言ってた。このご時世、貴族なんて関係ない。だから男爵の権利だけあればいいって、伯爵権と子爵権を返しちゃった。ママは発狂よ」

「もし世界が続くなら、その読みは正しい。キッドはいずれ、貴族制度を壊すと思うぞ」

「……そうなの?」

「嫌なんだって。貴族とか、平民とか。最低限の爵位は残すんだろうけど……制度は壊れる。もし、キッドが王になればの話だけどね」


 リオンが黙った。何とも言えない無音の図書館の空気が流れる。あたしから口を開いた。


「話したかったことって、このこと?」

「ウォーミングアップだ。最近君と話をしてなかったから」

「それは大切な話?」

「世間話程度だ」

「あ、そう。じゃあ胸を楽にして聞くわ」

「この半年、少し、疑問に思った事があるんだ。一度目の世界のことだよ。精霊はオズに唯一対抗できる救世主をこの世界に産んだ。もし解決しなければ次の世代に。また解決できなければ次の世代に。けれど、キッドは死んでしまった。解決できなかった。次の世代が生まれる前に、オズがこの世界を壊そうとした」


 リオンが首を傾げた。


「どう思う?」

「何が?」

「救世主はキッドだ。それは間違いない。でも……」


 リオンの目玉があたしから逸れた。


「死ぬかな?」


 あたしは眉をひそめた。


「人間だもの。死ぬわよ」

「キッドはオズが用意した中毒者にやられた。そして、それから一人とてキッドの代わりになる救世主は現れなかった」


 本当に現れなかったのかな?


「現れなかったんじゃない。もう、いたんじゃないかな?」

「……どういうこと?」

「救世主は既に二人いた。だから……誕生させる必要がなかった」

「メニー?」

「いいや、違う。メニーじゃない」

「リオン。どんなに悔やんだって一度目の世界には戻れないし、救世主が二人いたろうがいなかろうが、クレアが生きてる。十分だわ」

「足りないんだ」

「十分よ」

「だって、ニコラ」


 考えてみろ。


「姉さんはを持っているんだぞ」


 ――足がテーブルを蹴飛ばすと、派手な音を出して地面に転がった。


「もう一度言ってごらんなさい」


 あたしの目が、リオンを睨む。


「蹴飛ばすだけでは済まさないから」

「話は最後まで聞くべきだ」

「そう。なら、この状況になってもう一人の救世主は現れた?」

「それがわからない」

「ほらね」

「だけど、もしいるのであれば」

「リオン、いい加減にして。救世主はクレアよ。クレアは生きてる。スペード博士が死んで、その生が移った。寿命が延びた。一度目よりも長生きする。それでいいじゃない」

「一度目でなぜ現れなかったのか」

「リオン」

「どうにも出来なかったのかもしれない」

「わかった。もう結構。妄想は良い加減で済ますべきよ」

「どこかに閉じ込められて」

「リオン!」

「オズは、どうして膨大な魔力に気づかないほどに気を取られてしまったのだろう」

「それ以上言うなら!」

「気にならない?」


 リオンの口が動いた。




「どうしてオズは、自覚がないほど君の死刑を狂喜したんだろう?」






 ――エレベーターの音が鳴った。リオンとあたしが振り返ると、クレアとレッドが出てきた。クレアがあたしを見て、はっとした。


「おお、そうだ。貴様知らないだろう! このエレベーター、地下まで行けるように改良したのだぞ」


 あたしはクレアに駆け出した。


「すごいだ……」


 勢いのままクレアに抱き着く。クレアがきょとんとし、レッドがカッと目を見開いた。


「……」


 クレアが顔を上げた。その先にはリオンがいて――肩をすくませたのを見て――あたしを優しく撫で始めた。


「なんだ。愛しのお兄ちゃんに意地悪されたか」

「……」

「レッド、どうやらテリーはあたくしとイチャイチャしたいようだ。落ち着いたら地下に連れていく。お前は休め」

「……」

「なんだ? 師弟揃って無言か? 返事くらいしたらどうだ?」


 クレアがあたしとエレベーターに乗ると、扉が閉まる。上に上がっていく。それにつれて、エレベーターから見える壁の絵が変わっていった。


 家が上から降ってくる。

 女の子と猫が家から出てくる。

 女の子と猫がカカシと出会う。

 女の子と猫がきこりと出会う。

 女の子と猫がライオンと出会う。

 文字が書かれている。「ずっと俺様の大事な友達!」

 最上階に、緑の国が待っている。


 扉が開く。


 その先にクレアの部屋が待っている。両扉を開き、クレアがくっついて離れないあたしを部屋の中に入れた。


「ダーリン、お腹空いてない? なんか食べるー?」


 あたしは首を振った。


「あ、そう」


 あたしは背伸びした。


「お?」


 クレアの頭を下に下ろし、無理矢理キスをした。


「嫌だわ。ダーリンってば、大胆なのだから」


 あたしはもう一度唇を押し付けた。すると、クレアが身を屈め、あたしを背伸びから解放した。口付ける。抱きしめる。強く抱いて離さない。クレアがあたしの頬にキスをした。だからあたしもクレアの頬にキスをした。クレアがあたしの耳に囁いた。


「リオンに何を言われた?」


 あたしは黙ってクレアの頬にキスをした。


「戦いに行く前に喧嘩はよしなさいね。ダーリン。後悔することになるかもしれなくってよ?」


 あたしはクレアの耳にキスをした。シンプルなイヤーカフはキッドのようだ。


「こらこら。ダーリン、転ぶぞ」


 しがみつくあたしをクレアがベッドに座らせた。でもあたしは黙って座らず、クレアの腕を引っ張ったので、クレアが押し倒される形でベッドに寝転んだ。


「あらやだ。今夜のダーリンは本当に大胆」


 あたしは息を吐き、クレアに抱き着いた。


「シャワー入る? ちゃんとお湯も出るのよ」


 あたしは首を振った。


「あら、そう。それなら」


 クレアがあたしを横に寝かせた。


「今夜はもう寝ましょう。はい、お休み」


 あたしはクレアに乗りかかり、キスを続ける。


「はい、ダーリン。ストップ」


 あたしはキスを続ける。


「ダーリン?」


 あたしは無視する。


「テリー」


 あたしは無視する。


「わかった。テリー、んっ。お前がそんなに俺を愛してくれてるなんて、んちゅ、ちょっと自覚が足りなかった。むちゅ、仕方がない。お前の愛を全部受け止めよう。さあ、おいで。可愛がってあげるから」


 キッドになっても構わない。あたしはキッドを演じるクレアにキスを続ける。


「……わかった。わかった。落ち着け。一旦、ストップ」

「んっ」

「はいはい。キスしましょうね。ちゅう」

「むちゅっ」

「でもあたくし、貴様とお喋りがしたいんだ。貴様はどう?」

「んちゅっ」

「はいはい。わかった。わかった。こんなにデレるダーリンは初めてかもしれない。わかったわ。今夜はいっぱいキスしましょうね。でも良い子は寝る時間よ。ダーリン、ほら、枕と一緒に戯れましょう?」


 あたしはクレアの首筋にキスをした。


「ダーリン?」


 あたしの手がクレアのシャツに入った。


「テリー」











 クレアがあたしの上に乗った。









「あたくしは今、気が立っている。この半年間、ずっとキッドを演じていた。まるで自分が本当に男だと錯覚したほどだ。一流役者はこうでなくちゃ。でもね、ダーリン。たとえあたくしがとんでもなく美しいクリスタルの宝石だとしても、男役となれば話は別。夜には荒々しい野獣となるだろう。愛している女が目の前にいて、愛溢れるキスをされ、魅了されたら――どうなるかわかるな?」


 クレアがあたしの耳に囁いた。


「するのは、結婚の後。だろう?」


 クレアがあたしの耳にキスをした。


「もう寝ろ。今夜のお前は発情するウサギのようだ」

「悪いの?」


 言うと、クリスタルの瞳が驚いたように丸くなった。


「ウサギみたいに発情したら、いけないわけ?」


 クレアの口が閉じられ、真顔になった。


「子供じゃない。もう19歳よ」


 愛しいクレアを見つめたまま、頬にキスをする。


「テリー」


 あたしはクレアにキスをする。


「貴様は19歳じゃないだろう? もう子供時代はとっくの昔に終わってる」


 あたしはクレアを小突いた。お黙り。


「……つまり」


 訊いてくる。


「していい、ってこと?」


 あたしは無視してクレアにキスをする。


「ねえ、ダーリン」


 あたしはキスをする。


「あたくしの勘違いではなーい?」


 あたしは愛しい彼女にキスを贈る。


「……」


 クレアの手があたしに触れてきて、耳に囁く。


「出来る限りで、優しくしよう」

「……」

「初めてだろう?」


 三秒後に頷くと、クレアがそっとあたしにキスをしてきた。


「でもあたくしも14歳からこういうことはしてないからな。ふむ。上手くできなかったらごめんね」


 頷き、クレアを見上げる。薄暗いが、窓からこぼれる夜空の光で、クレアの姿が確認できる。クリスタルの瞳が輝いている。傲慢なあたしは我慢なんて出来ないから、クレアの手に唇を押し付けると、クレアが笑みを浮かべた。


「ダーリン、違う」


 近づく。


「手じゃなくて」


 クリスタルの瞳は目の前だ。


「唇、だろう?」


 影が一つになるように、唇が重なる。クレアを抱きしめる。触れるだけだったキスが深くなっていく。クレアのキスを夢中で受け取る。クレアの体に夢中になって撫でていく。クレアが荒々しくシャツを脱いだ。はっとして、視線を泳がすと、クレアに笑われた。

 ――同じ女の体だろう?

 クレアが再びあたしの肌に唇をつけ、その際にあたしの着ているシャツのボタンを外し始めた。布が擦られる音に心臓が反応する。不安と戸惑いが混じり合う。一瞬だけメニーの顔がよぎる。けれど、クレアの瞳を見たら全部忘れる。あたしは美しい宝石に魅了され、夢中になる。

 ――クレア。

 クレアの名前を呼ぶたびに、クレアからキスを与えられた。あたしはどう触って良いのか分からなくて、ただ、クレアを抱きしめて、キスをして、受け止める。

 ――あっ。

 声が漏れた。恥ずかしくなって口を閉じると、クレアに優しく抱きしめられ、優しく撫でられた。ドキドキして、少し頭がぼんやりしてきて、あたしもクレアを抱きしめる。クレアの瞳があたしの全身を眺める。唇を舐める。その表情も愛おしい。体温も、感触も、声も、吐息も、全部、愛しい。愛しい。クレアが、あたしは、こんなに、人を、愛した、ことが、ないから。あたしは、もっと、欲しくて、欲しくなって、あたしは、強欲に、従うしかなくて、もっと触ってほしくて、もっと愛してほしくて、もっと求められたくて、ごめんね、クレア、止まらない。欲が、ああ、気持ち悪いかしら。でも、止められない。息が乱れる。クレアの手が動く。あたしの目から涙が溢れた。クレアがあたしに訊いた。

 ――痛い?

 あたしは首を振った。

 ――続けてもいい?

 あたしは返事のかわりに、クレアにキスをした。そしたら、クレアもあたしにキスをし返した。だからあたしも更にキスしたら、中が動いた。思わず息を呑み、クレアにしがみつく。クレアの体が動いた。悶えた。クレアがスケベな笑みを浮かべた。けれど、どうしていいかわからずクレアの体と同じように動いた。クレアに耳元で言われる。

 ――そうよ。ダーリン、上手。

 手を握りしめ、ひたすら深呼吸する。

 ――自分のタイミングで良いからね。

 クレアの指が、誰も触ったことがない奥の奥へと入り込み、そこを触れられるとあたしの体が魚のように痙攣を始めた。その瞬間、とんでもない解放感が脳に伝わり、それが気持ちいいことだと心から思った。解放感が一通り終われば、次に脱力感が訪れた。体の力が一気に抜け、大きくて荒い呼吸を繰り返すと、クレアに笑われた。

 ――大丈夫?

 あたしは頷く。クレアがまだクスクス笑っている。

 ――貴様、目がとろけているではないか。そんなに良かったの?

 あたしはクリスタルの瞳を見つめる。

 ――もう、仕方ない奴め。

 クレアが囁く。


「愛してる。テリー」

「……クレア……あたし、も……」

「うんうん、わかってるぞ」

「愛してる……」

「はいはい。わかってるわかってる」

「もっと……クレア……」

「……でへへ……ダーリン……♡」


 顔が赤くなったクレアはとても可愛かった。抱きしめるきっかけが欲しくて何度もキスをした。クレアがあたしの首に噛みつくように痕を残した。でもその度にあたしの胸がきゅんと鳴って、絞めつけられて、絞めつけて、汗を流して、涙を落として、ひたすら、クレアを、クレアだけを見つめる。


 クレアは生きてる。だってここにいる。

 クレアはあたしの目の前にいる。

 死ぬはずない。

 クレアはここにいる。

 別の者が死んで、クレアの生が伸びた。

 大丈夫。クレアはここにいる。


 あたしの目の前にいる。










( ˘ω˘ )





「姉さんはを持っているんだぞ」





(*'ω'*)





 ――目を覚ますと、夜明けだった。


 もう少し眠れそうな気がしたが、目の前に何も着ていないクレアがいて、あたしの胸に顔を埋め、安心したような顔で眠っていたものだから、その姿が可愛くて、思わず見惚れてしまった。


 ああ、あたしったら駄目ね。クレアのこととなったら、まるで駄目で馬鹿な女に変身してしまう。らしくもなく阿呆みたいににやけてしまい、眠るクレアの頭を優しく撫でた。


(クレアは死なない)

(死なせない)


 あたしの魔力が滾っている。


(二度と失ってたまるものか)


 クレアは民を守るために戦う。

 だったら、あたしはクレアを守るために戦う。


 今のあたしなら、オズと互角にやり合える。


 ねえ、ドロシー?

 お前ならなんて言う?

 愛しい人のために戦うなら、あたしがどんな魔法を使ったって許してくれる?

 どんなことになったって、君らしいねって呆れながらも笑ってくれる?


(クレアならなんて言うかしら)


 もしもこれが小説で、物語で、おとぎ話なら、この状況を見たクレアなら、きっとこう言うだろう。


 始まりがあれば、やがて終わりが訪れる。

 終わりのない舞台など存在しない。


 ならば、





 この物語は、次の章で終わりを迎えるだろう、と。







 十一章 魔法の鏡よ姿を見せて  END

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