夜明けの騎士と星の鳥 -Knight of Dawn and Star Phoenix-
青海イクス
Prelude -Thinks before the Dawn-
幼い頃から、夢に見ていた。
視界一面を埋め尽くす白く燃える光の海と、その地平線に燃える黄金色の《太陽》を。
視界を遮るものは何もなく、世界を染め上げるその光景は《自由》そのものだった。何より、その光景を微睡みの内に夢見願う《彼女》の心を、私は愛しいと思った。
けれどそれは夢に過ぎなくて、目が覚めるたび追われる身であることを自覚する私は、行く先も知れない自分の身に怯え、時を止めた黄白色の光景の中に取り残されるばかりなのだった。
きっと、光を求めていたのだと思う。行方の知れない自らの先を導いてくれる、光を。
幼い頃から、夢に見ていた。
この空を永久に覆う暗闇が、地平から昇る《太陽》の光に塗り替えられるというその光景を。
一度も目にしたこともない、目にすることすら叶わないからこそ、その思いは募るばかりだった。それはあの日、私が《彼女》を失った時から、己の礎となる意志へとその姿を変えた。
途方もない、あるいは益体のない夢想であると知っていた。けれど決して無為な夢想では終わらせないと、最期の時までその光景を願い続けた《彼女》の願いにかけて、誓った。
きっと、光を求めていたのだと思う。閉ざされた未来を願いのために切り拓く、光を。
彼女は、夜明けを願っていた。
私は、その願いを継ぎたいと願った。
そして、私達は出逢った。
この出逢いが、私達の願いの先を――夜明けを導く燈火となれと。
その時、私達は知らず、それぞれに、共に思っていた。
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